19オブザデッド
800恒河沙匹の銀河怪獣を根絶やしにした宇宙船なろう号は、さらに地球へと向かう。だいたいあと2話ぐらいで地球に付くだろう。
『また会ったな! そこのなんか、えーと、なんだ! 母星を爆破してくれたやつらめ!!』
そこで突如として通信が入った。見慣れた顔だ。倒したはずのにゃんにゃんにゃ~ご☆星人の顔が、艦橋にドアップで映る。なぜまだ生きているのか!
『知れたことよ……、にゃんにゃんにゃ~ご☆星を滅亡の危機から救うために、過去からやってきたのさ……! それに、俺だけじゃないぞ!』
『そう、俺は平行世界のにゃんにゃんにゃ~ご☆星人!』
『さらに平行世界のにゃんにゃんにゃ~ご☆星人! 参上!』
『平行世界のにゃんにゃんにゃ~ご☆星人! 登場だ!』
『平行世界のにゃんにゃんにゃ~ご☆星人! えーと、その、推参だ!』
『平行世界のにゃんにゃんにゃ~ご☆星人! 来てやったぞ!』
艦橋に次々とビジョンが浮かぶ。現れた平行世界のにゃんにゃんにゃ~ご☆星人は、宇宙空間を埋め尽くすほどだ。
「こ、こんなに……!? うそでしょ、たったひとつの艦に、あれほど手こずったというのに……」
『当然、デスバハムート(SSR)も、全艦に搭載されている! しかも今回は、俺が! 俺たちがWi-Fiだ!!』
「最悪だ!」
提督は振り返りながら尋ねる。すると、F.E.H.Uが青ざめながら言い放つ。
『敵の数は、だめだよ、数えきれないよ……。少なくとも1那由他はいる……』
「那由他かぁ~~~………………」
宇宙編だからといっていつもより数字をパワーアップさせているが、那由他とは10の60乗を指す言葉である。ちなみに兆は10の12乗だ。兆を兆倍したものを兆倍したものより多いということですね、はい。
「さすがに、もう、降伏しかありえないのかな……」
「しかし、あいつらがそれを許しますかね? ま、俺は逃げますけど」
フリーランスの密猟者、デューク逃亡はホッキョクグマからミミナガバンディクートまで国際条約で保護されているような数多の希少生物を仕留めた猟銃を抱えたまま、気付かれないようにこっそりと惑星探査機、ミンナアッサリスグシーヌに乗り込んで逃げ出していった。しかし宇宙船なろう号から5メートル離れたところで、デスバハムートNに引き裂かれていた。デューク逃亡──!!!
ウーナルデ・オレノウデッガーは父として、息子に渡すはずだったターボマンのフィギュアを胸に潜ませたまま、出撃していった。外見は強靭だ。強靭から受けるイメージはいろいろあるのに、強靭の一言で外見の描写を済ませるストロングスタイルを、わたしは評価したい。相手は1那由他のデスバハムート(SSR)たち。どう考えても、勝ち目のない勝負だった。
案の定、ウーナルデ・オレノウデッガーはあっさりと撃墜され、俺の腕はうならなかった。しかし最期に微笑んでいる息子に出会えた気がした。パパ、がんばったね、おつかれさま。その一言が、パパはなによりも聞きたかったんだ──。
去年から廃品回収業者になった砂漠男は、乾燥肌だ。保湿クリーム(使いかけ)を塗りたくりながら、戦場へと向かう。いやー、肌に潤いがほしいっすねえ……。
「そう、俺の肌を潤わせるのは、お前の血だよォ!」
筆者のテンションがちょっとおかしいので、そんな言葉を吐かせながら突撃してゆく。デスバハムートNを無残に斬り裂いてそのオイルで肌を潤わせて満足した砂漠男はSSRの手によってバラバラに引き裂かれた。
「もうどうしようもないじゃないかよおおおおお!」
デスバハムートSSR(もうかっこをタイプするのも面倒なので、外しました)1億機に追いかけ回されたサンふじは、絶叫する。サンふじはりんごの木(実付き)
だ。土(肥料入り)が持ち物らしい。宇宙空間で一億の竜に追いかけ回されるりんごの木を想像してみてください……。わたしはちょっと、想像できないですね……。
りんごはすべてデスバハムートSSRに美味しくいただかれました。魅力10の味がした。果物連中がだいたい魅力10だったのは、他に振るステータスがないからなんだろうな……。
石㐬酉夋は、K大学教授だ。なんて読むんだろう……いしながれとりとし……? わからない。硫酸銅五水和物を持っている。伸びた銀髪を後ろで束ねている、白衣と緑のベストに加えて人懐こい微笑みが印象的な30代程の男性 硫酸銅五水和物、綺麗なので1度検索してみてください!とのことだったので、わたしは検索してみました。うん、綺麗だね。そういうのはツイッターにリプしてください!!!
