表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/84

無人島生活四日目 染料のもとを摘もう

 ミュンとのわだかまりが晴れたところで、本日二つ目の目的を果たそうと思う。

 服を染めるための、染料探しである。

 ここ四日間、無人島で生活していて思ったのだが、コントローラーがあっても、何かをしようとすると一日がかりだ。

 今日は幸い、釣りの後の昼食、お昼寝と盛りだくさんの一日になった。

 この上で染料を見つけることができれば、さらに充実の一日となることだろう。


「よーし、行くぞミュン!」


「チャ!」


 大変よいお返事をして、ミュンが後ろをついてくる。

 俺はコントローラーを使い、今まで行っていなかった方向の草木を掻き分け始めた。

 草木を、俺の目的のために手折るのはとても気が引ける。

 ということで、コントローラーで最小限だけ、植物をどかして道を作ることにした。

 獣道、というやつだ。


「これくらいなら行けるかな?」


「マー! ミュン、クヨ、オー!」


 おっ、道ができたので、早速ミュンが俺を追い越して走っていく。

 俺は後から追いかけるのだ。

 アクションをする前に、こうして一声叫んでもらえるとありがたいな。

 トテトテと走っていくミュンだが、すぐに立ち止まった。

 何事であろう。

 俺も、彼女の隣で立ち止まる。


「なーるほど……」


 そこには、色とりどりの花が咲いていた。

 島の裏側にある、綿花の咲いている場所に近い草原で、背の高い木々が生えていない。

 太陽の光をたっぷり浴びて、花の色は鮮やかだった。

 赤に、青、黄色もある。


「きれいだね、ミュン」


「キレ?」


「そう。こういう時、お花、きれいって言うんだ」


「オハナ、キレイ!」


「そう! 上手いぞ」


 褒められて、ミュンがニコニコした。

 嬉しかったようで、しゃがんで花を一輪摘み、「アマチャ、レ!」と差し出してくる。


「おお、ありがとう!」


 俺も嬉しくて、ニコニコとする。

 ミュンの、「レ」っていうのは、「これ」とか「あれ」という意味みたいだ。

 これあげる、だったり、あれみて、だったり。

 短い言葉に色々な意味を込めている。

 俺も、ちゃんと聞き取る努力をしていかなくちゃな、と決意を新たにした。

 とりあえず花は大変嬉しいので、胸元に飾っておこう。

 この不織布、割りとつなぎは適当なので、伸ばすと花くらいは挟んでおける……。


「あっ!! なんか、花びらがついたところが赤くなった……!」


 慌てて、手のひらを見る。

 血でも無いのだが、赤くなっている。

 なんだ、これは。

 花びらは、触れば移るくらいに赤い色素が強いのだろうか。

 これはもしかして、染料に使える?


「どうだ、ズーガー」


『ピピー。ツカエル』


「おお、それはちょうどいい!」


「ンー?」


「ミュン、お花、摘もう。これも、あれも」


「オハナ?」


「そう。ほら、このお花、こうして……色がつくだろ? これを服につけると、服の色が、ほら」


「オー!」


 ミュンが理解したようだ。

 目を丸くして、ウンウンと難度も頷く。

 取り掛かりが早いことで定評があるミュンさん。早速、用意した木桶にお花をぷちぷち摘みつつ、ぽいぽいと放り込んでいく。


「チャ! マ! ママママ!」


「おおーっ、作業がどんどん進んでいく。そして同時に、ミュンが花の汁ですっごい色になっていくなあ」


「オハナ?」


「ミュン、手のひら見てみて。こう」


「チャ? ……ピャー!?」


 色々な絵の具で塗りたくったようになった手のひらを見て、さすがにミュンもびっくりしたようである。

 手をゴシゴシこすり始めた。

 そうすると、色と色が混じって真っ黒になる。

 それを見て、ミュンは二度びっくり。

 びっくりした後、けらけらと笑いだした。


「アマチャ、レ! オハナ、レー!」


「うんうん、真っ黒だ! よーし、ミュンだけを真っ黒にさせないぞ。俺も頑張ろう!」


 お花摘みに俺も参戦なのである。

 ひとところに、これだけ多彩な色の花が咲いているが、見ればこれらは同じ形の花らしい。

 色だけが違う。

 これらを摘んでは桶に入れ、また摘んでは桶に。

 瞬く間に、桶は花でいっぱいになった。

 この辺りの花はあらかた摘んだようだ。

 だが、すぐ下の地面からは、既にこの花のものと思われる芽が顔を出している。

 むき出しになった地面は、それぞれの花の色に染まっていて実にカラフルだ。

 これは、混ぜ合わせないようにして染めれば、楽しい色の服ができるぞ!


 花摘みに集中していたら、俺もミュンも混じり合った花の色で真っ黒だ。

 ひとまず汚れを落とすために温泉に行って……。

 待てよ。

 染めるにしても、どうやって染めたもんかな。

 その方法も考えていかなくては。

 昔テレビで見たやり方だと、川の水に晒したりしていたが、川の水なんてあるのかな……。

 よし、川を探すのは明日だ、明日。


「今日はもう、このまま温泉に入っちゃおう!」


「オンセン!」


 ミュンも大賛成のようであった。

 今日はひとまず、摘んだ花を色ごとに別の木桶に分けて、置いておくのである。

 明日は実験用に不織布をちょこちょこ作って、色合いを調べて、それから本格的にミュンの服を染めて……。

 忙しくなってきたぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