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手紙
僕の行きつけのバーに彼女はよく現れた。彼女の印象はと聞かれても、僕達が個人的に交わる事はなく共通の友人を交えてみんなで一緒にお酒を飲んでいた事は覚えている。話はあまりした事が無かったのかなと思う。
そんな彼女がある時、僕の誕生日に手紙をくれた。祝いの言葉と一緒に綴られていたのは、ほんの少しのメッセージ。
「もっと二人でお話がしたい」
僕たちが出会って三年目。初めて彼女が僕に見せた自分の意思だった。
友人達を交えてお酒を楽しむ以外、何の変哲も無かった時間を彼女が動かし始めた。