【20】
1人が正面突破。残りの4人は各個が各々の判断で攻撃を仕掛ける。とは言え、先ほどの2人は多少どころかダメージありありだ。となると…残りは3人か。
1人はカマをかけたつもりだが残りの全ての人間を集めたって僕に勝つ事はできない。だから僕の仲間はその場でくつろいでいる。まぁ、たまたま結界が解けたとして僕の前に出たらあたっちゃう可能性はあるけどね。
そのつもりはない。
5人は円陣を組んで僕に攻撃をかけようとしているみたいだ。面白そうだからリラックスしてみてみることに…。その様子を見ながら青年達は全方向から攻撃を仕掛ける。
当たる!そう思ったのに目の前には僕の残像しかなく、皆驚いている。そんな高度じゃないんだけどね。
でもこいつらにも多少の魔力はあるようだ。
めんどくさくなってきたのでさっさと片付けることにした。だって大した力もなさそうだし…。無駄な体力は使わないって事。
軽く受け流すように魔力を分散させて散らせると青年達は皆顔色を悪くしていた。そりゃそうだ。5人がかりなのに倒すことは愚か傷ひとつついていないのだ。この時になってようやく実力差が大きいことに気付いた者はサッと逃げようとするも、僕からは逃げられないと言うことをまだ理解していないのか何度もテレポートしようとするが、何度やっても移動出来ない事にようやく気づき僕の顔を見た。
僕がそこでニヤリと笑うとその場で腰が抜けたように座り込んでしまった。あとできることは自害のみ。
誰も僕の実力は知らないからこうなることは当然…と言うことなのだけれど、請け負った側からしたら貰った報酬だけでは割りに合わないと感じたに違いない。
ここからどうやったって逃げられない。
弱っている仲間を囮に逃げる算段をつけ、残されるものも納得の上で最後の攻撃を仕掛ける。
カキーン!
と、金属の音が聞こえた。
だけどその先にあるはずの僕の体は傷ひとつ着いてはいなかった。なんせ人一人分の強力な結界をしいていたから。
その姿を遠くの方から見ていた少女、口をあんぐり開けてとても驚いていた。
二重防御魔法は高度な魔法で尚且つ使えるもはほとんどいないと聞く。それを最も簡単にやってのけたのだ。見間違いだったと言うことは誰が見てもありえなかった。
「な、なんだ?何が起こった?おま、お前は一体何者?人間か?」
「あー、ワリイ。めんどくさいからシールド張らせてもらった。」「めんど…くさい?それだけの為に力を使った?詠唱も無しで?」
青年達はもう戦う気力は無くしていた。それほどの力の差。今までこんなやつの情報は耳にしてこなかったのは何故?
依頼をしくじったから私達は消される。確実に。
でも彼なら…助けてくれるかもしれない。
でも何の見返りもなくだと頼みは聞き入れてはくれまい。
どうする?




