第15話 貞子だニャ! キットくるーニャ!
「ドラ様? 何処に行くんーー」
「極ドラズダッシュニャアア!」
ダダダダッ!
さすがのアンも極ドラズダッシュには着いて来れないニャ?
一撃5000枚ニャ?
アンのあの変わりよう.....
ただごとではないニャ
あそこまでホラーだとそりゃあ『危険察知』の警報も鳴り響くってもんニャ!
極ドラズダッシュの前には無力だったがニャア!
あの外見の変化はいわゆる『末期症状』かニャ?
職業や称号まで変わる程末期とかいよいよ手に負えないニャ?
ニャハハ
お別れに最後の【幻惑】をかけてやっても良かったがニャ?
一時の快楽は百害あって一利なし
そう.....
アンのためにドラは心を鬼してトンズラしたニャ!ニャハハハ!
とにかくニャ?
馬車乗り場が見えてきたニャ?
つまり.....
この国ともホラーアンとも永遠オサラバだニャア!
「.....様」
「ニャ!?」
「ドラ様? お待ちしておりました」
「フニャッ!??」
ア....ン?
何故アンがここに?
いやその前に....
『待ってた』とは?
「ニャ.....」
「驚かれてます? ウフフ.....」
怖いニャ
『危険察知』の警報はさっきほどじゃにゃいが
アンの得体の知れない不気味さ
これって.....
貞子だニャ! キットくるーニャ!
ドラは怖いニャ
いってもまだ9歳のいたいけな猫ニャ
この沈黙も手伝って胸が苦しくにゃる空気ニャ
「.....ああ。ドラ様を発見出来たのは称号スキル『粘着』ですよ? これ結構スゴイ.....ウフフ....」
「ニャ! 『粘着』!?」
「特定の一人の情報を全て知ることが出来るんですっ! スゴイですよねこれスゴイですよね? 位置情報からステータスまで....フフ....誰でも、ってワケじゃないんですが、ね?」
「ステータス.....ハッ!」
「異世界の猫さん.....何処に行くんですか?」
まずいニャ!
これまずいニャ!
ドラズ個人情報がアンにダダ漏れニャ!
こと【幻惑】は相手が知らにゃいからこそ生きるスキルだニャ
アンの口から色々な人に言われたら.....
これは異世界ハーレムドラ無双をおびやかしうる存在になるニャ!
「.....【幻惑】をかけて欲しいのかニャ?」
「ああ! やっぱりアレ。ドラ様のユニークスキルの幻惑だったんですねー! なっるほどー! それもいいけど今は....何処に行くんですか?」
「ニャ.....」
「何処に行くか? つってんだろ!!!!」
怖すぎるニャ
アンの目は血走り.....口元からはヨダレもでてるニャ
コイツは
コイツだけは今始末しにゃいと大変なことになるニャ
うまくアンをハメれれば....
「か、海洋都市リブロフだニャ? アンとはここでおさらばだニャ....名残惜しいけどーー」
「そっか。では行きましょうか」
「ニャニ!?」
コ、コイツ。
言うに事欠いてついてくるつもりかニャ!?
楽しい楽しいドラズぶらり途中下車の旅
絶対こんなヤツに邪魔されるわけにはいかないニャ!
だいたい『グイン』はどうしたんだニャ! あのDTは!
「ア、アン.....お前には『帰る場所』がこの国にあるんじゃないかニャ?」
「? 暗殺ギルドですか? あれ辞めました。今はドラ様の従者ですよね? うん、今なった。はい、なった」
「そのニャ.....この国にはアンの恋人とかニャ....」
「恋....人? 誰ですかそれー?」
「グインとかいうーーー」
次の瞬間!
アンは奇妙な声を出して笑い出したニャ!
人間とはとても思えないような声で.....
「アーーーーハッハッ! ハッハッハァ~~~!! ハァハァハァーー!! アハーーーーッ! キャハッ! キャハハハハ~! キィキィキィ! キャッハァ~!」
「......」
アンの異様にカン高い笑い声が辺りにこだまするニャ
馬車乗り場の手前でここは人のいない『草原』ニャが
人がいたら騒ぎになるような異様さだニャ
ドラはこの不気味さに耐えきれず堪らず言うニャ
「な、なにがオカシイんだニャ!」
「キャハッ! 殺しちゃいましたよーグイン! やっちゃったぁー! やっちゃったああああ!」
ニャ.....
あのDTが.....死んだ!?
つい昨日まで元気に.....
しかも
アンが殺して....それでこの血だらけの服!?
「そんなどうでもいいことよりぃ! さぁ~行きましょうかぁ~? リブロフへレッツゴー!」
「フギャッ!」
「ドラ様とお揃いのローブでえ!」
アンは血のついた服のうえから黒いローブを羽織り.....
いやがるドラを無理矢理抱きかかえて馬車乗り場に向かい出したニャ
異常にハイテンションなのが理解不能だニャ
ともあれ
---【幻惑】はここしかないニャ! ドラズトリガーIN『直接』! 発動ニャ!
「ハ...ウッ.....!? バ.....バウッ....バウバウッ...」
「姉ちゃん! どうしたんだいっ?」
「スゥーーーーーーーーーーーッ......」
や、やったニャ!
アンの分際で調子に乗るからニャ!
考えて見ればただのヤク中
天下のドラ様がこんな雑魚にビビる必要も無かったニャ
お前に『貞子』を名乗るのは100年早いニャ!ニャオオオオン......
「今....入ったらダメ....ったらダメ...負けるな私....ラ様ドラ様ドラ様ドラ様ドラ様ドラ様......」
「姉ちゃん....?」
「大人1人。リブロフ行きでお願いします!」
「は、はいよっ!」
ニャン....だと!?
ドラズチートスキルの【幻惑】が....効いてニャイ!?
そんなハズないニャ!
ドラの【幻惑】は100%かかるニャ!
例え『状態異常無効』のスキルがあっても何らかの称号補正があろうとも!
絶対だニャ!
「.....てますよ」
「ニャ!?」
「効いてますよ? スゴイ効いてる。でも今は.....我慢しないと、ねええええ?」
コイツ.....
ドラ様の【幻惑】に生意気にも慣れてきてるのかニャ!
家畜の分際で.....
家畜は家畜らしく素直にドラ無双されてろニャ!
まあいいニャ?
どうせ永遠の時間を耐えれるハズもないんだニャ?
せいぜい『幸福』で『脳死』を起こしてくれニャ
ニャハハ
「あーそうだ。一応言っておきますけど.....」
「ニャ?」
「私、『心中』っていう素晴らしいスキルを手に入れたんですよお? まさにドラ様と私のためにあるような.....キャハ!」
「ニャ....んだニャ?」
すごくイヤな予感がするニャ?
『幸福』中のアンの異様な表情とあいまって寒気すらするニャ
とりあえず『森羅万象』で鑑定するけど.....
得もいえぬ不安がドラの体毛をおおうニャ?
『称号スキル:心中』
執着した特定の相手一人にのみ発動可能。相手は死に自分も死ぬ。このスキルは回避出来ず無効化もされない
「ニャ.....」
「心中の効果? それはそのうちの『お楽しみ』ってことでえ」
「.....」
「ドラ様.....楽しい楽しい旅の始まりですよ? キャッハ~!」