021
陰茎の生えたJC。
彼女、もしくは彼は、自らの逸物を大事そうに摩っている。
漫画の世界から飛び出してきたような凶悪さだ。頭と竿の境目は彫り込んだみたいにくっきりとした段差がある。本来は色白であろうその肌も夕焼けで影になり、黒々としたシルエットが巨木の如く伸びている。
「はぁ♡」
化け物。
圧倒的な存在感に、腰が抜けて動けない。JCは欲望に蕩けた瞳で僕を見下ろし、ずいと陰茎を突き出してくる。
「ひっ」
頬に当てがわれた。
甘ったるいのに汗臭い、後味の悪い臭気が鼻の奥を焼き、肉厚な竿の感触が頬を押し上げる。
反射的に顔を背けようとするが、両手で頭を固定された。その力強さは普通のJCの比ではなく、首を傾けることもできない。
「うおっ♡ うおっ♡」
JCが獣じみた嬌声を上げながら腰を前後させ始める。頬と陰茎が擦れる度、熱と臭いが濃度を上げていく。剥き出しの性欲が顔面に擦り付けられている。
「う゛~♡」
JCは一度大きく腰を引き、真正面に陰茎の先が突きつけてきた。鈴口から溢れ出た粘性の強い体液が、先端をぬらりと光らせる。
「うわあああ!!」
恐怖が震えを上回った。
喉が勝手に悲鳴を上げて、無我夢中でJCを突き飛ばす。だが、JCはよろめくだけで倒れない。
逃げ出そうと体を反転させた隙に、右足を掴まれる。掛かった指を外そうと空いた左足を振り上げるが、JCが少し腕を引くだけで簡単に転がされた。
一瞬で制圧された僕を仰向けにひっくり返し、腹を跨いで膝立ちになる。
「お゛お゛っ♡」
そして、一切の躊躇なく、陰茎を口に突き込んできた。
口内のみならず頭蓋骨の中までもが、雄の臭いで埋め尽くされる。
「お゛う゛っ♡ お゛う゛っ♡」
遮二無二腰を打ちつけてくる。
長大なそれは口内に収まらず、一突きされるたび、喉奥までをこじ開けられる。異物を吐き出そうと気道が縮み上がるが、極太の陰茎にみっちりと塞がれ、息の抜ける隙間がない。
「う゛ん゛♡ う゛ん゛♡」
腰を振る速度が上がった。無遠慮に体重をかけられ、後頭部が地面に押しつけられる。
明滅する視界。飛びそうな意識。
酸素を奪われ死にかけの脳が、口内で膨らむ陰茎を感じ取る。
「あ゛あ゛あ゛っ♡」
一際大きな声を上げ、JCが果てた。
どろどろのお粥みたいな精液が、弾けた炭酸水より強い勢いで流し込まれ、胃の中にぼどぼどと堆積する。体の内側が熱い生臭さで充満していくのが分かる。
永遠にも思える、長い射精。
JCがぶるりと腰を震わせ、ゆっくりと陰茎を引き抜くのと同時に──
「げぇほっ!!」
吐いた。
堰き止められていた精液が、口と鼻から一斉に噴出する。顔を背ける猶予すらなく、吹き上がった精液がそのまま顔面に降り注ぐ。
「げほっ、げほっ」
缶一つ分の精液を吐き出して、ようやく胃の中が空になる。それでも食道の異物感は取り払えず、激しい咳が止まらない。
苦しい。死ぬ。
はやく逃げないと。精液で片目が塞がり視界もままならないが、それでも、ここを離れなくては。
力の入らない下半身は諦め、這い蹲りながら少しでも距離を稼ぐ。
「う゛♡」
太腿に何かがのしかかる。辛うじて動く首が、ぜんまい仕掛けのぎこちなさで後ろを振り返る。
頬を上気させたJCが、僕の太腿に腰を下ろしている。たった今、精液を吐き出したばかりの陰茎は硬度を失っていない。ぬらぬらとした輝きが、くびれを一層と強く浮き上がらせる。
「ふっ♡ ふっ♡」
JCは発情した犬のように短い呼吸を繰り返しながら、僕の尻を鷲掴む。
粘土でも捏ねるみたいな手つきだ。ジーンズ越しでも手のひらの熱が伝わってくる。
何をするつもりだ。
意図の分からない行動がただ恐ろしく、口を噤んで固まっていると、JCの両手がジーンズの腰回りを掴む。
「ふぅん♡」
革製のベルトのごと、ジーンズを引き裂かれた。
馬鹿げた膂力。しかし、JCはジーンズだけに留まらず、下着のトランクスにまで手を掛ける。
「や、やめ──」
制止の声は届かない。
JCはスナック菓子の袋を開ける気軽さで、トランクスを縦に引き裂いた。
尻の穴が外気に晒される。日常ではあり得ない刺激に、下半身全部が硬直する。
「おっほ♡」
尻を揉む手が大胆になってきた。
下着一枚になったせいで、肌の熱が一層近く感じられる。硬くなった筋肉が徐々に揉みほぐされ、閉じていた穴が押し拡げられていく。
ぴとり。
尻穴に肉棒の先端が触れた。生温い精液に塗れたそれは蛞蝓のような滑りを持つが、鋼にも劣らない芯がある。
こんなものを入れるつもりか。
刺し貫かれる自分を想像し、体中の産毛が総毛立つ。奥歯が震えるほどに冷たくなる僕とは対照的に、のしかかるJCの胸は熱い。腰をくねらせ、陰茎を擦り付けられ、穴の周りが体液で湿らされていく。
怖い。寒い。恐ろしい。
けれど、体は動かない。柔らかな女体と格の違う雄の象徴、相反する存在を一緒に押し付けられ、脳が命令を放棄した。辛うじて動く手が、力無く砂利を握り締める。
「あぁ?」
いよいよ挿入されると絶望した瞬間、突如としてJCの動きが止まった。体を起こし、苛立たしげに周りを見回している。
一体なにが。
JCの腰は僕の太腿に降ろされたままで、依然として身動きはとれないが、唯一自由な耳を澄ませて状況把握を試みる。
エンジンの音。
バイクではない。もっと軽くて、頼りない響き。
どんどん近づいてくる。微かにではあるが、地面が揺れる。
「チッ」
しかし、ここは小高い丘になっていて、坂の真下は見えづらい。JCが舌打ちして、丘の下を覗き込もうと立ち上がった直後。
黄色の軽自動車が飛び出した。
「ぎゃっ」
突如として現れた車は、JCだけを跳ね飛ばす。
テールランプの残光をたなびかせて僕の頭上を超えてゆき、JCごとベンチに衝突した。




