第18話 バトルニャ! 頑張れゴブリンさんニャ!
「ニャハー」
「ドラ様!?」
ドラはさっさと馬車から出て木の上に退散だニャ?
これから天才軍師ドラ様による『ドラズゴブリンの計』とくればニャ?
特等席でじっくりみないといけニャイニャア?
「くそっ! 今のでゴブリンどもに気付かれたっ! こっちに来るぞっ!」
「ええっ!」
「お母さん...お母さん...怖いよう...」
「だ、大丈夫よっ! きっと大丈夫!」
ニャハハ
親愛にゃるゴブリンさん達が一斉にこっちに来るニャ?
10匹以上は、いるニャこれ?
ボスっぽい色違いのゴブリンさんに至ってはやっぱりオーラが違うニャ?
ひとり離れた場所から腕を組んでニヤニヤしてるニャ
ニヤニヤしてるのはドラも同じだけどニャア!
馬車のメンバーはドラとアン。
そして馬車の護衛の男と馬車引きの男。他の客の親子2人の女どもだニャ
計6名
馬車の人は死ぬのも仕事だからいいとしてニャ?
親子2人にはちょっと可哀想な事をしたかニャ?
恨むんなら.....
元凶のアンを恨めニャ! コイツが全ての元凶だニャ!ニャハハハ!
「マルロ....俺が引き付けている間にお前は『製酒造所』に行って助けを頼みに行ってくれ! あそこは今、国の衛兵が必ずいるはずだ!」
「マルロさん? もういませんよ?」
「な....にっ!?」
言ってるそばから馬車引きの男が逃げ出したニャ?
中々のダッシュだったニャ
旅を重ねただろう馬車引きの男だけに状況判断力はさすがだニャ?
『ドラズゴブリンの計』を看破したお前は表彰モンニャ
とにかく.....
実質戦えるのは男ひとりにキチガイのアンのみ! もらったニャアこれ!
「ギ....ギ....」
「パウロさん! きます!」
「全く! 割りに合わねえ仕事だぜっ!」
ニャ?
パウロとかいう車衛が主人公ぽいこと言い出して勢いよく馬車から出たニャ?
鍛え上げた肉体、歴戦の傷....
『森羅万象』でステータスを見てないけど....まさか!
すごい強かったり!?
ドゴッ!
「おらあ! 1つ!」
「ギイッ!」
「すごい! パウロさん!」
ニャニャ....
棍棒で顔面ごと一撃かニャ? パウロアタックが火を吹いてるニャ
そしてとんでもにゃくクサイニャ
ゴブリンさんのぶちまけた脳みその異臭にドラも鼻を覆いたくなるニャ
それにしても
ゴブリンさんもうちょっと頑張れニャ?
『ゴブリンさんがやらなきゃ誰がやる』ニャ?
頑張れゴブリンさんニャ!
ドラの心の中の応援ソングを今贈るニャ!ニャニャニャニャ~ン
とりあえずゴブリンさんのステータスを見て策を練り直すニャ!
ゴブリン(2)
職業:なし
称号:なし
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『ステータス』
Lv:3
Hp:18/18
Mp:0/0
つよさ 6(+1)
はやさ 10
まほう 0
『スキル』
毒合成
『ユニークスキル』
なし
「フム.....たしかに弱いけどニャ?」
ズカッ!!
「ギッ...!」
「おらあ! 2つ!」
「すごい! パウロさん!」
「お母さん! お母さん! あの人強い!」
「ええ...ええ! 大丈夫! 大丈夫よ!」
......はたして.....本当にそうかニャ?
ガギッ!
「ギシャアッ!」
「チッ.....カスったか。だがこれで! 3つ!」
「キャハッ! パウロさん! すごーい!」
「お母さん! ワタシ! 将来あの人と結婚するのー!」
「あらあらこのコったら」
完全にお祭りモードだニャ?
気分はパウロインザフェスティバルかニャ?
親子の笑顔が微笑ましいニャ
けどニャ?
.....お祭りにアクシデントは付き物だニャ
「喰らえ! 『回天撃』ィ!」
「ギイイイ!?」
「オラオラどうしたぁ~! 4つ目だ! 4つ....」
「パ、パウロさん!?」
ニャハ
どうやら効いてきたみたいだニャ?
ゴブリンがその低ステータスにも関わらず『危険な魔物』とされるゆえん
その注意すべき点は『集団性』でも『狡猾性』でもないニャ.....
危険なのはゴブリンさんのスキル『毒合成』! カスってもアウトの即効性の猛毒! ゴブリン毒ニャ!
「カ....カハッ」
「パウロさん! パウロさん!」
「お母さん....お母さん!」
「だ、だだ大丈夫よ...大丈夫....」
馬車の外にいるパウロはその場にうずくまるニャ
ドヤ顔パウロ無双もここまでだニャ
馬車の中にいる親子は既に涙ぐんでるニャ
アンは.....何考えてるのか分からない表情だニャ?
とにかく....
お祭りが一転して『お通夜ムード』ニャ!ニャハハハ!
「ギシャア! ギシャア! ギシャアアアーーー!」
「カ....ハ.....あば...あばばばば.....」
「ギシャシャシャ! ギシャアアアア!!」
「あ....あ....」
「ヒグッ...ウワアアアアン! お母さーーん!」
「だだ..だだい..だだだ....」
ニャハー
なかなかすごいニャこれ!
四方八方滅多刺しだニャこれ!
パウロさんの耳、目ん球、下腹部.....
およそ柔らかそうな箇所からキレイにほじくり出されていくニャ
ゴブリンさんも黒ひげ危機一髪じゃニャイんだから
でもいいもん見れたニャ
「ギ.....? ギイギイ! ギイイイィィ」
おや?
既に死体と化したパウロさんの『内臓遊び』に飽きたのかニャ?
我らがゴブリンさんの1人が馬車の中をガン見してるニャ?
見てるのは.....
アンと、親子の.....娘のほうかニャ?
「ギシュウウウッ! ギシュギシュギシュ!!」
「ギシュ? ギッ! ギシュウウウ!」
「ギイギイイッ!」
「こっちへ....来る...!」
「ウワアアアンッ! ウエッウエッ....」
ゴブリンさん達の顔がアンと娘を見るなりみるみる笑顔と変わっていくニャ
ドラもうれしいスマイルセットだニャ
股間もあんなに膨らまして....
そんニャニこの豚どもが美味しそうなのかニャ?
美食家のドラには理解できないニャ?
でもいい流れだニャ
『ドラズゴブリンの計』にこんなに親身になって動いてくれるゴブリンさん達
全てはドラのために....
やっぱり
ゴブリンさんは親愛なる友だちだニャ!