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フォォォォ!

 わたくし、華園之宮 真珠はなぞののみやしんじゅと申しますの。名前の通り、ご先祖は大名、宮様の血を引く華族の血統、生粋のお姫様育ちでしてよ。幼い時から、外に出た折には、護衛代わりに忍びの血を引く、下足番を従えていましてよ。


 ☆☆☆☆☆ 


 ゴトゴト……バスが軽く揺れて進みますの。神社前で二人、乗り込んで来ましたの。一人は腰が曲がった老婦人、杖をついておられます。乗り込むのを手伝うもう一人の彼。身長は185位かしら、細身ですが鍛えられているような感じを受けます。


「すみませんねぇ……、ありがとうございます」


 チン……そう言いつつ老婦人は乗車券を抜きました。そして彼もチン、と、あら、わたくしは忘れてましたね。チン、て取りたかったですわ。


 男が手近に空いている席に、老婦人を介添えをしつつ案内した後、手近な席に腰を落ち着けました。なむなむなむと彼に拝んでいる婦人。それに対して笑顔で受け流している彼。


 ドアがしゅうと閉まり動き始めます。わたくは揺れに身を任せながら、何時でも動き出せる様に身を構えます。わたくしのシックスセンスも、バスの出発と共に動いたのです。


 足元はそうは見えませんが、鉄板を仕込んである、安全靴を履いてますのよ。空の前座席の背もたれに、足裏を当てます。あられのない格好ですが、仕方ありません。


 信号で停まり、そして動き出したとき、


「フォォォォ!」


 先手必勝とばかりに、神社から乗り込んだ男が奇声を発しました!ポケットからクナイを取り出し構えると、わたくしに向かってきます!


 それに合わせてわたくしは、背もたれを蹴り倒しました。飛び道具を持っているとは!制服のポケットに手を入れます。こういう時の為に持たされている『カード』を一枚指にはさみました。


「皆の衆!敵じゃぁぁぁ!(ひい)様を守るのじゃぁ」


 その時!エビチリの海老の様に、腰が曲がっている老婦人が、椅子から椅子から立ち上がると、仕込み杖から抜刀をしました。()()()()腰を伸ばし、きぇぇぇぇと、わたくしを狙いう胡乱な輩に立ち向かいます。


「フォォォォ!クソババア!なにさらすんじゃぁ!」


「ふぉふぉふぉ!我こそは由緒正しき、華園之宮家にお仕えする御庭番、海老名南天(えびななんてん)なり!何者じゃ!名を名乗れい」


 刃物と刃物がかち合う金属音!運転手さんが動きます。


「只今より、戦闘モードに入ります。華園之宮家に縁もゆかりもないご乗客のお方は、その場から動かないで下さい、命の保証をいたしかねます。そして当バスは、終点までノンストップとなります事をご理解下さい」


 そうアナウンスをすると、ヴィーン、ヴィーン、とバスの乗客席並びに後方の窓に、目隠しのシェードが降ります。パパパパッと照明が白く点灯いたしました。



 ――、わたくし、華園之宮 真珠はなぞののみやしんじゅと申しますの。名前の通り、ご先祖は大名、宮様の血を引く華族の血統、生粋のお姫様育ちでしてよ。幼い時から、外に出た折には、護衛代わりに忍びの血を引く、下足番を従えていましてよ。


 幼い頃から、営利誘拐の為に狙われるこの立ち場!ヘマをしでかせば、八咫に上から目線で諫言されますのよ!


「だから、お独りは危険なのですよ、お(ひい)様は、何にもお出来になられない」


 きぃい!下足番如きに、とやかく言われたくありませんでしてよ!ふん!


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