【3】
さてさて、森に入るとあっという間に視界が狭くなる。木々が多いからだ。
人が歩く道は確かにあるが、獣道もある。結構大きいと言うことはそれだけ大きな獣がこの道を使っていると言うこと。
だが行くしかない。
獣道は人が通る道とほぼほぼ並行しているのだ。
まるで一緒に歩いて来たかのような…。
足元は悪いがそれでもひたすら目的地へと歩き続けた。
足元ばかりに気を取られると目の前に小枝の塊が……。
避けようにも蜘蛛の巣も張ってて気持ち悪いったらない。
蜘蛛の巣も普通の巣よりも何倍も大きい。それは魔物の巣のようで怖くてたまらないが、少女の目の前で無様な姿は男としてみっともないと思い顔をひきつらせながらも剣で切り倒していく。
1時間くらい歩いただろうか……広い場所に出た。そこは目的地のすぐ先だ。
なぜわかったかと言うと薬草がチラホラと生えているのをみてとれたから。
目的の薬草もあるかもしれないと期待して前に進む。その時近くで獣の唸り声が聞こえた。
皆武装して構える。
一瞬の隙が命取りになる為だ。
ひたいから汗がつたい落ちる。
全く動けない。
けれどもいくら待っても獣の姿すら見えなかった為移動したのではと年長の年寄りが言うからそうなのかなと武器を解除した。
しばらく歩いて目的の場所に着いた。
そこは野生の薬草がたくさん分布しており、皆でありったけの薬草を腰の袋にしまうとその場を後にした。
それから魔物とは会うことも無く2時間ほどで無事に戻ってくることが出来た。
ミッションをクリアーできたことで少女は報酬を得たが、なんと僕らに全部渡してきた。これは報酬ですって。
イヤイヤ、君だって頑張ったじゃないか。君にだって受け取る権利はある。そう言ったんだが、目的は薬草だったので余った薬草を貰うことにしたそうな。
嬉しそうな顔をして片手をおおきく振りながら僕らと別れた少女は街中を1人歩いていった。
ま、想定外の事があったけどやり方はわかった気がする。
ミッションを受けて成功すればいいんだ。なーんだ簡単じゃん。
けどそんな甘い考えすぐに消し飛んだ。
また無理難題なミッションを受けきた老人はにヒヒと抜けた歯を見せながら内容を教えてくれた。
魔物を退治するものだ。
「なんでまたそんな難しいミッションを受けてくるんだよ!僕の今の力じゃ太刀打ちできないってわかるじゃないか!」
「そうじゃな、たしかにそうかもな。ヒッヒッヒッ。」
このろくでもない老人は僕をどうしたいんだ?魔物が2体。厳しい戦いになるじゃないか。助けてくれる……わけないか。
う〜もうこうなったらやけだ!やってやろうじゃないか。どうなったって知らないからな!