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2. 『神話』を視るということ
「―――それで、結局この学校の七不思議は見つかったのかよ?」
給食の時間になり、同じ班のタケルが興味深そうに聞いてきた。授業が始まる前ギリギリで帰ってきたぼくを見て何があったのか気になったらしい。
「それが、見つかったけど見つかっていないっていうか……」
「どっちなのよ。はっきりして!」
あいまいな返答をしているとマヤも話に入ってきた。
「わたしもココロとさっきまで話してて気になってたのよ」
まさか、と思い名前が出ていた少女の方を見ると恥ずかしそうに僕から目をそらした。
意外だった。おしとやかな彼女もそういったことは気になるんだ。でも……。
「ごめん。七不思議の名前は昔の生徒が作った新聞に載ってたんだけど……、どこで起こるかまでは書かれていなかったんだよ」
申し訳なさそうにそう言うとタケルは目を輝かせながらこう言った。
「だったらさ! オレたちで探し出そうぜ!!」
こうして、ぼくたちはその日、夜の学校を探索することになった。
七不思議を知るということがどれほどの代償を払うかも知らずに――。