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まったり

 俺は泣きじゃくる少女をなだめた後、屋敷を出た。

 俺が彼女を助けれたのは彼らのおかげだ。あの時、俺を決意させて導いてくれた彼らに。

 この後ろでスヤスヤ眠っている彼女を見せたらどんな反応をするのか楽しみだ。

 

 空が少しずつ明るくなる。夜明けだ。どこからともなく小鳥の元気な歌が聞こえてくる。綺麗な、すがすがしい朝だ。


 「・・・ん」


 俺の背中で背負われている,大きな帽子をかぶった少女が軽く息を吐く。起こしてしまったのかな、と思ったがそんなことはなく、まだ眠っている。

 さっきまで泣きじゃくっていたのだ。まだ眠たくても仕方がない。


 さて。ギルとエアがいる橋まで後少しだ。

 彼らは俺の事を褒めてくれるかな。


 俺は己を信じ最後までやり遂げのだから。




 ――――――――――――――――――――――





 「おおぉ!ジュン!帰ってきたか!」

 「お帰りなさい。ジュンさん。いい顔してますね。目は相変わらず濁ってますが問題は解決しましたか?」

 「ただいま。二人ともありがとう。君らのおかげでやり遂げることが出来たよ」


 俺はそう言っておんぶをしていた彼女を静かに、起こさないように土手に寝かせた。


 「・・・ジュン。お前まさかやり遂げたことって・・・」

 「そう。結構がんばったんだ。でもギルの言葉のおかげで彼女を救う事が———」


 「お前何さらっと少女誘拐してきてんだよ!!!!」

 「え?待ってくれ!!俺の話を聞いてくれ!」


 何言ってんのコイツ!?俺は何の罪もないのに殺されそうな少女を助けただけなのに!


 「問答無用!!」


 そう言ってギルは腰につるしてあった剣(木に鉄をメッキした物)を抜いた。


 「待って!俺の話を聞けって!!」

 「はぁぁあああ!!」


 ギルはそれを振りかぶって俺の頭に下ろしてきた。


 「おま!?殺す気か!?」


 俺は振り下ろされた所を白刃取りに成功する。


 「チッ」

 「え!?舌打ち!?」


 そして彼は追撃をしてくる。

 

 「おりゃああああ!」

 「畜生!」


 俺は川辺に落ちていた石を拾ってそれを盾にしてギルの攻撃を受け流す。


 そのままガインガインと打ち合っていた。

 

 すると。


 「や、やめてぇぇぇええ!」


 そう言って俺が助けた少女はこっちに突っ込んできた。


 「ん?」


 ギルは攻撃を止めて不思議そうな顔で俺を見る。


 「ジュン。どういうことだ?」

 「だから俺の話を聞けって言ってるだろ!!!」


 もうヤダこの世界。人の話を聞かない奴しかいないじゃん。



 ――――――――――――――――――――――



 「・・・という事があってな」

 「なーんだ。そういう事情があったのかよ」

 「もちろん僕はジュンが誘拐なんてしていると思っていませんでしたよ」


 やっと誤解が解けた。てかギルは人の話を聞かなさすぎる。


 「ところでお前らは彼女を姿を見ても何も思わないのか?」


 今彼女にはあの大きな帽子を取ってもらっている。

 なので赤い目も白い髪もギル達は見ている。詳しいことは知らないがこの見た目をしていたら魔女と言われ、恐れられるのでないのか?


 「だってジュンが助けた子なんだろ?じゃあ何も危険なんかないんじゃないのか?」

 「そうですよ。大人しそうないい子じゃないですか。僕の好みですよ」

 「黙れロリコン」


 ギルは俺を信用しているのか信用していないのか・・・。

 多分信用してくれているのだろう。うん。そう思っとこう。

 エアに関しては今すぐ手足を縛ってこの川に流したほうがいいのだろうか?

