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幕間―2

視点変更その2。今回はかなり短め。次話から主人公視点に戻ります。

「ふぅ……ようやく今日のお仕事が終わりました。こんな夜まで飛び回らされるなんて、あの方は相変わらず人使いが荒いですねぇ」


 仕事終わりの帰り道、暗くなってきた空を飛びながら、どうせ誰も聞いてないだろうからと、そんな独り言を呟く。そもそも私のお仕事は彼らの観察だけでしょうに、なんで討伐やら交渉やらに駆り出されなきゃいけないんですかねえ。


「まあいいです。こうして夜景を見下ろしながらゆったり出来るんですから、天使というのも悪くはないというものですね」


 少なくともあの方みたいなのは絶対に嫌ですね。あんな面倒そうな生き方はごめん被りますよ。


「……それにしても、彼に対しては珍しく手をかけてますねえ。ミッションなんて他の人達とは違ってあんなに簡単ですし、上等な報酬まで与えるなんて」


 少し前に会いに行った彼には、今までの他の方達とは違って色々手を出しているみたいですしね。わざわざわたしに報酬を手渡させたこともそうですし、そもそも生まれの段階で優遇されてましたしねえ。


「これはあれですかね、惚れてるんでしょうかね? いやあ、これは面白」

「そんなわけがないでしょう」


 急に目の前にあの方が現れたので、慌ててその場で急停止をする。いくら天使とはいえ、こんな動きをするとそれなりに疲れるんだから、もうちょっとその辺を配慮した現れかたをしてほしいですね。


「おおぅ……いらっしゃってたんですか」

「彼らにはしてもらわなければならない事があることは貴女もご存じでしょう。その中で一番都合のいい動きをしているのが彼だった、それだけの話です」


 相変わらずの無表情で淡々とそう言うこの方には、流石に変な感情はなさそうです。せっかく面白そうな話だと思ったのに、残念ですね。


「冷たいですねえ。もうちょっと親身になった方が信頼も厚くなると思いますよ?」

「必要ありません。依存されても困りますので。それよりも、仕事は終わったのですか?」

「終わらせましたよ。……でも、こんなのでいいんですか? バレると後が大変ですよ?」


 彼の住んでた屋敷の時もそうでしたけど、わざわざアレを誘き寄せてくる必要があったんですかね? いくら近くにいたとはいえ、正直疲れるんで出来ればやめてほしいんですけど。


「今後のために必要ですので。貴女にはまだまだ働いてもらいますよ」

「えぇ……いい加減休みをくださいよ」


 ここ最近は休みをもらってませんし、ちょっと働かせ過ぎじゃないですか?


「事が事なので、まだしばらくは休めません。早めに終わるよう迅速な仕事を期待していますよ」

「まったく……あの時は変に成長させたせいで、アレの始末は大変だったんですよ。わたしをこき使うんですから、それなりのものは用意してもらいますよ」

「……考えておきます」


 ちゃんと用意しておいてくださいよ、ほんとに。他と違ってわたしはただの雇われなんですからね。


「ところでなんですけど。何で最近は外から引っ張ってきてるんですか? 中から選んだ方が色々楽だと思うんですけど」


 そのせいでわたしも色々と動き回らされましたし。外との交渉とか、世界の調整とか。


「私達のような、一つところに籠っている者には想像もつかないような事を考えるのです、外の者は。事態が硬直していた状況で打つ手としてはさほど悪くもないでしょう。加えて、力を与えるのも容易であり、なおかつ私のような者が大きく動く必要もない。毒をもって毒を制す、ともいいます」


 その余剰分の毒とやらを対処するためにわたしが動かされるんでしょうね、どうせ。彼らには上手くやってほしいものですねえ、わたしの仕事が減るように。


「というか、どうして直接動かないんです? 直接やった方が早いのでは?」


 私でも多少手がかかる程度なんですから、この方なら余裕でしょうに。……サボりですか?


「脅威が内々のものだけなわけもないでしょう。外からのものはどうしても私のような者が必要なのです」


 あー……そっちをさせられるよりは今の方が全然マシですね。あんな人外魔境に行くなんて絶対に嫌ですから。


「では、引き続き仕事をお願いします。私は忙しいのでこれで」


 それだけ言ってあの方は消えてしまった。しかし、何しに来たんでしょうか。私の疑問に答えてもらっただけのような……。


「まさかですよね。そんなことより、どうせ明日もこき使われるんでしょうし早めに寝ましょうか」


夜の空を飛ぶのも程ほどにしておかないと、明日も大変ですからねえ。まあ、わたしは彼らの人生を外からゆっくりと楽しませてもらいますよ。外から見る分には、割と面白い人達ですから。

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