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呪われた歌姫  作者: 遥島 苑
2/5

私の未来

「ごめん…シルティア」

「どうして!どうしてッ…リファオス!」


噛みつかんばかりの勢いで私は叫ぶ。


「私よりもリリアン…その女をとるの!?」

「落ち着いてくれ、シルティア。君を捨てた訳じゃないんだ!」

「嘘ばっかり!私を呪っといて…見捨てるのでしょう!」

「違う!」


心からの叫びがぶつかりあって、部屋は震動する。


「僕は…6年前、間違えて君を呪ってしまった。…その償いとして、ずっと傍にいた。でも、でも…!」

「落ち着いて、リファ」


リファオスの傍で、1人の女性が彼をなだめる。…リリアン。

何であなたが…リファオスを"そう"呼ぶの?


「リリアン…彼女と出会って、僕は自由になりたいと思った。君の言いなりは、もう嫌なんだ!」


…そう言われ、私の"何か"が壊れた。


「っ!…リファオス!この裏切り者!」

「っやめて、シルティアさん!」

「うるさい…!許さない!私を呪って"_________"たクセに!!」


そう言って私は、無意識に魔力を放出させていた。


「けほっ…けほ…シルティア、さん…」

「大丈夫!?リリアン…?落ち着いて」

「リファ…」


もう、リファオスは私を"シルティ"とは呼んでくれない。あの優しさはもうない。その声で私を…


求めてはくれない。

私を、"______"したのに。私を呪って"_____"したクセに。そう妬む気持ちが渦巻く。



「シルティ…?シルティ!」

「っえ、あ…リファオス?」


そうか、夢か。と私は体を起こした。

…最近よく、あの夢を見る。

リファオスが(シルティア)による束縛から逃れるシーン。…エンディングで、私が住む森から手を握りあい、微笑んで出ていくスチルが頭から離れない。

運命を変えようと、シルティアを止めようとしても止めることができない。


どうすればいいの…


不安そうに私の頬をなぞるリファオス。

「…リファオス、…リファ」

「どうしたんだい?シルティ」

「私の名前を…名前を呼んで」


私は彼の腕にすがりつき、乞う。

私を、…求めて。


「今日はよく甘えるね?シルティ。…僕のシルティ」

「リファ…」


抱きしめられ、私はその温度に安堵した。

温かい。眠く、なってきた…


「リ、ファ…」

「僕はいるよ、シルティ」


…だから、ゆっくりおやすみ?

優しい声に、私は身を任せた。


思い出せない。私はどういう呪いにかけられるのだっけ…。なぜ、私はあんなにも彼に執着するんだっけ…?


私が見たのは、夢でも正夢。つまり…私の未来だ。

リリアン・ナルミリアという少女によって、リファオスが変わってしまうことが怖い。


でも、本当に怖いのは…………



「おやすみ、シルティ…」

僕は優しく声をかけ、腕の中の少女をそっとベッドにおろした。

同い年に思えないくらい、小さな体、幼い顔立ち。でも…大人びた思考。


「…気づかれたのかと思ったよ」


少女が起きるまでいじっていた手に収まるビンを、僕は取り出した。

ラベルの文字は掠れて読めない。中には透明な液体が入っている。


「あと3年…早く、目覚めて?…僕のお姫様」


リファは優しく、シルティの頬に唇を落とした。

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