病室にて -妹、襲来- -5-
「そういえば、あいつは今日は何の用事なの?」
「詳しくは聞いてないのですが、何だかどうしても外せない用事だとかで...」
本条の妹から何かを隠している様な印象を受けた。
「ふーん。まあいいけど......」
「お兄ちゃんのこと、気になります?」
「いや、気にならないよ。むしろ本条の妹さんがどうしてここに来たのかという方が気になるね」
「あれ。お兄ちゃんから聞きませんでしたか。私が来た理由について」
「いや、聞いたけど..その通りだとはちょっと思えないような気もしてさ」
本条から聞いた話では、彼女は僕に好意を持っているということだった。だけどどうもそんな感じは受けない。
「そうですか。」
本条の妹は前髪を数本手で梳き上げる。
「私がここに来てみたいと兄に頼み込んだからです。なので、私はここにいるのだと思います。」
「えっと...それは、どうして?」
僕は動悸が少し激しくなるのを感じた。
これまでのことを振り返れば、そんなことはないと思うのだが。
どうせ"兄の交際相手を見てみたかったのです"とか言うに違いない。
「....少し変な話をしても構いませんか?」
「ど、どうぞ」
もう十分変な子だと言うのは伝わってるから。変な話をされても戸惑うことはない。
...と思うけど。
病室にて -妹、襲来6- -終-