 この子のためにもそれが良さそうだ。


 「なぁ、・・・そう言えばこの子の名前は何で言うんだ?」


 俺は近くで大人が暴れても千切れなさそうなツタを探していたらそんなことを言われた。


 「えっと・・・」


 そういや俺も名前を知らない。

 今現在進行形で俺の腕をぎゅっと握っている彼女に聞いてみる。


 「ねぇ。君の名前は?」

 「・・・名前ないの。・・・勇者様ごめんなさい」


 そっか。名前ないのか。


 「いいよ。謝らなくて。それと勇者じゃなくてジュンと呼んでくださいお願いします」


 夜の時は格好つけて勇者だと名乗ったがいざ後になって思うと恥ずかしすぎる。

 俺は彼女を頭をぽんぽんっと優しくたたいた。


 ジャボンッ!


 とりあえず彼女に触れようとしたロリコンを川に突き落として俺は考える。


 「なら俺が君の名前を考えていいか?」


 彼女に許可を求めるとコクッとうなずいてくれた。


 「ずるいですよジュンさん!そんな可愛い子の名付け親になるなんて!僕が考えます!」


 ザバァ!っと急に出てきたエア。


 「・・・嫌!ジュンに付けてもらうの!」


 そう言ってエアの申し出を拒絶した彼女。

 エアは物凄いダメージを受けたみたいで静かに川に沈んでいった。


 「・・・僕は川底で揺れる水草です」


 そんなことを言いながら川で三角座りをしているエアとそれを励ますギル。

 うん。彼らはいったんほっとこう。


 「・・・アイリスとかはどう?」

 「それがいい」


 即答かよ。まぁ気に入ってくれているみたいでいいけどさ。


 さて。まずはギルドの依頼を受けに行こうかな。


 「おーい!この子の名前はアイリスに決まったしギルドの依頼を受けに行かないか?」

 「・・・僕なんて一生こうやって魚につつかれる人生なんです」

 「まーま。そんなこと言わずに元気出せって。ほら。魚に喜んでもらえてるじゃないか」


 まだ落ち込んでいたのかよ。それとギル。それフォローになってないぞ。





 ――――――――――――――――――――――





 あれから落ち込むエアを何とか引っ張ってきてギルドに来た。

 もちろんアイリスには帽子を付けてもらっている。

 まずは依頼板を確認する。


 「おいおい!これなんかどうよ!森の狼討伐!アイリスもいるし何とかなるだろ!」

 「おい。早速アイリス頼みかよ」

 「そうですよ!こんないたいけな少女に傷でもついたらどうするんですか!ここは安全に薬草採取でもしましょうよ」


 おや。コイツが薬草採取とか珍しい。 

 エアはギルと同じでモンスター討伐を選ぶと思っていたし、むしろどや顔で魔物を倒してアイリスにアピールするロリコンだと思っていた。


 「本音は?」

 「そりゃもう薬草を笑顔で探すのを紳士としてじっくり見守るが目的です」

 「ギル。その木刀でコイツを叩き割ってくれないか?」

 「おいおい。俺のこの大事な剣を汚せというのか?」

 

 確かにそれは嫌だな。


 「アイリスはやりたい依頼とかあるか?」

 「・・・私はジュンの命令に従う」


 またもや袖をぎゅっと握って喋るアイリスの帽子をぽふぽふする。嬉しいことを言ってくれる。

 ・・・でも、出来れば自分で決めれるようになっていって欲しいけど。まぁそれはゆっくりでもいいさ。

 

 「で、結局どうするんだ?」

 「う~ん俺としてはアイリスが居るんだし申し訳ないが一気に金を稼いで装備を整えたいんだけどな」


 確かに・・・そうしたいのはある。

 いや、それが最善手かもな。


 「アイリス、申し訳ないが魔物退治を引き受けてくれねーか?俺らが強くなったら必ずお礼はするから」


 ギルがそう頼むとアイリスは無言でうなずいた。


 「よし。決まりですね。我々は駆け出しですからそんなにいいクエストを受けることが出来ませんのでこれが一番報酬が高い駆け出しクエストです」

 「いや、お前さっきアイリスが心配だからってほざいてたじゃないか。どうしたんだ」

 「流石にギルさんが真面目に我々の将来を考えてくれている中、自分の欲求を求めませんよ」


 ・・・何だかんだでエアは真面目なんだよな。

 俺はエアから渡されたクエストを見る。


 「ホブゴブリン討伐か・・・」


 

 


少し面白いな。少しクスっと来た。そう感じていただけたのならブクマ、評価の方お願いします

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