【17】
時間だけがすぎていくことに苛立った僕は途中の町で馬を4頭借りた。移動にはやはり馬が1番だ。けど1度も乗ったことないけど乗れるのかな?
試しに1人で乗ろうと頑張ってみたが、足が上がらない、おしりを置くところがよく分からないなど無理だということがわかった。
でもほかの3人は乗れた……。あのチビですら乗れたのだ。この世界の住人、すげーな!
仕方がないので荷馬車を1台借りた。
もちろん僕が乗るためだ。他にも荷物が多少あるが、ほんとに少ない。
道中では色んなことがあった。
まさかこの異世界でも盗賊なんてのがいるなんて思いもしなかったが、ジジーと王子があっという間に片付けてくれて僕の出番は全くない…。いい事か?いいことなんだろうけど、体がなまって仕方がなかった。
隣町まではまだあと1日かかる。
どんだけ遠いんだよって思った。
道路は舗装されてないし、ゴツゴツした場所ばかりだから馬に乗ってても変わんないくらいにおしりが痛かった。
まっ、今更変わって欲しいと言っても変わってくれるものがいるかどうか……。
チビぐらいかな。眠くなって寝るのは。その間だけ馬に乗る練習をした。
ある程度は乗りこなすことができるようになるも、其れは普通の時だけ。戦いの時になればバランスやら何やら頭から抜け落ちてしまうのだ。荷馬車からの攻撃の方が楽で仕方がなかった。
ようやく隣町に着くも早々に案内版が立っているであろう街の中心に向かう。ここではみな歩いていかなければならない。道が狭いからだ。
馬と荷馬車は預けてある。
めぼしいものはなく、仕方がないので今日の宿屋だけ探そうと話し合っていた時、新しい掲示板が立てられた。
それは……、ある人物を護衛して欲しいというもので、他にもたくさんの猛者が名乗りを上げたが、それらしい人に見えないものの方がいいと言う事だったので、僕らが名乗りを上げた。
みな一様に怪訝な顔をしている。お前ら大丈夫か?って顔してるよ。まっ、大体がそんな顔だから実際の僕らの実力を見て判断すればいいじゃんとなった。
ジジーは剣さばきが異常に早く、歳の割に動きが俊敏だった。王子は剣1本でもそこそこの実力がある。
チビは逃げ足が早かった。
僕は……魔術を使った。皆がおお〜ってなったよ。この世界では魔術師は貴重な存在のようなので、ソッコーで決まったよ。女性たちはみなキャーキャー言ってるよ。てっきり王子を見て言ってるかと思ったらなんと僕らしい…。別にかっこよくもないのにね。??しかなかった。




