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一夜戦争

 遥か昔、遠い時代。まだ大陸が2つだった時代。大いなる神々が遥か上空に卵の中で封印されていた。“目覚めれば、世界は滅亡する”という伝承を信じて、民たちは上空に封印されている卵を開放しないように封印した鍵を聖地で誰かの手に渡らないように各国や村で保存していた。


 だが、何者かによって聖地を壊され、鍵を奪われ、多くの民の命が失っていく中、少しずつ卵の封印が解かれようとしていく。


 それを見かねた大陸の王は封印をこれ以上破れないためにカギを玉座で保守することを民たちに約束し、王のもと守ることを誓った。


 二つの大陸に存在するそれぞれの国家。一つは武力を制する帝国。一つは魔法を制する共和国。それぞれで守ることを誓った―――だが、鍵を狙う者たちによって帝国も共和国も破壊され、奪われてしまった。


 これによって信頼を失っただけでなく鍵を守るために多くの兵士たちの犠牲を払ってしまった。王は嘆き悲しみ、鍵を失ったこともあり、封印された神々を復活してしまうことに恐怖と絶望を抱き始めた。


 これを少なくからず加担し知る者がいた。それが帝国の王であった。


 共和国と協力して平和条約を結び、互いに鍵を保管するということにすべては、帝国の仕業だった。あちこちに隠された聖地から鍵を一か所に集めたことによって、残されたカギが共和国で得られるという機会を得たのだ。


 結果、帝国は野良(国民ではないもの。主に奴隷など)の民を使い共和国から鍵を奪い去った。これを予知夢で知っていた神子と大賢者が共和国の王に告げるも、時は遅く。


 王は民の信頼を守り切れなかったことに対する責任から自殺に追い込まれてしまった。


 残れた民たち、そして――〔一夜戦争〕へと発展していくことになる。



 一夜戦争。


 封印を解かれる前にカギを奪還し、聖地に戻す。大賢者の弟子、神子の使徒たちを集結し、封印を解かれることを知らない多くの野良兵士、封印を願う兵士たちを集い、帝国へ向けて戦争を仕掛けた。


 大いなる神々を復活させる願いを抱く帝国と大いなる神々の解放を阻止する共和国の一夜戦争へと発達した。


 武術、魔法など様々が飛び交い、多くの人々の命が消えゆく中、封印の鍵をあと一歩のところで取り戻せず、封印が解かれてしまう。


 封印されているものがなんなのか、このとき帝国もまた知らなかった。


 戦争を終結させたのは封印が解かれた神々だった。卵を孵すとともに生まれた者は龍だった。大空を羽ばたき血塗られた翼をもつ。体長30メートルはあるだろうか、龍が咆哮とともに隕石が上空から雨のように降る。


 戦争していたはずの戦いが龍との戦いへと発展していく。


 大賢者の弟子、神子の使徒たちと手を組み、龍を再度封印しようと試みる。帝国から奪った鍵を再度、聖地に戻り封印を仕向けるが、復活した龍にとって封印というものはまるでおもちゃのように簡単に壊してしまった。


 隕石の雨によって幾つかの聖地が破壊され、完全な封印ができなくなり、なにも知らされていない人々もまた、隕石の雨に埋もれていった。


 残された大賢者と神子はこの時の時代のこと、龍のこと、鍵のことを子孫に知らせるべく、書物を作り上げる。残された力で作り上げた書物は遥か未来先へ飛ぶ。


 時空の狭間に忍び込み、姿を消す。書物を読んだ子孫が龍の封印を願って。鍵を再び帝国のような悪人どもに渡らないために鍵を時空の狭間へ封印してもらうために。


 残された大賢者と弟子、神子と使徒。互いに最後の力を振り絞り、龍を一時的に時空の狭間へ閉じ込める。


 大地も海も空も荒れ果てたこの世界にもはや未来もない絶望にあふれたこの世界にせめて、最悪な存在である龍の存在をこれから生き延びる人々の胸に記憶に残らないために、自分たちの魂を犠牲に、時空の狭間へ龍を閉じ込めた。


 それから、長い時がたち、大賢者と神子が未来の子孫に当てた書物はある青少年の手によってその記憶を解放された。


 その名はシルク・ローウィ。大賢者の末裔であり、おおやけになっていないが、大賢者に近い能力を持つといわれる優秀な人物だった。


 旅をめぐって“鍵”を探し、時の狭間に封印する。それがシルクに託された使命であり、最後の希望だった。


 シルクの一族は鍵を狙う者どもによって既に息絶えており、最後の血筋であるシルクは己自身の正体を隠し、名前と出身を偽証して“本を書く職人”として旅をしている。


 ある港町で鍵をもつ少女と出会い、この物語は始まる…。

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