石㐬酉夋は硫酸銅五水和物の美しさを説くことで戦いをやめさせようとしていた。実際に、平行世界のにゃんにゃんにゃ~ご☆星人の何人かは「う、美しい……」とボロボロ涙をこぼしながら感動していたので、教授は「でしょう?」と思い切りドヤ顔をしていたのだが、美のわからない違う平行世界のにゃんにゃんにゃ~ご☆星人に裏切り者ごと撃ち殺されてしまった。
震えながら、食パンおじさんは出撃していった。食パンおじさんはパン工場のアルバイトだ。なのに白米を持っている。たぶん、アルバイトでもうパンを見るのが嫌だ、とかそういうことなんだと思う。
しかし、GODZILLAですら一睨みで蒸発したデスバハムートSSR相手に、アルバイトのおじさんができることなどなにもない──、と、おじさん自身もそう思っていた。しかし、意外と違った。
「……あ、あれ……?」
おじさんは振り返る。適当に攻撃したら、なんかデスバハムートSSRが爆発四散していた。試しにもう一度。あ、やっぱり死んでいる。あれ、あれあれ、あれぇ?
「なんか、コツ掴んじゃったかもw」
「え、マジで?」
「なになに」
「そう、こうやって、肩の後ろの二本の角の真ん中にあるトサカの下のうろこの右を刺すの」
「うわ、マジじゃん」
「なにこれめっちゃ楽」
「やるやん」
「へへへw」
食パンおじさんはコツを掴んだ。しかしそれは決して偶然の産物ではない。今までの長旅で生き残り、最終的に数多の銀河怪獣をも打ち倒したからこそ、手に入れた経験値の結果だ。
さすがに調子に乗りすぎて、食パンおじさんは敵陣に深く入り込みすぎたために殺されてしまったが、しかし、彼の叡智は一同に光明を与えた。
こうして、宇宙船なろう号たちの反撃が始まった。
しゃげ そうは一般的な会社員だが、スマホ中毒者だ。"常にソシャゲが気になっているひと
心のなかで(スタミナ消費しないと…)と常に考えている
宇宙でも超技術で電波が届くと信じている
電波が届かない場合は絶望するしかないじゃない"だ。ちなみに、宇宙空間には電波が届かないどころか、地球が滅びているのであらゆるソシャゲはもはや運営されていないです。彼は絶望していた。絶望の中、絶望のままに船内で静かに息を引き取った。反撃は!? 始まってないんだけど!
典型的ゴブリンは、典型的オーク(???)の悪徳リンパマッサージ師だ。医者が頭に付けてるCDみたいなアレを持っている。悪徳とついてるし、どう見ても敵ポジションなのだが、しかし彼は地球のために戦ってくれた。
「だって、地球人類が絶滅しちまえば、悪徳リンパマッサージする人すら、いなくなっちまうじゃないゴブか」
そう言ってせせら笑うその典型的ゴブリンは、まるでいっぱしの英雄のようだった。SSRのデスバハムートを典型的ゴブリンが倒す。その爽快感に満ちたまま、典型的ゴブリンは夢心地のような気分で、ついにデスバハムートの炎に焼かれた。
「百合の間に挟まる男は殺○」Tシャツを着たその男は、ヤクザのコショウ ユズだった。手にはスマブラを持っている。キャラクターのパーソナリティをだいぶ筆者に寄せていただいているようで、ありがとうございます。でも、その結果、だいぶゴテゴテしたキャラになってしまったので、こいつはなにが好きでなにが嫌いなやつなのかがわかりにくくなってしまいましたね!
