【2】
僕は逃げ出そうと考えたがなんせこのパートナー、力も僕より強いだろうと思える為逃げられないのだ。
いつぞやも逃げ出そうとしたことがあったのだが、あっけなく捕まり凄い扱きが…。思い出しただけでも体が震える。
仕方なく頼ってきた少女の依頼を受ける事になった。本当にヤバくなったら僕…逃げるかも……。この子には悪いけど。
あれこれ考えていたら首に何か取り付けられていた。??って思って聞いてみたら聞かなきゃ良かったと思う残念なものだった。
老人は嬉しそうにケッケッと笑いながら僕の首に取り付けたものの説明を始めた。簡単に言えば逃げられなくなったということ。何故って?
逃げたら魔力が封じられるという恐ろしいものだったからだ。そうなると魔物からは逃げられない。戦うことすら出来ないからだ。恐ろしい……。
なぜそんな物騒なものを持っていたのかを聞いたら簡単な事だと言われた。
「魔力持ちが逃げたらどうなるか、見せしめの意味で持っていた。」との事。「ヒィィ〜。」僕は悲鳴をあげた。正しく今の僕に当てはまるじゃん。
ガックリと肩を落としその場にくずおれる。
少女は不安そうな顔をしていたが老人は嬉しそうに話している。なんてやつ!
そうこうしているうちに日もくれたため明朝早くに出発することになった。ただ、少女は急いでいるようだったが夜の森は魔物が活動的になる為危ないからと納得させた。
その場で別れたが、少女がどこから来たのかを聞くのを忘れたのと、依頼料…ちゃんと貰えるのかなと……現金な奴です。はい。
朝早くに待ち合わせた場所は初めて会った魔法省の掲示板の前。そこならわかりやすい。
行くと既に少女は待っていた。
昨日はスカートを履いていたが、今日は森にはいる為ズボンを履いてきていた。その方が動きやすいのは確かだ。ホントについてくるのかが不安だったが、少女は一刻も早く手にしたいようだったので黙っておくことにした。
僕と一緒にいた老人はあれこれと少女に質問攻めだ。
少女はそれに丁寧に答えている。
真面目な子なのか、それとも強がっているだけか。
少女が持ってきた武器は短剣だった。それでは戦うのは無理だと言わなかったのは僕が何とかするつもりだったから。
実は昨日の夜少女と別れてから再度魔力を使った攻撃の練習をみっちりしていたのだ。弱音ははけない。
僕よりも年下の子だ。かっこいいところ見せたいと思っても仕方ないよね?
ただ、森は今まで行ったところとは違いまだ未経験だ。
剣が通じるのか?魔力が効くのかが不安材料ではあった。
街から離れた場所…しかしそう遠くない場所に魔物の森があった。そう呼ばれているのを小耳に入れて知っていた。
森は大きく魔物が徘徊していると聞いた誰かが魔力で結界を張って出られなくしていると老人は言った。それが誰かまでは知らないらしい。
まさか老人じゃないよね?
この老人、見た目と違い動きが素早い。とても歳とった老人とは言えない気がする。
出会った時から不気味だったが、ますますもって正体が知れない。