第11話 いいニャ! いい表情(かお)ニャ!
生命線のドラズスパイダーを察知するとは中々忌々しいモブニャ?
いってもギルド長というだけあるのかニャ?
色々知ってそうなコイツだけには『感染』がかからないようにグインに頼んだがニャ?
結局ただの『チンパン』だったニャ!
ただ気になるニャ?
ドラ様の罠を見破ったのは何かあるニャ?
ドラズスパイダーは超優秀で他人からは目視も出来ず、スキル『罠感知』も反応しないハズなんだがニャ? 謎が謎を呼ぶニャ?
とりあえず『森羅万象』ONだニャアアアア!
ライオネル・ジャナハム(37)
職業:暗殺者
称号:ギルド長
------------
『ステータス』
Lv:22
Hp:173/173(+30)
Mp:0/0
つよさ 48(+10)
はやさ 45(+10)
まほう 33
『スキル』
隠密 リーダーシップ (危険察知)
『ユニークスキル』
なし
人間にしては『体力』が高い、ってくらいかニャ?
やっぱりただの体力バカだったニャ
こんな能力でギルド長はれるんにゃら、ここのギルドもたかが知れてるニャ?
そりゃ天下の『アサシンコボルト』さんに頼りたくなるってもんニャ?
誰かさんの手によって非業の死を遂げたけどニャ ニャハハ
恐らく網を回避された原因はコイツのスキル『危険察知』だニャ?
()マークが付いてるから装備品による付随効果ニャ?
これは多分.....
良い装備持ってるニャ! 殺してでも奪い取るニャ!ニャアアアア!
「ぶ、不気味なケット・シーめっ! 死ねえええええ!」
「フニャアアア!」
ニヤニヤしているそばからギルド長の『手投げナイフ』が飛んできたニャ!
飛び道具は卑怯ニャ!
さすがにアウトニャ!
お前はいたいけな猫に向かって『良心』ってモンはないのかニャ!
ザクッ!!!!!
「や、やった! 完全に当たった!」
ニャ......
「おい見てくれ! ムーア! やったぞ! クソッ....おかしな術を使う猫だった」
「......」
それは一瞬の出来事だったニャ
まさに刹那の出来事だったニャ
ドラのいたいけなドラズローブにナイフが刺さって.....
『はやさ22』のドラが避けれるハズもなく....
一瞬のうちに勝負が決してしまった瞬間だったニャ.....
このドラ様の『大勝利』でニャア!ニャハハハハ!
「ニヤリ、ニャ......」
「な.....!」
「お前。今なにかしたかニャ?」
「あわ.....あわわ」
.....その顔を待ってたんだニャ?
人間の『喜び』から『恐怖』に変わる瞬間の顔ニャ?
なんともいえない至高のスパイスニャ.....
そしてーーー
「殺すっ! 悪魔の猫めっ! 死ね! 死ねえ!」
「ニヤニヤ、ニャ.....」
ザクザクザクッ!!!!
「こ、殺してやるっ! みんなを助けるんだっ! 俺には守る義務があるんだあああっ!!」
ザクザクザクッ!!!!
「これでどうだ.....これで....」
『恐怖』はやがて『絶望』へと変わる.....
そう、その顔! その顔だニャ!
「こ...れ..で.....」
「もう終わりかニャ?」
「ウッウッウッ.....ムーア.....みんな...」
「『絶望』はやがて『あきらめ』へと変わる....いいニャ! いい表情ニャ! ニャハハハハ!」
「悪.....魔めっ!」
言うにことかいて『悪魔』とは何事ニャ?
こんないたいけな猫に全力出すお前のほうがよほど悪魔ニャ?
ドラ?
ドラは『狩り』を楽しんでるだけニャ?
人間もネズミも似たようなモンニャ?
最後は決まって泣き叫ぶニャ
「....す...けてくれ...」
「ニャ?」
「たす.....けてくれ! ムーアを! みんなを! 俺はどうなってもいい!」
「さあてニャ? ドラ様はおかんむりニャ?」
「『アサシンコボルト』の件だな! 言う....言うよ」
ニャ?
コイツやっと言う気になったかニャ?
初めからそうしろ、って話だニャ
お前の投げナイフショーに飽きてお仲間はみんな外に行っちゃったニャ?
一人を除いて.....
「俺は『長』に頼んでーー」
「この際『長』とかどうでもいいニャ? お前の暗殺ギルドと繋がりのあるコボルトキング的な何かとするニャ。そうではにゃく。『誰に勇者暗殺を依頼されたか』ってことニャ?」
「言ったら.....殺される」
そんな事だろうと思ってニャ?
実はお前の大事な恋人の『ムーア』だけはさっき幻惑解除していたんだニャ?
『飢餓』の【幻惑】が解けた今....愛しのメスブタはどうなってるのかニャ?
「ウ.....グッ....!」
「ムーア!?」
あれだけ急にモノを詰めたからニャ?
急激『過ぎる』血糖値の上昇による意識混濁は相当なモンニャ?
フタを空ければただの眠気。寝れば直るんにゃが、異世界のヤツらにそんな事分かるはずもないニャ
「分かったかニャ? その女を助けたければお前は言うしかないニャ?」
「.....分かった」
ドラ様の甲斐甲斐しい説得にようやくギルド長も話す気になったニャ?
やはり話合いをすればみんな分かりあえるんだニャ
争いは憎しみしか生まないニャ?
しかしここでもドラの仏の様な優しさだニャ?
ギルド長もドラズ仏の慈悲に感動の余り涙ぐんでいるニャ ニャハハ