とりあえず、百合の間に挟まるやつを殺そうと思ったらしいが、辺りにはデスバハムートSSRしかいないので、その拳の振り下ろすところがなかった。くそっ、じゃあ突然デスバハムートSSRが「あー百合の中に挟まりてぇー」って突然いい出したので、そいつらを十万匹倒した挙げ句に力尽きて「フッ……女同士で遊んでいる家スマブラを、いつまでも、見ていたかったぜ……」とこぼしながら死んでいった。完。
あおちゃんは大学生のペット(アオジタトカゲ)だ。体長56cm、体重603gのトカゲ(健康体)。舌は青い。 パソコンを持ってきたらしい。トカゲってパソコン見るんだ……。
ナイーブでめんどくさいお年頃の金髪少年の留学生、ゾニの肩にひょっこり乗っている。インスタント雑煮を無限に食べながら、ゾニとあおちゃんはふたりの連携プレイで次々とSSRを仕留めてゆく。SSRを倒すのにも慣れてきたところだ。しかし、敵は一向に減っている気配がしない。
「こんなに大勢いたら、デスバハムートがまるで蚊柱みたいだねえ」
「アオ、アオォー」
アオジタトカゲがどう鳴くか知らなかったのでポケモン風に鳴かせてみた。ふたりはむしろ艦隊に向かって突っ込んでみた。数が同じなら、あっちのほうが動きが鈍いのでは、というアレだ。
『ひいいい! きた、きたきた! ひいいい!』
というと、過敏な反応をされて、周囲のデスバハムートが殺到してきた。蜂球みたいにされて、ふたりは押しつぶされる。しかし、これでひとつの仮説を立てられた。すなわち、弱点はにゃんにゃんにゃ~ご☆星人なのだ。
三十代喪女の万能型総務(職場の全ての部署の応援に入らされています)、深椥璃翠がペンを回しながら、「あーつまりぃー」と考えを口にする。
「にゃんにゃんにゃ~ご☆星人のメンタルの弱さを利用すればいい、ってことですよね。確かに」
深椥璃翠は通信を開いて、にゃんにゃんにゃ~ご☆星人に降伏勧告を仕掛けた。『お前たちの毛皮をすべてむしり尽くして太陽に放り投げてやる』という感じのあれだ。1垓のにゃんにゃんにゃ~ご☆星人が恐怖に怯えて自害した。残るにゃんにゃんにゃ~ご☆星人に深椥璃翠は執拗なまでに斬り刻まれて殺された。なるほど……。
人理修復に勤しむマスター。ゾンビなんて蹴散らしちゃえ!やっちゃえバー○ーカー!のまいんが出撃した。霊基グラフ。やっちゃえバーサー○ー!!を手に、命じる。「自害せよ、にゃんにゃんにゃ~ご☆星人!」 命令を聞いた残り半分のにゃんにゃんにゃ~ご☆星人が震えながら自爆した。きょうのラッキー自決は自爆だったらしい。これで残りはあと半分。
まいんは戻ってきたバーサーカーに「よくやったぞ! バーサーカー!」と功をねぎらっていたところで、MPが吸い上げられて死亡した。人理の破壊されていないこの世界では、所詮彼はソシャゲのプレイヤーだった。見せかけの令呪がこれほどの威力を発揮するのも脅威だが。
その頃一方、酒屋の長家大輔は、艦橋で一升瓶を手に、ネクタイを頭に巻きながら、ひたすら酒を浴びるように飲んでいた。急性アルコール中毒で死亡した。年末年始、クリスマスだからといって、アルコールの飲み過ぎにはご注意を! 飲んだら同じ量のお水を飲もうね!
さて、船内もなかなかの参上だ。デスバハムートSSRにずっと取りつかれているため、被害が拡大している。VRヘッドセットを着けた現場にゃんこの笹葉 詩夏が、作業員としてVRヘッドセットをつけながら一生懸命隔壁の修繕を担当している。だが、VRヘッドセットをつけっぱなしにししているから、さっきからずっとなにもない壁をペタペタしている! ああっ! 隔壁の隙間から「ふぎゃ~~~~~~~~~~~~~」って叫びながら、宇宙へ落ちていった!! なんでそんな装備の組み合わせにしたの……。
整備士、空野もくずは下半身がキャラピラのため、どんなに危険な岩がゴロゴロしていても構わず機体の整備点検が可能になっていた。スパナを振り回し、ボルトというボルト、ナットというナットを締め上げる。
「さ、どんどんいっておくんなぁ!」
次から次へと死の戦場へと仲間を送り出していく彼は、威勢の裏に悲しみをひた隠していた。まさしく空野もくず。整備士は孤独な戦いを続けていた。しかし、彼の戦いによって、仲間たちが思う存分戦えていたのだ。
ついにデスバハムートSSRの爪が格納庫を襲うと、空野もくずもまた、胸を貫かれて絶命する。しかし、彼が戦ったからこそ、多くの仲間が救われたことだけは忘れてはならない。
アストロ・ミソスープは、宇宙飛行士(訓練生)だった。父の写真の入ったロケットを胸から下げた彼には歴史がある。気合の入った文章を書いてくれた。ではどうぞ。
"〜これまでのあらすじ〜
『宇宙飛行士に必要な資質は、体力と知識、そして人を惹きつける魅力と、ほんのちょっぴりの幸運さ!』
宇宙飛行士であった彼の父は、幼きアストロにこの言葉を遺し、宇宙開発事業の最中、事故死した……。アストロはそんな父の背中を追いかけるように、自らもまた宇宙を目指し、沖縄男子宇宙開発訓練学校(通称: 沖男)にて日夜特訓を重ねていた。
ある日、沖男にて訓練を続けるアストロの元へ、一通の手紙が届く。差出人は不明。そして手紙には、『君の父の死には隠された秘密がある』とだけ記されていた。
アストロは地球にて独自の調査を重ね、父の死は事故などではなかったことを知る。彼の父は宇宙生物兵器開発計画: コード_ゾンビ_研究チームの一員であり、何者かに裏切られ殺されていたのだ!
