表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/84

無人島生活七日目 海賊迎撃準備

「アマチャー、テルノー?」


「何してるのってか。ほら、ヤシガニ担当はミュンだっただろ? 俺も俺で頑張ろうと思ってな」


 コントローラーをヒュッと振る。

 すると、周囲のヤシの木がミシミシとしなっていく。

 ヤシの木にはそれぞれ、ヤシの実が搭載されている。

 これを、ヤシの木がボヨーンと戻った勢いを利用して、実を飛ばすのだ。

 投石機だな。


「よーし、しなってしなって」


「ナッテー」


 ミュンが棒を握って、俺の真似をする。


「うてー!」


「テー!」


 俺たちの掛け声に合わせて、しなったヤシの木が一気に戻っていく。

 すると、狙い通りにヤシの実が発射された。

 おうおう、結構凄い速度じゃないかこれ!?

 しなり具合で、狙った所に命中させられるかもしれない。

 だけど、どれくらいしならせればいいのかが分からないな。


『ピピー』


「ズーガーさ、これくらいで命中するって加減、分かる?」


『ワカル』


「ああ、やっぱり……って、分かるのか!? すげえ……! じゃあ、海賊が来たときはサポート頼んでいいか?」


『イイ。ピピー』


 よしよし。

 ヤシの木投石機は、ズーガーの協力を得られれば完璧だぞ。

 だが、これだけだと少々不安だ。

 それに、やって来る船が必ずしも海賊とは限らない……かもしれない。

 そう、すっかりそのつもりで準備をしていたが、まだあの船が海賊船だと決まったわけじゃないのだ。

 善良な漁船かもしれない。

 その辺りは、なんとかして確認したいな。


「遠くを見る手段が欲しいな。ズーガー、何かある?」


『ピピー』


 すると、このカメラによく似たロボットは、俺に向かって小さな腕を振り上げて合図した。

 なになに?

 持ち上げろってことか?

 俺は彼の合図の通り、持ち上げてみた。

 すると、ズーガーの背中の一部が開いて、レンズ部分が出てきたではないか。

 そして、彼のカメラアイが展開して、ぐぐぐっと伸びて望遠レンズのようになる。

 これはもしや……!


「おお……! 遠くまで見える! 望遠機能内蔵だったのかズーガー!」


『ピピー、イマ、ツクッタ』


「今作った!?」


 とんでもない話を聞いてしまった。

 そうか、そう言えば、常につるんでいるから忘れていたが、日本にだってこのサイズで自律思考して、あちこち歩きまわったりするロボットなんていない。

 しかも彼は、ヤシガニが怖い(・・・・・・・)のだ。

 恐怖という感情を知っている。

 非常に高度なロボットなわけである。

 今更、用途に応じて新機能を作り出したから何だというのだ。


「凄いなー」


 だが凄いものは凄い。

 そこは認めなくてはなるまい。

 ズーガーは得意気に、俺の手の中でぐいんと反り返った。

 ロボットなのに調子に乗るのか……。

 なんて高度なんだ。


「アマチャ! ミュンモー!」


「あ、そうか。ミュンも見てみたいよなー」


『ピピー』


 望遠モードに変形したズーガーを、ミュンに手渡す。

 幼女は新しく手に入れたおもちゃに、ウキウキだ。

 覗き込むと、遠くにあるあらゆるものが近くに見える。


「キャー!」


 はしゃぎながら、遠くにあるものに手を伸ばしてバタバタしている。

 そんな事しても届かないのだが、今にも届きそうに見えるもんな。

 さて、ミュンがズーガーと遊んでいるうちに、俺は俺で次なる対策だ。

 このコントローラー、海の仲間では効果を及ぼせるのかな?

 具体的には、海藻や、あればサンゴなんかを操れるかなと。


「海藻、伸びろ!」


 海に向かって振ってみた。

 しばらく待つ。

 何も起こらない。

 海はダメか。効果の範囲外なのかもしれない。

 さて、次は……。


 調べて調べて調べまくっている内に、日が暮れてきてしまった。

 一回振っては効果を検証するのに結構時間がかかるので、昨日みたいに道を開拓していくよりは随分楽だ。

 だが、腹というものは減っていくのである。


「ミュンー! ご飯にするぞー!」


「ゴハン!」


 例え、俺たちの身に危険が迫っているのだとしても、食うものは食わねばならない。

 よし、食べ物を採集に行こう……。


「チャ!? アマチャ! レ、レー!」


 お?

 ミュンが波打ち際で何かを見つけたようだ。

 それはまるで、黒い布……。

 昆布か!!

 俺はざぶざぶと海に入っていき、いつもの刃物を使って必要分だけ切断する。

 これ、とんでもなくでかい昆布だ。

 ジャイアントケルプか……?

 いや、そうじゃない。

 これは、俺がさっきコントローラーで大きくしたんだ。


「よし、今日は海賊との戦いのために、新食材の昆布を食って英気を養うぞ!」


「コンブー!」


 大盛り上がりする俺と、なんか分からないなりに盛り上がるミュンなのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