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昨晩、テオは一人の少女を助けた。赤みがかった茶色いくせ髪に線の細い小柄な体の少女。彼女が放った魔力はとても芳しい匂いをさせていた。なのにその匂いが呼びさます感情は懐かしさだけ、テオの食指はピクリともしなかった。
その少女が今カーテンの向こうで眠っている。
ゴーレムたちを倒し術者へのけん制もしっかりと終えた後、テオは地面に座り込んだまま壁を背に寝息を立てる少女を抱え自宅へと戻った。
だが、テオの家はゴミ溜めと呼ばれる街テゴにある柱が並んだだけの敷地である。とても女の子を匿えるような場所ではない。それでも『シェーラーズ』へ戻るよりも断然く安全に思えた。
問題と言えばテゴを囲う巨大な壁なのだが、幸いなことに今のテオの体内にはゴーレムを喰らった際の魔力エネルギーが蓄えられていた。それを消費することで簡単に壁は越えることが出来た。
こうして背中に食料袋、前にはお姫様だっこされた少女という珍妙な姿でテオは帰宅した。
帰宅後一番の仕事と言えば少女を匿うための部屋造りだった。ひとまず普段は自分が寝るベッドに少女を寝かせると近くの4本の柱に木材を渡し、ゴミ山から適当な布を見繕い木材にかけることで壁の代わりとした。
そこまで終えたところでテオにも睡魔が訪れる。
少女の部屋から距離を置き近くのソファに横になると、空に映る満天の星を見上げた。
今日は10日間に及ぶ特訓もようやく終わりを向かえ記念すべき初勝利も手にした、存分に祝ってもらったし両親の温もりも知った、その上に興味を引かれる少女との出会い。本当に色々とイベントの多い一日だった。明日は穏やかな一日であればいいのにとテオは願いながら目を閉じる。
しかし、眠りに落ちる前に願われたテオのたった一つの願いは、翌朝目を開いた瞬間にあっけなく散る。




