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1/22

【1】

ボーッと空を眺めていた。

青空が広がっていた。

僕はもうどのくらいそこにいただろう……。

何もせずいることに退屈になった頃ここはどこだろうと思うようになった。

だっていつも通る堤防…ではないみたいだから。

交通量が多いはずのその場所ではなく、誰一人として歩いているものはいなさそうだ。

みな変わった乗り物に乗っている。

時代が逆行してしまったのか馬などに乗っている。

言葉も聞いたことない変な言葉で理解できなかった。

その時右肩をトントンとたたかれ振り返ると人の良さそうな女の人が立っていた。

「vogewpscej?」

「はい??なんでしょう?」

「cnjt45rptlnmo?」

「う〜ん、わかないよ。………ごめんなさーい!」

僕はそう叫びながらその場から離れていった。

呆気に取られたという顔をしていた女の人はしばらくはその場に立っていたが諦めたのか別の人に声をかけていた。


僕はとぼとぼと歩いていたが、ここがどこだか皆目見当もつかないことに途方に暮れていた。

その時目の前に真っ黒なマントを被った老人が現れ僕の額に手にしていた杖をトンと当てると喋りだした。それは僕が使っている言葉だったことでビックリしたのと何がどうなったのか分からないことで頭は混乱していた。


「おい、お前さん。言葉……通じるか?」

「は、はい。でも何で?他の人の言葉は全くわからなかったのに。」

「お前さん、魔力持ちだな?」

「へ?僕はごく普通の人間ですが。。。」

「おやおや、自分の力を全く知らんのか?使ったことはなさそうじゃな。」

「当たり前じゃないですか。そもそも僕にその魔力?ってのがあるとは思えませんが!」


老人は杖の先を僕に向けると杖の先から炎がぽっとでて驚いてその場に尻もちを着いた。みっともないなんて頭の片隅にもよぎらなかったよ。


「お前さんはどうやら使えばそれなりの力を持っとるんじゃなかろうか。それ、ひとつ試してみるかのう。」


老人は杖の先で地面になにやら描いていた。

丸だ……。中になにか書いてる……。

そしたら土の中から見たことも無い鳥が現れた。頭がふたつのその鳥は僕の世界でも見た事はない。何なんだ?一体。


「さて、お前さんにはこいつの相手でもしてもらおうかの。」

「えっ?ま、マジで?ムリ〜、無理無理無理!どうやって使えるようになるの?」

「おや、そんなことまで知らんのか。しょうがない。こうするんじゃ。」

老人は杖の先を鳥に向けて振り下ろすと杖の先から炎が現れ一瞬で鳥を消し去った。

どうやらそれを僕にやれと言うことらしい。

僕は何も手に持っていない為、両手を合わせて念じたが何も変わらなかった。もともとないんだ。だから出るわけが無い。あきらめついでに老人に向かって拳銃の構えをとり、指を動かしてバーンと言ってみた。その時微かだが指先がおかしな感触があった。まぁ、気のせいだろうけど。


「ほら、やっぱり無理なんですよ。」

「何を言うとる。はじめから諦めてちゃ出るもんも出んわい。ほら、わしも付き合ってやるから出さんかい。」




それからどれくらいだっただろうか?

太陽が上がりかけていたと思ったのに今ではだいぶさがってしまっている。夜になろうとしているようだ。



「あ〜〜、ムリだ!出ないよ。」

「まだだ。諦めるでない。いいか?出るようになったらうまいもん食わせてやる。これはお前さんにとっては大事な事だからな。この世界で生きていくためには必要なものだ。」

「え~、魔力?がなくたって生きてけるんじゃないの?」

「いいか?よく聞け。この世界では魔力を持つものは数少ない。何かあった時には誰ぞかんぞが助けてくれる。ただしだな、……。」「ただし?」

「戦争になったら駆り出されることは間違いなかろう。」

「え〜!ヤダよ。僕は争いが1番やなんだ。危ないことはしたくない。」

「それは無理だな。王様直々の勅令ともなれば見張りも何人か着くと聞く。逃げられんわい。」

「そ、そんなぁ〜。」


僕はやけくそになって片手を拳銃の形にして打つという練習をした。指から魔力が出れば何とかなるかもしれないと。よくある漫画だと指から大きな光の玉が飛び出すのだが、そんな漫画の世界の事が起こるとは思えない。

疲れてくると意識が散漫となり、手のひら全体が光出した。

飛び出すかと思ったがどうやら違うようだ。黒の剣?

