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無人島生活五日目 道を作っていこう

 黄色く染めた服は、枝をコントローラーで改造して、物干しにして引っ掛けておく。


「夕方には着れると思うよ」


「キレル! ミュン、アー、ネネー」


「楽しみ?」


「タノ、シミ!」


 ミュンがぴょんと飛び跳ねた。

 うんうん。早く、新しい色になった服を着せてやりたいな。

 とりあえず、次は昼食。

 俺が主食になる木の実や山菜を採取して、その間にズーガーとミュンが海辺で貝を拾ったり、ザリガニを捕まえたり。

 危なくならないよう、ズーガーには見張りをお願いする。


『ピピー。ピー!』


 ズーガーが甲高く音を出すと、向こうの浜辺からズーガーの仲間がたくさん集まってきた。


「よーし、みんなでミュンを守ってくれ!」


『ピピー!』


「キャッキャ!」


 ズーガーみたいなロボットがたくさんいるのが、ミュンには楽しくてならないらしい。

 お互い手を振って別れた後も、彼女の笑い声が聞こえている。

 さて、俺は俺で食べ物を見つけないとな。

 この島、不思議と食べられる植物だけはたくさんあるんだよな。

 海の動物にせよ、可食部が多いものが多い気がする。

 ごそごそと茂みに分け入っていく。


「いてて。やっぱり茂みはチクチクするな」


 毒草のたぐいはそれなりに覚えたので、足元に気をつけていく。

 毒草に紛れて食用キノコが生えていたり、思わぬところにネギ味の青バナナがあったりする。

 青バナナは割りとお腹に溜まるので、主食になるな。


「しかし……」


 茂みの草を払いながら進む。

 なんとも動きづらいではないか。

 これはやっぱり、ある程度は島に道を整備したほうがいいんじゃないだろうか。

 もう、自然破壊だとか何とか言ってられない。

 俺たちだって、ご飯を食べなければ生きていけないのだ。

 ご飯を見つけやすい環境を確保しないとな。


「よーし、それっ!」


 コントローラーを振る。

 すると、目の前に茂っていた草木がザザザっと道を開け、土がむき出しになった。

 これでよし。

 ちょっと地面は柔らかいが、踏み固めていこう。

 ここを足場にして、俺は食材を確保していく。

 今はこうして、採集で食べ物を手に入れているが、そのうち畑なども必要になってくるかもしれない。

 何しろ、食べ物集めでそれなりに時間がかかるのだ。

 今朝みたいな染色を一日やる、というわけにはいかない。

 食料だって貯蓄したい。

 保存食の作り方も考えないとな。

 いつ、いかなることがあるか分からないのだ。

 俺は保護者として、ミュンにひもじい思いをさせることだけは絶対にないようにせねばならない。


 道を一歩一歩踏み固めつつ、俺は決意をも固めていく。

 さて、両手いっぱいに青バナナとキノコをゲットした。

 そろそろ戻ろうか。


 俺が開かれた道を、余裕しゃくしゃくで戻ってきたところ。


「アー!」


 その姿を目撃したミュンが慌てて駆け寄ってきた。

 俺の真横に並んで、足元をどんどん、と踏んでいる。


「アー! アマチャ、レー!」


「うんうん。道を作ることにしたんだ。こういうのを、あちこちに少しずつ作っていこう。ご飯探しが楽になるからな」


 俺は手にしたキノコを、ホイホイっとミュンに手渡した。


「ンー、ンー」


 ミュンは不思議な鼻歌を歌いながら、これを受け取って、パタパタと向こうに走っていく。

 そこでは、ザリガニやら貝やらが山盛りになっているではないか。


「うわあ、たくさん取ってきたなあ。これ、腐らせちゃったら勿体無いよなー」


 これは、焼いて干して……幸い、水だけはたくさんあるから、戻す時にふやかして煮たらいいよな?


「チャー? アマチャ、アマチャー!」


 考え込んでいた俺の足を、ミュンがぺちぺちしてきた。


「お? おうおう。ご飯だなー」


 ガソリンっぽい油に火をつけて、その上に網を乗せて……。

 じゅうじゅうと、採取してきたものを焼き始める。

 ずっと食べ物は、火を通して食べている。

 だが、中には生で食べられるものもあるかもしれない。

 栄養分とか考えると、生で摂取する果物を探さなきゃだなあ。


「ゴハンー!」


 ミュンが焼きあがった貝やザリガニに突撃した。

 すっかり食べ方を覚えてしまっているので、自分で開いた殻に口を付けてパクっと中だけ吸い込んだり、ザリガニをパキッと二つに割って、真っ白な肉をむしゃむしゃ食べたり。


「野菜も食べないとだめだよー」


「ヤー」


 肉ばかり食べようとする幼女なのである。

 これはいけない。


「栄養が偏るでしょ」


「ヤー」


 まあ、そんなに強い拒絶ではないな。

 スライスした青バナナを焼きながら、その間にザリガニをスライ椅子したものを並べてみる。それをさらにスライス青バナナでサンドするのだ。


「これならどうだ。青バナナサンドイッチ」


「チャ!?」


 ミュンが目を丸くした。


「さあ、一口食べちゃうぞ。あーん」


「アー」


 もぐもぐと食べてみる。

 うん、悪くない。

 味は独特だが、多分この青バナナは炭水化物なのだ。

 炭水化物と肉の組み合わせ。不味い訳がない。


「チャー! アマチャー!! ミュンモ! マー!」


「よーし、ではミュンにもあげよう」


「キャー!」


 よし!

 このやり方で野菜を食べさせられる。

 名付けてハンバーガー作戦。

 今後もこれで対処していこう。

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