老木
広い大地に張るべきこの根を
小さき四角い箱に押し込め
その少なき土の隙間に
わずかばかりの肥求めつつ
自然の摂理が容赦なく
我のこの身を増殖させるも
声なき悲鳴の君に届かず
容赦なき灼熱のあらしが
孤独なこの身を焦がしても
氷でできた君の心は
ただ一筋の涙も流さず
我より出でし貧しき醜き魂の
行方訊く人答えを得ざらん
梢にハリをきつく巻きつけ
君の望みぞ八つに裂かれん
君の乾いた笑いの声が
硬い洞にこだまするとき
この老木の命はかなく
夢よりなお跡形なく逝けり