表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/5

情報

やった、やっと見つけた!

慎重に手に取ったプロフィール手帳を、宝石でも扱うかのように震えながら開ける。

見た感じ交換日記風だが、そこには予想通りの綺麗な文字が並んでいた。

「え~っと…?」


{リヴァ王国、農業都市部 生まれ   朱色しゅいろ かなめ  誕生日 10月12日

 

一言:これからよろしくお願いします。  }


「おお…!」

よく考えたら、私の望んでいるものは「プロフィール手帳」というよりは「履歴書」の方が正しかったかもしれないが、逆に考えてみよう。

今のこの場所に、綺麗で汚れてもいない、それも「プロフィール手帳」が落ちていた、ということは…

「もしかして…?」



要くん、君、まだ子供?????・


「嘘だろ!!!!」

反射で手帳の次のページをめくると、びっしりと文字が敷き詰められていた。

何かオーラが漂ってくる文章だが、ある意味期待通りの情報が書いてある。


{今年に学校を卒業して、学園に行く。

このノートを使うことはなかった。

何故か男子は俺を避けるし、女子は目を向けただけですぐ隠れて、そのあと女子同士で何か話してるし。

俺の悪口かな?

学園では友達出来るといいなあ}


なるほど、つまりは、うん…

嫉妬されてたわけか!

なるほどなるほど、いやーこれだけの美貌だったら、そりゃぁね…

「じゃなくてさ!!!」

注目すべきはここではない。この文章の最後に記載されている年と、そこの壁にあるカレンダーの年は…

「一緒やんか!!」

ということはだ、つまり私はこれからな、

「学園に行かなきゃいけなさそうだ!!!!!」

ズザァ!!と私は膝ではなく全身で崩れ落ちた。

急すぎる、急すぎるのだ。

ただでさえいきなり美少年に乗り移ってポーカーフェイスも保てなくなっているのに、そこに元OLが学園に行かなきゃなりませんよー。じゃもう駄目でしょうよ!!

「終わった…」

私の思考は割れた。

究極的に分けるとすれば、

①学園には行かずに、ひたすら要くんの中身が入れ替わったと悟られないまま元に戻る方法を探し出し、そのまま元に戻る。

②学園にしっかり行きそこで情報収集をし、中身が入れ替わったと悟られないように元に戻る。


どっちだ?

ただ単に私が元に戻りたいだけなら①で構わない。一人で探した方がしがらみもなく楽なのは明確だ。

…でも、戻った後はどうなる?

私がここで学校に行かなければ、要くんは上手く生活していけないのではないか?

いや、別にその後のことは私にはあまり関係がない。

しかし、要くんのような美少年が、これから先苦しんでいくのも見たくない。

悩まないのが私の長所だったはずだ。

「よし、決めた…」

もう当たって砕けるしかない。あまりに変な挙動を見せなければ、要くんは普通の日常を生きていけるだろう。

普通の人が普通の生活を送るのに、何ら悪いことはない。

「よっしゃ、学校行ってやるわ!!!!」

本当はコンチクショウ!と言ってやりたかったが、さすがにやめた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