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無人島生活八日目 ロボ、鳥と遭遇すること

『ピピー』


「おっ、ズーガーがやって来たぞ」


 カメラみたいな見た目に、細い足が三本生えたロボットが、森から顔を出す。

 ズーガーだ。

 いつもは朝からいるんだが、今日は何か用事があったようだ。

 まあ、昨日の海賊騒ぎの後だし、色々彼にもやらなければならないことができたんだろう。

 俺はそう思って納得した。


「ズーガー! レー!」


「ピョイー」


 ズーガーに気付いたミュンが、駆け寄っていく。

 その後を追って、鳥のカニがポテポテポテーッと追っていった。

 生まれたてなのに、案外健脚だなあ。

 あ、いや、転んだ。

 転んだまま、ごろごろと転げてミュンの後をついてくるではないか。


「凄いガッツだなあ、カニ」


 鳥なのに、名前がカニだからカニ。

 うん、ややこしいことこの上ないな。

 鳥が追いかけてくることに気付いたミュンは、慌てて膝をついて手を広げた。


「カニー!」


「ピョイー」


 カニはあの独特の鳴き声を上げると、ミュンの膝でぼいーんっと弾み、その胸の中に飛び込む。

 なんて弾力してるんだ。

 すっかり乾いた羽毛は、空気を吸ってもっこもこに膨らんでいる。

 あまりにももっこもこなので、ミュンがばんばん叩いても、ぼいんぼいんと跳ね返す。


「ああ、こらミュン、叩いちゃいけません!」


「チャ?」


「叩いたら、ほら、いたいいたいするだろー」


「マ!」


 ジェスチャー混じりに説明すると、ミュンはハッとしたようだ。


「メーネ」


 今度はカニを擦っている。

 撫で撫でしているんだろうか。


「ピョイー」


 このカニは、すっとぼけた顔をしておかしな鳴き声を上げている。

 分かってるのかなあ。

 だが、撫で撫でしているうちに、ミュンがうっとりした表情になってきた。

 どうやら大変撫で心地がいいらしい。


「ミュン、俺もちょっと撫でていい?」


「アマチャモ!」


 ミュンが差し出してきた。

 俺も恐る恐る撫でてみる。

 おおおおおお。

 な、なんじゃこれー。

 ふわっふわのふっかふかだ。

 お日様で乾かした毛布のふわふわと、おろしたての羽毛布団の弾力、それでいて押し込むとプルプルと反発してくる。

 今まで経験したことがない感触だ。

 いかん、俺まで駄目になってしまう。

 なんという羽毛を持った鳥なのだ……!!


 あまりに危険なので、俺はカニから距離を置くことにした。

 代わりに、ズーガーに相手をしてもらおう。


「ミュン、昼ごはんをとりに行こう。カニをいじってたら、もう昼だ」


「ゴハンー?」


「そう、ご飯」


「ヤーノ! ミュン、カニー、ルー!」


 ミュンがわがままを言いだした。

 カニと遊んでいたいらしい。

 うーん。

 俺は考えた。

 最近、ミュンはちょっといい子過ぎた気もするよな。

 たまにはわがまま言わせて、気を抜くのもいいかもしれない。


「仕方ないなあ。じゃあ、俺がご飯集めてくるから、ここでカニとズーガーと遊んでるんだよ」


「チャ!」


 とてもいいお返事が返ってきた。




 さて、ひとまず俺は昼食の採集。

 朝は野菜と果物中心だったから、ちょっとタンパク質が欲しくなるな。

 カニも大きくなれば、卵を産んだりして俺たちの食生活を豊かにしてくれるだろうか。

 期待だな。

 ……ああ、いや、ミュンが泣きそうな気がする。

 果たして、俺は卵を食べることができるのか。


 そんな事を考えつつ、流れ着いていた海藻の類と、貝類を集める。

 今日は甲殻類があまり見つからなかったので、貝を焼いて食べることにしよう。

 器に海藻と一緒に入れて、出汁を染み出させるのだ。


「おーい、戻ったぞー」


『ピガー!』


「ピョイー」


「キャー!」


 戻ったら、大変なことになっていた。

 ズーガーが必死に走り回り、その後を無表情なカニが追いかけている。

 ミュンは甲高い声を上げてはしゃぎながら、一台と一羽をさらに追いかけている。


「うわあ、どうなってるんだこれ」


「ピョイー」


 あっ、カニがジャンプした。

 そして、逃げようとしたズーガーの上に、ぼいーんと伸し掛かってしまった。


『ピガー』


 あわれ、ズーガーはのされて砂の上。

 じたばたしている。


「ピョー」


「カニ! ズーガー! テッター!」


 ミュンが二つともまとめて抱え上げた。

 ご満悦である。

 とりあえず、ズーガーがカニに気に入られたらしいことは分かった。

 生まれたばかりだっていうのに、カニは凄いバイタリティだな。

 

 俺は、ばたばたと遊び回る一台と一羽と一人をよそに、昼食の調理に入る。

 海藻の中に、昆布っぽいものがあったから、これを水に入れて、沸かす。

 ちょっと掬ってみたら、出汁が出ていた。

 いいぞいいぞ。

 これに貝を入れて煮る。

 貝からも出汁がでて、さらにさらに島の野菜や果物をインだ。

 汁の色が赤くなり、ゴロゴロと野菜や貝が浮かんでいる。

 ブイヤベースっぽいものが出来上がったのであった。


「ミュン、お昼ごはん!」


「チャー! ゴハンー!!」


 現金なもので、ミュンはズーガーとカニを放ったらかして戻ってきた。

 遊びまくってお腹が空いたんだろう。

 ミュンがこっちに来ると、ミュンを親だと思っているカニもこっちに来る。


「ピョイー」


「なに、お前もスープほしいの? でも塩分強いから、鳥にはどうなんだろうなあ……」


「ピョイ」


「ああ、スープじゃなくて貝? そうかそうか、ちょっと待ってろよ……」


 結局、カニ用の貝も取りに行く羽目になってしまった。

 今後は、俺とミュン用、カニ用で分けないといけないな。

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