人嫌いな女の子とクラスメイト
移動時間中におっせかいなクラスメイトが班長とわたしの関係に探りを入れてきた。
いつの時代も出歯亀はいる。それが知的好奇心や親切心から来るものならば、学問なり友情なり何なりと個人の糧として有益に発展すればよろしいのだが、下世話な理由から探りを入れてくるのは実によろしくない。
我が学年は317名(男子161名、女子156名)、ひとクラス40名ほどの8クラスだ。教室の都合上後半の3クラスは階が違うが、遠い距離ではない。その中の男女二名に焦点を当てる、ネタがなかったか、面白そうと判断したのか、果てしなく後者に近い気がする。
にやにやとした顔でおっせかいなクラスメイトが訊いてきた。
「皆川くんと付き合ってるの?」
「(班長の名前かな?)……え?」
班長の名前を必死に思い出しながら困っていると別の子が尋ねてきた。
「結構話してるよね」
「(班長の役割に悩んでたからアドバイスや気を紛らわすために冗談くらいは)……まぁ」
今度はおずおずと三人目の子が訊いてきた。
「……付き合ってる?」
「いえ」
即答したら驚かれた。失礼な。合間にこちらの言い分を言ってしまおう。
「そんな訳ないじゃん。それに、わたしにも好みあるよ」
ちょっと言い過ぎたかもしれない。けど生半可な反論は隙を与える。ごめんね、お兄さんとお幸せに班長。『女装メイドと男装執事喫茶』却下されても、写真渡ししてあるから文化祭が楽しみだよ。
「じゃあ」
足早に教室へと去る。女の子は可愛いから嫌いじゃないけど、ああいうのは苦手だ。二人目と三人目の子とは仲良くなれそう、一人目の子は苦手かな。
わたしは人嫌いな女の子。