【22】
さて、いつまでもここにいたって何も始まらない。出かけようという事になり、総勢二十名が馬に乗ってゾロゾロと動きだした。
あてもなく…では面白くないので、普通の人が行きたがらない場所を目指して歩き出す。
馬はヒヒンと鳴き同行している仲間はため息をつくものもいた。何でそんなに嫌そうにするんだ?
これから行くところは未開の地かも知れない。面白くないか?僕は面白そうだと思ったのに……。
まぁ、何とかなるかと思いながら馬を歩かせる。
しばらく歩いていると、道が開け、あたりは何も無い廃墟のような場所に出る。
なにぶん建物も壊れており、何者かに破壊された後が見て取れたのだ。ただ人っこ一人いない。
人々は一体どこへ?
仲間の一人が意識を集中して人がいた痕跡を探す。
しばらく経ってこう言った。
「人々はもうここには誰一人としていません。人の思念と言うか、思いがここには残ってないからです。」
「じゃあどこに?」
「おそらく何者かに連れ去られたのでは無いかと。」
「町中の人間を攫ったという事なのかな?」
「はい、多分。そう、思われます。」
「じゃあさ、助けに行かないとね。」
「で、ですが我々だけで行くと?相手の人数もわからないというのに。能力だって何を持っているのか開幕見当もつかないですよ?」
「あゝ、それなら僕が何とかなる。」
うたがり深い彼らは数人で固まってボソボソと何か囁きあっている。
まぁ、こんなのは慣れっことはいえ腹が立つのも事実。良い手はないかと考えていた時思ったのだ。
相手の場所がわからないなら出てきて貰えばいいと。
確かにそれはそうだが、今ここにいるのは屈強な男達ばかり。
騙そうにも騙されそうに無い。だから僕は指名した数人に対して相手からは女性に見えるように魔法をかけた。
「な、なんだ?何があった。そいつは男だったはず。何で女が立ってる?」
「あゝ、僕がね、ちょちょーっと術をかけて見た目を女に見せてるってわけ。敵さんが出てきやすいようにね。」
あり得ないと皆その場で固まっていた。
やれやれ…やっぱりそうなるか。
だが罠をはらないとまずどうしようもないことから術をかけられたもの達は大人しく立っていた。
5、6人ほどでいいかと思い、皆に所定の位置につくように指示をした。
あとは物陰から奴らをとっ捕まえるだけだ。