こんなんでも良かったのかなぁと不安を抱えて老人の元に行くと老人は驚いた顔をしていた。


「こんなに太く長い漆黒の剣は見た事がない。えらいこっちゃ。あんた、確かに魔力待ちだが、ホントに人間か?」

「え〜、なんでそんな事言うの?」

「こんなに強い魔力は闇の血を持つ者が使えるくらいなものだからな。」

「僕は人間……。」

「だから混乱しとるんじゃ。お前さん今夜の寝床はどこになる?」

「無いので野宿かな。ハハッ。」

「いかん。ならわしのところにこい。ないよりはマシじゃ。」


という事でこの老人宅におじゃますることになった。家族になにかいわれないかと不安になったが、元々一人暮らしと聞くと少し安心した。


どうやらペットはいるようだ。

ペットの小屋らしきものがある。

「ペット飼ってみえるんですか?いいなぁ〜。犬?それとも猫?」

「はっはっはっ!わしのペットはこいつじゃよ。」


そう言うとパンと手を叩く。

すると何やら音が聞こえてきた。

のっそのっそとあるくそれは猛獣だった。

ありえない。ライオン?

僕にはライオンにしか見えない為老人に聞いてみた。


「おじいさん、そのペットはライオンですか?」

「なんじゃ?ライオン?それはなんだ?こいつは猫だ。大人しいやつじゃよ。」

「へ?ね、猫?……どうなってるの?」


僕は頭が混乱していた。

やはり僕がいた世界とは違うようだ。

その猫は老人が歩くとついてまわった。よほど懐かれているのだろう。なぁ〜と甘えるように鳴いている。


僕は顔をひきつらせながら手時かな椅子に座った。

老人は杖を使い魔力で餌を瞬間移動させた。

猫はそのエサ(巨大な塊肉)を噛みちぎるようにむしゃぶりくらっていた。


「大丈夫なんですか?こんなに大きな生き物飼って……。」

「大丈夫じゃ。わし以外には懐かん。ほら、お前さん手を出してみんか?」「え?どうして?危なくないですか?」「そりゃそうじゃな。確かに危ない。噛まれるからな。」「噛まれるからなてへっ、なんて顔して誤魔化さないでください!怒りますよ?」

「ほぉ〜、怒ってどうするつもりじゃ?魔力もコントロール出来ん若造が。」

「そ、そんなの絶対に何とかしてやる!魔力?出してやろうじゃんか!!」僕は頭にきていた。他には何も考えられなかった。ただ両手で構えのポーズをとったら漆黒の剣が現れた。

「ほほぉ〜。まぁ、この位は出来んでは話にならんからな。さて、それからどうするつもりじゃ?かまえたくらいでは何も出来んぞ?」

「分かってるよ。だからこうして……。」両手に力を込めると漆黒の剣が怪しくひかり剣先から黒い固まりが飛び出してきた。

その塊は老人に向かって飛んでいく。

あと少しというところで何かに叩き落とされた。

そう、さっきまでむしゃぶりついていた猫だ。まだライオンの感覚があって混乱してる。

常識は当てはまらないということをようやく覚えたというところかな。


翌朝には眠気もすっかりとれ、疲れも取れていた。

だがまた練習が待っていた。だからキツくて何度やめようと思ったことか。でも戦争になったら?どうなるの?逃げられないと聞きこの街からでたらどうだろうとふと考えた。

何にしろ魔力待ちだが経験が無い為コントロールができないのだ。街から出て訓練するしかないと思った。

そのことを老人に話しては見たが、1人ではまだ危ないと言われ確かにそうだと納得すると練習に励むことにした。


それから1年……。

はじめは半年くらい経ったら大丈夫かなと思っていたが、老人と対局しても勝てなかった為さらに半年頑張ることになった。

ある程度の魔力コントロールができるようになった僕は少し自信がついていた。けど、老人もついてくるという。まぁ、旅の途中何があるか分からないから大人しくお願いした。



街から街への移動の最中では何度か魔物などに襲われたが、自身の魔力が強いのか簡単に倒すことが出来た。老人が出る幕もない。ただ、街中では人混みに酔ってしまうという情けないことが判明した為老人に頼りっきりとなった。

街には魔法省があり、そこでは掲示板にいろんなお願いごとが書かれていた。

それをこなして謝礼を貰い、日々の生活の糧としているのだ。そこに一人の女の子が掲示板の前でたって頭を抱えていた。どうやらやろうと思ったが力がないということか?

こっそりと何が書かれているかを見ると、そこそこの魔草を取りに行くということらしい。場所が問題だ。

途中魔物がうじゃうじゃいる場所をどうしても通過しないといけない。

1人でこれをクリアは無理だ。

彼女はどうするつもりだろう?


その彼女、部屋の中辺りをキョロキョロと見ていたところ僕と目が合って嬉しそうな顔をしている。まさか、まさか……だよな?

彼女は足早に僕たちのところに来て両手を組んでお願いのポーズ。間違いない。これは頼む時のポーズだ。


無理だよ〜。

僕だってまだ力の使い方がよくわかってないっていうのに…他人様の相手をしている余裕はない。

かと言ってこの可愛らしい女の子が1人で向かうのは無理がある。どうする〜?僕!

すると一緒にいたはずの老人が彼女のそばに来てこう言った。

「わしらに任せとけば問題ないよ。大丈夫。力はあるからなぁ〜。」そう言いながらも僕の方を振り向いてニヤリと笑う。ああ、もう逃げられない。受けるしかないか。

ガックリとした僕の弱々しいなで肩は彼女にはどううつったか気にもならなかった。



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