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7. 後先は考えないで
窓からトイレに侵入したがそこに彼らはいなかった。どうやら先に探索に向かったようだ。扉を開けて廊下へ出る。
――物音一つしない静寂が広がっていた。
遠くの天井で光っている非常口のランプ、窓から差し込む赤みがかった月明かり。
どこか不気味な薄暗闇の広がる廊下を見て、ぼくはかすかに後悔した。
あのときみんなでとどまっていたら……。
探偵と少女の二人がこの空間から脱出させてくれると言ってくれていたのに……。
……何やってんだろうな、ぼく。
(でもここまで来たきたんだ……行かなきゃ……。)
前に足を一歩出す。いつもできている行為がこんなにも困難だなんて!!
(まずい……このままだと雰囲気にのまれる。)
歯を食いしばり、拳を固く握る。
(冷静になるんだ! やることは単純! 七不思議の謎を暴くだけ!)
ぼくは勇気を出して仄暗い校舎の中を歩きだした。