【5】
なんか疲れたなぁ〜と思ったら突然足の力がなくなりカクっとクズ折れた。
ジジーはわかっていたようで、何も言わなかった。
「なんだよ!なんか言いたいことあるんじゃないか?まさかこんなところでぶっ倒れるなんて思いもしなかったからな。笑いたきゃ笑えばいいさ。」
「いや、笑わんぞ。」
「そういう割に顔が笑ってる気がするんだが……。」
「ハッハッハッハッ。笑ってみたがどうじゃ?」
「ったく腹立つ!動けるようになったらぜってー魔力使ってやる。コテンパンにしてやるからな。」
「あ、そりゃ無理じゃ。」
「へ?」
「だから魔力は今すっからかんの状態だからな。ナーンにもできんわい。カッカッカッ。」
笑われて腹が立ったが、魔力が今はカラ?そんなもんなのか?
でも腕に力を入れても上がらなかった。
魔力消費が物凄かったようだ。
何とかしようと動かし続けてみたがピクリとも動かないので諦めた。
「はぁ〜。」と大きなため息をついた。
こんなに動けないことは無かったから。
初めてのことは戸惑う。
でもこんだけ魔力がでかければ元の世界に戻れるんじゃないかって考えたが、空間移動?テレポーテーション?……わからん。
とにかく元の世界への帰り方が未だに分からないと言うことは確かだ。
このチビの娘とジジー相手に生活しなきゃならんとは…ため息しかない。
でもそんなこと考えてた僕に更なる試練?が?
とある街でブラブラしていたら、怖〜い男達に絡まれてるボサボサ頭の青年がいた。両手に紙袋を持っててとても大事そうにしていたからか男たちのお目当てはそのお宝?のようだ。
正直めんどくさいと思ったよ。けどさ、チビの娘のやつがそいつらの方にかけてったからさあ大変。
「悪いことしたらダメだよ?お母さんに教えてもらわなかった?」
「だってよ。ハーッハッハッ。笑っちまうぜ。」
「だな。こんなガキに言われちゃおしまいだって。」
怖〜い男達はサングラスをかけてれば怖いとでも言いたいのか?全く怖くないぞ?
仕方がないと僕はそいつらのいる方へ歩いていった。
「なぁ、あんたらさ、そいつに絡んで何してんの?」
「はぁ?てめぇには関係ないだろ!俺達はこいつに用があんだよ。」
「ヒェッ。」絡まれてる男はその場から逃げ出したくても周りを囲まれて逃げ出せず顔面真っ青だ。
「はぁ。」ため息とともに僕は肩をグルグル回してウォーミングアップだ。
良からぬ気配に怖〜い男達は標的を僕に変えた。
僕は意識を下から上へと持っていく。
そう、それは地面から魔力を貯めているのだ。ジジーは両目でガン見していた。
チビの娘はポカーンと口を開けたまま固まっている。
髪が伸び風もないのに揺れた。
目が光り、片手を前に伸ばしている。
「今ならまだ逃げられるよ?僕から逃げないと酷い目にあうかもよ?」
「なんだと?ムカつくガキだ!俺らの力見せてやろうぜ!!」
「「おう!」」
3人一斉にかかってきたが、僕は全く動じる様子はなく、伸ばした方手のひらを開いた。すると目の前にいたはずの怖〜い男達は空中に浮かんでいた。
「な、なんだ?こりゃ!」
「な、何とかしろよ!」
「そう言われても〜無理だよ…。」
男達3人は悲鳴をあげてばかりで張合いがなかったのでサッサと地上に下ろした。
そして彼等の前に腕を組んで立っていると怖〜い男達は一目散で逃げてった。
その場に残されたのは腰が抜けたボサボサ頭の青年が1人。
「大丈夫?」
「あわわわわ。」震えて逃げようとするが、チビの娘が後ろからガシッと捕まえて離さない。
「怖くないよ?怖くない……。」
背中を擦りながら言われて気がついたら落ち着いていた。そこに屈強な男達が数人やってきてこういった。
「先生!大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。彼らに助けられたからさ。」
「それはどうもありがとうございます。」気持ちがいいくらい頭を下げてくる。
「じゃあ、僕らはこれで……。」
「君たちはどこから来たの?何処へ行くの?」
「へ?えっとぉ、森から来て当てもなく街を渡り歩いてますが…。」
「よし、なら私も行こう。」
「「「へ?」」」
「先生、それはまずいですよ。研究が……。」
「それは彼について行って続けるよ。彼は不思議な力を使うようだからね。気になったんだ。ごめんね〜。」
でもよく考えたらどんなメンバーなんだ?
ジジーとチビとボサボサ?などと考えていたら、ボサボサ頭の青年は手ぐしで髪を撫でると顔がはっきり見えてびっくりした。美形じゃん。
普通の女子なら追いかけること間違いなしだろう。
う〜ん、色々考えたんだけど、ボサボサ頭の青年の方が顔を見られることが無い為目立たないんじゃないかって思うので、目立つのが嫌いだというボサボサ頭の青年は納得してボサボサのままでいることになった。
この4人ともなるとどんな力があるのか足でまといになるのは?とか考えるようになった。
まぁ、ジジーは手合わせしてるから分かってるけど、チビの娘はチョコチョコと小回りが効くのと情報収集がすごいということだった。残るこのボサボサ青年は?と言うと、この世界の事をほぼ調べ尽くして知っていることが多いってことと、何やらお金持ちじゃないかって思ってしまったんだ。だってあの数の護衛は多過ぎだろ。ボンボンに違いないと思っている。