【9】
初めは様子を伺っていたのか男の剣さばきにキレはなかったが、徐々に本気を出し始めたのか僕の体に触れそうになる。
仕方がないから僕は片手に剣を出現させた。漆黒の剣だ。
その色を見た王は目を見開いていた。
真っ青だ。
「やめだやめ、やめーい。」
「はっ!」
「何だよ、これからだって時に。」
「申し訳なかった。こちらのミスだ。」そう言いながら王は頭を下げた。王が頭を下げるという事はよっぽどの事だ。だから僕は何も言わなかった。ジジーも何も言わない。
チビの娘はなんかお菓子を貰ったのかニコニコしている。
ボサボサ頭の青年は居心地後悪そうにしていた。なにか隠してるなって思ったのは間違いない。
「そうだ!こいつも魔力あるぜ。多少だけどさ。手合わせしたら?」ボサボサ頭の青年はブルブルと頭を降っている。
王はその時になってようやくボサボサ頭の青年の姿を見た。
「あーー!!」そう言いながら指を指す。
しまったァという顔をした青年。
「この!バカ息子が!」へ?バカ息子?誰が?
言われたものの顔を見たらボサボサ頭の青年だった。え?もしかして偉い人だった?
見てくれがこんなだから分からなかったよ。
「身なりを整えてこんかぁ!」
「ギャーギャー。」青年なのに子供のように駄々をこね外にいた警備兵に連れてかれる。一体どんな顔をして現れるか見ものだなって思ったよ。
しばらくして現れたボサボサ頭の青年もとい王子は髪をバッサリときり揃われ顔がようやくはっきり見えた。
ボサボサの時は髪が邪魔をして見づらかったのだ。
王と同じ瞳の色、癖のある髪は親子だとわかる。
何故ボサボサにしてたのか知りたいところだがここではきっと話してはくれないだろうなぁと思い口を紡ぐことにした。
それにしても美形だなぁ〜。だってそうだろ?場内の女性の王子を見る目が違う。
僕は珍しくもない真っ黒な目と髪。
羨ましいなと思ったよ。
まぁそんなことよりもさっきの王様の僕の手に出現した漆黒の剣について何か言いたそうだったから聞いてみることにした。
「王様、聞きたいんですが、僕のこの剣についてなにか言いたそうにしてましたがなんだったんですか?」
「あ〜、いや、まあ、その……。」
「王様、わしから説明しましょうかの。」ジジーはそう言いながらぽつりぽつりと話し始めた。
この王国に古くから伝わる伝説について。
災いがやってくると漆黒の剣が現れる。
その剣を持つもの世界を揺るがす程の強大な魔力を持つ。
その剣を一振するだけで山は消え去り荒地が残る。
間違った使い方をすると世界が滅ぶ。
全てが終わったあとその者は帰る。
ってなに?!そんな話知らないし。
まさか僕が?いやいやいや有り得ない。
そんな気もサラサラないし。
なんならこの剣あげるから僕は自由させて?
そう言ったのに無理ってなんで?
そもそもその剣は他の人が出せるものじゃないってアリか?
何なら渡すけど…って手放したら剣が消えた……。
無理じゃん。
どうしたらいいの?
そもそも災いって何?どこにそんなことになってる場所があるの?え?そんな場所はまだない?何じゃそりゃ??