幽霊
うわ!
暗い部屋のなかで一人声を上げる。情けないが子供がいるような大の大人がホラー映画のドッキリを見て驚いてしまったのだ。そのとき突如着信音が鳴り響きビクッと体を震わしてしまう。タイミングが悪いにもほどがあるだろう。
「もしもし。春樹?最近大丈夫?」
「急になんだよ。お袋。こんな時間に。」
「こんな時間って。まだ20時じゃない。それよりあんた奥さんと別れてからおかしくなったんじゃないの?」
「そんなことないよ。しっかりやってるって。もう切っていい?」
「あんた最近家賃滞納してるらしいじゃない。大家さんから連絡あったわよ。子供のことだって考えなさいよ。不倫して出ていった女との子供だとしても…」
「あーもう。うるさいな!」
そういって電話を強引に切る。それはもう切り刻んで捨てたのだ。ホラー映画の気分がすっかり台無しである。気分転換をしようとお風呂に入ろうと思ったが今は汚れていて入れる状態ではないのを思い出す。
「クソッ」
そういってつい携帯を床に放り投げてしまった。やってしまったと思い携帯を拾おうと屈むと近くのビニール袋がガサッと音を立てた。ホラー映画を見たせいか余計な緊張がはしる。いや、まさかそんなわけない。分かっていながらも体は固まって動かない。そんな体を引きずるように袋の中身を確認する。ああ、よかった何も変わっていない。どうやら屈んだひょうしに床が軋んで中のものが倒れたらしい。少なくとも霊の仕業ではないことが分かりホッとする。すると自然と口から声が出た。
「やっぱりちゃんと死んでるじゃん」




