こい
「おめでとう。」
自分の口から発せられた音のはずなのに、どこか遠くに聴こえる。
「ふふ、ありがとう。」
とても嬉しそうな気持ちを控えめに出しながら、明るい表情を作る癖。いつも見ている可愛い笑顔が、今回ばかりはその気持ちが溢れ出している。
新たな門出。純白に彩られた未来。愛し愛されるパートナー。ああ、何で、こんな日に。
(私は……あの子が好きだったのか。)
宙に舞うブーケをぼんやりと視界の端に捉えながら、頬を伝う熱い一雫の意味を他人事のように結論づけた。
温かく笑う彼女を振り返りながら、しかし反対方向へ歩いていくような。これがきっと、恋の終わりなんだろう。
ふと書きたくなりました。