父の死に関わる人物を探し出し、真相を解き明かすため、アストロは宇宙飛行士訓練生という身でありながら、こっそりと宇宙船なろう号に潜り込み、父の仇を探しに逝くのだった……。
飛び立てアストロ!星の彼方で、真実を掴め!! "(原文ママ)
いつの間にかアストロ・ミソスープを主人公としたひとつの物語があったようだ。もう、ご自身で書かれては……!? そんなアストロ・ミソスープの前に、ひとりの男が現れた。彼は──暗黒騎士だ!
コスプレイヤーでKATANAを持っていた彼は、たとえるならば、炎のような人だった。いっそ鮮烈なまでに赤く、人の心に焼き付いていくような立ち姿。それでいて自在に形を変え、ゆらゆらと揺れるそのさまは、人を欺く彼の本性を如実に表していた。けれども彼はいつだって人の心に火を灯す。その在り方は炎のように、心の闇を払拭し、希望の光を生み出すのだ。――しかし彼は、自らのことを暗黒騎士と、そう呼んだ。黒など最も似合わぬと、誰もがそう思っているというのに。(原文ママ)
暗黒騎士はアストロ・ミソスープに告げる。
「お前の父を殺したのは、この俺だ」
「な、なんだって……!? 暗黒騎士さんが、俺の、師匠が……!?」
「ああ、お前の父はゾンビを作り出す研究の片棒を担がされていた。そのために、組織に消されることになった。その依頼が来たのは、この俺にさ。だが、アストロ。後悔はしていない。俺は俺の正義を貫いたに過ぎない」
「どうして、どうしてなんですか、暗黒騎士さん……。あんたは、そんな人じゃないはずなのに」
「いいや、俺は元からこういう男さ。身勝手な正義を為すことしかできやしない、不器用な男だ。だから、来い、アストロ。父の仇を討ちたいのなら」
「俺は……父さんの仇を討ちたいんじゃない……ただ、真実を知りたいだけなんだ!」
「フン……弱い男だ。俺が育てたにもかかわらず。だが、いいだろう。真実は、すべてあの男が知っている。地球に戻れ、アストロ。ここは、俺が──」
と、ふたりだけにしかわからない謎の掛け合いをしていたところで、暗黒騎士の胸がデスバハムートSSRによって貫かれた。そこからまるで涙のように血が流れ落ちる。
「暗黒騎士さああああああん!」
ついに彼は師である男を恨み切ることができなかった。確かに弱い男かもしれない。だが、熱い男だったのだ。
アストロ・ミソスープはすべてを投げ売って、にゃんにゃんにゃ~ご☆星人へと突貫した。その鬼気迫る形相に、敵対星人は度肝を抜かれる。
『退避、退避、退避ぃ~~~~~~~~~!』
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
今ここで、アストロ・ミソスープはひとつの艦を斬り裂いた。
父とそして、師匠がくれた力だった。間近でその爆発を目撃したにゃんにゃんにゃ~ご☆星人は震え上がった。まず隣のにゃんにゃんにゃ~ご☆星人が自害する。さらにその隣。その隣。その隣。次々と連鎖的に彼らは自爆していった。敵に辱めを受けるならば、という誇り高き選択であった。
まるで一撃が波紋のように広がってゆくかのように。その爆発に巻き込まれながら、アストロ・ミソスープが空に父の笑顔を見る。いったい、父は誰に裏切られたんだったのか。それは、かづ……いや、今はなにも言うまい。父の「よくやったな、アストロ」という言葉の中、アストロ・ミソスープは静かに目を閉じた。
大爆発が、宇宙を覆い尽くす。
こうしてにゃんにゃんにゃ~ご☆星人は根絶やしにされた。
宇宙には動かなくなったデスバハムートSSRが大量に漂う宙域が誕生し、それが実は、わたしたちが空を見上げると輝いている、あの天の川なんですよ。マジで。いや、マジで。こうして天の川が誕生したんです。明日からキミも友達に話そう! 豆知識!
よし、五分だけ目を閉じてから、20話描きます!!!




