無人島生活七日目 これからどうする
「アマチャー! チャー! チャチャー!」
ミュンが俺のお腹をぺちぺちしてくるので目が覚めた。
「うわあ、わざわざ服をまくってお腹をぺちぺちするなよー」
昨夜、明け方まで寝付けなかったからと言っても、こうなっては完全に目覚める他ない。
「へっくし!」
いや、もしかしてミュンが服をめくったのではなく、最初から腹を出して寝ていたか。
風邪は引かないようにしないとなあ。
「ハヨー!」
「うん、おはよう。朝ごはん食べるか?」
「ゴハン!」
そういう事になったので、昨日の残り物に熱を通して、軽く朝飯とする。
食べながら、今後の対策について考えるのである。
「ズーガー、いるか?」
『ピピー』
カメラに似たボディのロボットが、トコトコとやって来た。
俺たちと離れている間は、どうやら彼は家の周りの整備をしているようだ。
気付くと、足元の凸凹が慣らされて歩きやすくなっている。
おっ、家の近くの柑橘類も収穫されているな。
「いつもおつかれな」
『ピー』
どういたしまして、と言っているようだ。
こいつはそろそろ、俺と付き合って七日目。かなりの数の日本語を覚えたはずだ。
「アマチャ、ゴハン!」
「おうおう、ご飯中に無駄話して悪かったな。さっさと片してしまうか! っていうかミュン、なんか今日は随分急いでるな?」
俺の言葉に答えず、ミュンはチャチャチャーっとご飯を平らげると、ごくごく水を飲んだ。
ぷーっと息をすると、俺が教えた食後の挨拶をする。
「ゴチソサマ!」
「はい、おそまつさま」
「アマチャ、フクー!」
「おお、そうか! それか!」
俺は合点がいった。
一昨日、昨日と午前中には服の染色をしていた。
今日は赤い服を作る番か。
「ちょっと待ってな」
「チャー」
むしゃむしゃと俺はあるものを片付ける。
食べ残しがもったいないと思うのし、昼まで取っておいたら傷んでしまう。
ウニや貝をむしゃむしゃ食べて、水で流し込む。
「よし、行こうか!」
立ち上がった。
器に使っているのは大きめの葉っぱだから、このまま放置しておけばズーガーたちが処理してくれる。
向かった川で、本日の染め物を行う。
流石に三日目ともなると慣れてしまうな。
作業をしながら、考え事をする余裕がある。
考えるのは、昨夜見つけたあの船のことだ。
そもそも、船はこの島に気づいていたのか?
いや、気づいているだろう。
上陸したことはあるのか?
島の中は結構歩き回ったが、あの地下にあった遺跡みたいなものを他にすると、現代の人間が上陸した様子は無かった。
だとすると、今までこの島には、人は上陸できなかったのか?
「アマチャ、アマチャ」
「あ、お、うん? なんだミュン、パンツなんか持って」
「ミュンモ!」
「お、ミュンも染めるか! ……待て、それって俺のパンツじゃないか?」
「アマチャモ!」
「そ、そうか。俺も赤くするのな。なんでパンツかなあ……。あ、いや、ミュンからするとそれがちょうどいいサイズだもんな」
よし、ミュンの好意だ。
ありがたく受け取ろう!
「よし、頼むぞミュン! 上手に染めるんだぞー!」
「チャー!」
二人並んで、染料でざぶざぶ服を染め。
今度は川に晒して……。
そして干す。
「今日の夜には赤パンツかあ」
風を受ける赤い服と赤パンツ。
眺めながら、俺は感慨にふけった。
俺一人だと服を一着しか染められないが、ミュンと二人ならパンツも一緒にいけるか。
ちっちゃいとは言え、二人がかりは強いな。
…………。
ここは、一人で悩むよりも、ズーガーとセントローンの意見を聞いちゃうのがいいんじゃないだろうか。
俺が一人でウンウン考え込んでても、俺は所詮は平和な日本で生まれ育った男で、荒事なんかさっぱり分かりもしない。
ならば、手当たり次第に頼れるもの全てに頼るのがいいんじゃないだろうか。
「よーし、今日もセントローンのところに行くぞ!」
「チャ!」
染め物をする時に外していたおくるみを、また装着しなおすミュン。
卵を撫で撫でする。
そうすると、このカラフル卵はぴょこぴょこと動くのだ。
孵化が近いぞ。
そうなると、俺とミュンとズーガーと、あと一匹になるんだな。
うんうん。それはなんだか、とても素敵なことだ。
俺たちはこれより、海に現れた船への対策を考えるべく、地下に行くのである。




