【6】
4人になってぞろぞろと歩いていたら、視界に入るだけで、数人の護衛がみてとれた。僕には見えちゃってるんだよね〜。
だからそれとなーく言ってみた。
「護衛さん、見えてるよ?」青年は?と言う顔をしていたが、事態を呑み込めて真っ青になった。
「え?見えてる?」
「ああ、ばっちしな。」
青年はその場で大声で叫んだ。
するとあちこちから一斉に男達が走ってくる。
「君達、彼には見えてるって言うじゃないか。ちゃんと隠れてた?」「はい。ちゃんと距離をとって周囲に溶け込むようにしてましたが……。」
「あ、その人たちは悪くないよ。僕は魔力があるから見えちゃうだけだから。」
その言葉を聞いた青年達は一瞬固まったが、緊張は取れたようだ。
「え?君、魔力持ちなの?」
「ああ、こっちのジジーもだ。チビの娘は大してない。」
「そうか、じゃあ国に所属してるというわけか?」
「いや、まだ登録はしてない。こっち来たばかりだからな。」
「?それはどういう?」
「気がついたらこの世界にいたってだけだ。つまりは僕は異世界人てわけか。」
「ふんふん、それは興味あるなぁ。異世界というのがそもそも存在したのか。それに魔力持ちときた。研究材料がこんなところにあったなんて。嬉しいよ。」
「僕は別に嬉しくないんだけどね。元いた世界に戻りたいだけなんだが…。」
「その方法はわかってるのかい?」
「いや、それがさぁ、全くもってわかんないわけよ。参ったわ。ハーッハッハッ。」
「戻りたいかい?」
「そりゃ知ってる元いた世界に戻りたいよ?友達とかもいたしさ。平和で代わり映えない世界だけどそれでも満足してたんだ。」
「平和な世界かぁ。羨ましいなぁ。この世界は争いが起きやすい世界だからね。絶えず隣国と戦争さ。」
「そりゃヤダな。早く元いた世界に戻りたいよ。」
「そういえばさっき言ってたよね?国に登録してないって。見つかったら強制的に戦場に送られるから急いで登録しといた方がいいと思うよ。騎士達がどこでみはってるか分からないからね。」
「そ、そうなの?なら何処で登録した方がいいんだ?」
「い、私がやっておくよ。私の護衛を任務中とでもしておくね。」
「そりゃ…いいのか?本物の護衛もいるのに。」
「彼らは魔力が多少はあるが多分君ほどではないと思うよ?君、強い魔力待ちだよね?あの時の君はまだ本気じゃなかったように見えたけど…。」
「はは。分かっちまったか。まだ本気のパワーは出したことないんだ。ジジーが危険すぎるからやめとけって。まだコントロールができない時に山ひとつぶった斬ったからなぁ。」
「へ?じゃあ、地形が変わったと報告があったのは君のせい?」
「なんであんたに報告が行くんだ?ほんとにただの研究者か?偉いさんじゃないのか?」
「いやいやいや、ち、違うぞ〜!私は一介のしがない研究者だ。」
「怪しい……。」