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四十五話

大変遅れて申し訳ないです……。しかもかなり短め。

 さて、一応実家なのにRPGのお使いクエストのごとくあっちこっちへ行かされて、当初の予定の一つだったクヴィスお兄様の療養している部屋に来た。もちろんその辺にいたメイドさんを捕まえて、案内してもらって、だ。


「クヴィスお兄様、ベイセルです」

「おー、ベイか。入っていいぞー」


 外から軽く声をかけて部屋に入ると、お兄様は退屈そうにベッドに横になっていて、すぐそばで奥さんのロレーヌお義姉様がお兄様の手を握っていた。


 実は、我が家の子供は全員婚約済みである。加えて、クヴィスお兄様は既婚者だ。お兄様二人は俺とは違って自分で選んだ相手らしいが……そっちはそっちで、結構な苦労があったらしい。先方のご家族を納得させるためだったり、お父様やお母様を納得させるために色々やったんだとか。クヴィスお兄様は既にお父様から領地を一部任されているし、ルベルトお兄様もいくらか手伝ったりしてるんだそうだ。相手を選んだんだからこれくらいやれ、とのことらしい。逆に俺は勝手に選ばれたからか、もしくは年齢からか、特に何も言われていない。


 それと、ロレーヌお義姉様は実は貴族ではない。その辺りの事情もあって、色々苦労したという話はよく聞いた。だからか、我が家は貴族とか平民とか、そういう分け方はほとんどしない。それなのに俺が割と区別していたりあまり積極的に接そうとしなかったのは、お兄様達の苦労話を愚痴とかを聞いたりして知っているからである。


「おう、ベイ。元気そうだな」

「お兄様も、お元気そうで何よりです。お義姉様も……ええと、大丈夫ですか?」

「問題ありませんよ。おかえりなさい、ベイセルくん」


 片手を上げて出迎えてくれた、思った以上に元気そうなお兄様と、その横で座っているお義姉様に挨拶。怪我のせいか、身体のいたるところに包帯を巻いているお兄様はともかく、健康なはずのお義姉様の方もちょっとやつれてるようにも見えるんだけど。正直傍目にはどっちも病人のようにしか見えない。


「そうなんだよ。こいつ俺に仕事をさせないでおいて、自分は無理しまくってるみたいでな。ベイからも言ってやってくれや」

「貴方に任せてはもっと酷くなるでしょう。ただでさえ今でも私に隠れて仕事をしているというのに。ベイセルくんも言ってあげてください、もっとちゃんと休みなさいと」

「げっ、何で知ってんだよ……」


 ……似た者同士だなあ、本当に。たまに会うと似たようなやりとりをしてるし、こういうところを見る度にお似合いの二人だと思う。


「お二人ともお大事になさってくださいね。心配するのは僕やお母様なんですから」


 今世になって割とよく思うことだが、色んな意味で優秀な人が家族にいると、例え本人がいくら大丈夫だと主張してもハラハラしてしまう。今回も、明らかに調子が良くなさそうなのに無茶しようとするしさ。何というか、自分に無頓着みたいで心配になる。


「あー……わかってるよ。母さんにあんまり心配かけさせるわけにもいかねえしな」

「……そうね、気を付けます」


 二人とも、ちょっと困ったような顔でそう言ってくれる。とはいえ、こうして言ったって一時的なもので、そう簡単には変わらないんだろうけど……せめて怪我してる時くらいは休んでほしい。


「そういえば、お兄様を襲った相手のことは分かっているんですか?」


 このまま言ってても二人を困らせるだけだろうから、こっちから話題を変えることにする。この話題も怪我人に対しては微妙ではあるが、お兄様はそういうことを気にしないタイプだから大丈夫。


「あぁ、それな。俺のことが気に食わねえって奴らの差し金だろうよ」

「ちょっとクヴィス、ベイセルくんにそれを言うのは……」

「つってもな……ベイもそろそろその辺のことを学ばなきゃダメだろ。第三王女と婚約が決まったわけだしな」

「それは……でも、まだ早いでしょう?」


 何故か二人の軽い言い合いが始まってしまったが、要するに貴族の黒い対立のお話ってことなんだろう。拒否したところで、貴族として生まれている時点でどのみちその類いの話はついて回るから、理解せざるをえないんだよな。


「……まさか、屋敷に侵入してきたのも?」

「いや、そっちは別物だろうな。俺の方は、明らかにそっちの人間だろう奴らが複数人だったが、母さんの方はそもそも人間ですらなかったって話だからな」

「加えて、あのお義母さんが怪我をしたのですから、相当な手練れだったのでしょうね」


 そうそう、俺はその場面を見たことがないから知らないが、お母様は昔からお父様と一緒に旅をしていたそうで、結構強い人らしい。ウチで働いているメイドさんのほとんどの人よりは強いんだとか。本人に聞いてみたことはあるが、昔よりは弱くなったとのこと。


「そういや、もう父さんには会ってきたのか?」

「はい、お母様とお父様には先程挨拶をしてきました」

「そっか。なら聞いたか?」

「……?」


 勿体ぶった言い方だな。お父様も意味深な発言をしていたし、よっぽどな話なんだろうか。


「俺らに弟か妹が出来るらしいぞ」

「……えっ」


 何それ聞いてない。

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