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5. 異変の始まり
「――とまあ、俺たちのことを簡単に説明するとこんな感じかな?」
「怪しいものじゃないってことだけ。それさえわかってもらえれば嬉しいな」
さっきはいきなり人が現れたから騒ぎそうになったぼくたち。だけど男性から名刺をもらい、自己紹介があったことですこし落ち着くことが出来た。
文珠川 薫。ぼくらの通う学校のすぐ隣にある雑居ビルの二階、そこに事務所を構えている探偵で鴇冬ユラとペアを組み、この町で活動しているらしい。
どうやらこの学校に出てくる七不思議を調査しに忍び込んだらしい。
「調査なら学校から許可をもらえばよかったんじゃないですか?」
「こそこそ侵入したほうがテンション上がるでしょ?」
……この人たち、ほんとに探偵なのか?
「じゃあさっそく校舎の中に入ろうぜ! おじさんたちもいるしな!」
「おじ……。もうそんな歳か。いや、それよりも……」
そう言って彼は天を指さした。