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19/22

【19】

なんだかなぁ〜。


その後は何事もおきずさっきの刺客はなんだったのかってほど静かというか、退屈に過ぎていった。

領主は他の護衛を皆帰らせると僕たちだけその場に残されていた……。なんか嫌な予感がした。

それは思っていたことと同じだった。


「すまんがこのまま暫くこの町にとどまっては貰えないだろうか?」

「?何で?」

「そりゃあ、……モゴモゴ。」どうやら言い難い事だったようだ。

「特に用がなければ僕らは別の町に向かいます。まだ見た事のない町とか海とか見たいですから……。」

「それは…だな…。」何かあると踏んだジジーがたたみかけるように押し切った。

「わしらも暇じゃないんでな。言い難い用事ならば知ってる人間に話した方がいいと思うがのぉ。」

「そ、それは出来ない。ことはそう単純じゃないんだよ。」

そう言いながらもポツリポツリと話し出した。

決して口外しないという誓約書まで書いて、何も無いならこんな大袈裟にする必要は無いと思う。なら何が言いたかったんだ?


領主は諦め半分の様子で話し出した。

自分には一人娘がいるとな。

で、肝心なのはそこから。

その一人娘、なんと襲ってきたもの達に変な感情を持っているらしく、襲撃があると家から出て見に行こうとする始末。

一人娘なだけにひどく強くいうことができないまま今まできたようだ。なんて事だ。普通はありえない。


その娘となんとか話をしたいと言ってみたが、はたして会ってくれるのか?なんて事考えてたけどホイホイと出てくるから頭のネジが緩いやつだと思うのが1番だった。


娘曰く、カッコいい男性がいたとかで強いし、惚れた〜とかなんとか……。

だけど多分もうここには現れないと思うと話すと「いいえ、また来るわ!あの方とても強いから。」その誰かはわからないけれど僕が倒したと思うんだよね〜。何人か怯えて逃げたからその中にいたかも…なんて事は黙っていることにした。後々厄介になるのが目に見えていたから。

なのにそんな事考えもしなかった仲間の1人が言い放った。

大型の敵は彼が1人で倒したから現れないと思うよ?ものすごい強いんだから。

魔力も膨大。戦いになったら情けはないから怖いんだよね。

「え〜?本当なの?あなた強いの?じゃあ、じゃあ、彼を倒すことできる??まぁ、あなた見てくれからただの子供だから無理よね。クスッ。」

まぁ、確かにみてからはこんなだけど、実際はもっと年取ってるんだけどな〜。こっちにきてから年取ってない感じだけど、実際はそんなことよりも腹立っていた。

僕が弱いって?誰と比べていってるのか?やってやろーじゃん。どこのどいつだ?僕の事弱いとかほざいたのは。



??どこからともなく現れたのは見た目がまともな青年が5人。この人数からして正義の味方か何かで、僕が悪者か?どこがだよ!

あまりに腹が立ちすぎたのでその場で決壊をはることにした。これで僕が結界を解く以外に出る事はできない。

「お前ら、どんだけ強いんだ?僕を楽しませてくれるってか?クスッ。」

「なんだ…チビか。お前はどうでもいい。強い奴はどこだ?俺らはそいつと戦うために来たんだ。お前の出る幕はねー!引っ込んでな!」

「ハァ〜。体がでかいだけのバカか。見た目だけで相手を判断するとはな。どうやら僕の相手らしいな。どうせ一人娘に何か言われた方だろうが、簡単には楽させないぜ。」

「腹立つガキだ!やっちまおうぜ!!」

腰にさしてある剣を抜き、構えた。だけどそれよりどうしたって早い動作の僕は、詠唱をすっ飛ばして魔力を放った。

仲間が2人吹っ飛ばされると、目を丸くした青年達だ。

見てくれが子供だから騙された!そういう顔をしているが、その顔を見るとゾクゾクした。


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