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3. バレるわけにはいかない!
「……よし、こっちは大丈夫」
「あっちの鍵も開けてきたよ」
放課後、ぼくらは校門が閉まるギリギリまで図書室に隠れていた。頃合いを見て一階男女トイレの窓をそれぞれ開けた。東側は男子トイレ、西側は女子トイレだ。
もしも片方がバレた時、隣のトイレは調べられるかもしれないけど、わざわざ反対側のトイレを調べる警備員もいないだろう。
ドキドキしながら、校門に立っていた校長先生に挨拶をして学校を出る。
悪いことをしている自覚はある。でも、これからすることが楽しみだと言う気持ちには勝てない。
「それにしたってまさか全員参加できるなんてな!」
「今日はお父様もお母様も遅いから…」
「うちは放任主義だからへーきへーき」
「……興味があるからね」
ーー帰り道。ぼくらは先をいく長い影を辿るように歩いていた。そして、話すことに夢中で気づけなかった。
それは朝と同じ場所。一人の女性が学校へと足を運んでいた。