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優等銃士な劣等魔法士  作者: 木津津木
第一章 水端
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第三話 幼馴染Ⅱ

 今回のお目当ての場所はあの会社+香奈(かな)の仮宅からさほど遠くない場所にある。本宅があるけどこっちのほうが安全って言ってたな、たしか。香奈の会社には、まあ、歩いて30分くらいかかるかな。

 俺と香奈が来たのは暮らしていく為に必要なものが揃っているスーパーだ。

 ここには食料・衣服・雑貨などなどたくさんある。もちろん武器関係はない。そういう店は国から許可が必要だ。学校は国の物なので許可が下っている。


 はあ、スーパーの入り口に来るのにどれほど地獄だったかを隣で目を輝かせている美女には分からないだろうな。30分ほどの時間だったがすれ違う男性にどれほど睨まれたことか。皆、目で語っていたしな「お前にはもったいない」と。確かにそうかもしれないな。香奈は学校を遅刻しただけで学校の野郎共が大暴れするが、俺の場合遅刻したところで誰も気付かない可能性がある。根暗だし。

 なんで俺にこんなにかまうのか分からない。まあ、そこは天然だからかな。またはただ単にほっとけないだけかもな。

「ねえ、早く早く」

 俺の腕が引っ張られ、考えるのを中断させられる。中断させられたのは腕を引っ張られたのもあるが・・・・・・何回も会って会話をしているのにこの美貌には慣れることができない。町行く人の視線を奪う理由がよく分かる。チュールスカート(目に毒だったので替えてもらった)でこれだからミニスカートだったらどんなに危険だってか想像がつく。ほんとに替えて正解だったな。

「急がなくても時間はあるだろ、何時までいるか知らないけど」

「出来る事ならずっとが良いな」

「はい?」

「な、なんでもない。・・・・・・意外と耳が良いのかな」

 後半は小さかったが、何とか聞き取れた。

「俺、地獄耳って結構言われるな」

「え!聞こえた」

「ああ」

「ってことは・・・・・・」カ――――

 凄い勢いで赤くなったぞ。今までに聞かれたら恥ずかしいことでも呟いてたのか、まあそれでも全部聞こえてる訳じゃない。そこはしっかり伝えておこう。

「地獄耳って言ってもほんの少しだけ耳が良いぐらいだ、すべてが聞こえている訳じゃないから安心しろ。聞こえていても大半は理解してないから」

「うん、そうだね。(よう)君だったら理解してない。絶対に。こういうのに鈍いことは私が一番知ってる。大丈夫」

「凄い必死だな。そんなに嫌だったか」

「ううん、大丈夫。こういうところから意識させるのも必要だしね」

「お前が何のことを言っているのか分からないが大丈夫なら気にすることはないな」

 この話しの終わりが見えない気がしてきたのでそろそろ終わらせる。

「うん。じゃあ、買い物に付き合ってね」

 俺の耳の話も終わったので気持ちを切り替えようとしているが頬はまだ少し赤い。

 久々の買い物にドキドキしているのか、そんなに聞かれたくない事があったのか、またはその両方なのか

俺には分からない。まあ、あまり気にしないが、本人もその方が良いだろう。

「ああ、分かった。時間が許す限りな」

「うん」


 最初は衣服の買い物だった。

「俺はそこのベンチで待っとくよ。終わったら呼べよ」

「駄目!一緒に」

「いや、俺がすることないだろ。女性服しか売ってないし」

「選んで」

「はっ!?」

「だから、選んで。・・・・・・お願い」

 珍しく頼み事をしてきたので

「お前がそこまで言うなら・・・・・・けど、俺の好みとお前の好みが合うとは鍵らないぞ」

「それなら私が試着してみて桜君の好みのがあればそれを選ぶから」

「確かにそれなら両方の好みで選べるが俺の好みで選ぶ必要は無いと思うが」

「そんなこといいから、早く」

「分かったから。腕引っ張るな」

 なんか今日、香奈が積極的な気がするのだが。気のせいか。うん、気のせいだな。


 ―――これはどうかな。似合ってるかな。

 ―――こんなのとかどうかな。さっきと比べてどう。

 ―――私はこういうの好きだけど桜君はどうかな。


 俺は女性服をあまり知らないから何が似合うかは分からない。だが、香奈が試着した服はどれも似合っていた。どの服も清楚で香奈の美しさを際立てていた。

「どれも似合ってる」

「う~ん。じゃあ、全部買っちゃおうかな」

「お前が欲しいと思うなら俺が、試着した服を買ってやる」

 拳銃をタダでもらったしな。その、代わりになればいいけどな。

「本当に!けど、さすがに全部は」

「拳銃代の代わりだ。代わりになるかは分からないが」

「ううん。十分すぎるよ」

「そうか。」

「買ってくれるって事はこの服はプレゼントって事でいいのかな」

 いや、さっき拳銃代の代わりって言った気がするが、そうは思いたくないのかもしれないな。

「ああ、プレゼントだ」

 妹以外の誰かに何かを買ってやるのは初めてかもしれないな。香奈が人生で二番目ということか。なんとなく悪い気はしないな。

 そんなことを思いながらレジに商品を持っていき、会計してもらう。

 映し出された値段を見て冷や汗が止まらない。確かに試着した服は上下セット10着近かったが、ここまでとは思わなかった。財布の中の紙幣だけ(自分の中ではたくさん入れてきたつもりだったのだが)では足りないと誰が予想できる。不可能だ。

 まあ、払えないというわけではない。カードがあるから気にはならない。なぜなら少し前(春休み)に仕事の依頼が来ていたので稼がせてもらった。ちなみに仕事内容はSPみたいなもんだ。俺の学校はそういう依頼が頻繁に来る。内容によるがだいたい、一仕事10万円。

「すいません、カードで」

「はい、分かりました」

 お会計のお姉さんは慣れた手つきでパパッと済ませる。

 この店は皆、カードでの買い物なのだろうと分かる。

「お買い上げ、ありがとうございました」

 お姉さんは『カードでしか払えない商品』が入った袋を渡してきた。

 その袋の表面には店の名前が印刷されている。それを見て値段も納得した。

 この店元々は金持ち向けの服を売っていたが、一般の方用に値段を抑えて売っている店だ。

 値段を抑えたからってそれはちょっとだけにすぎない。平民からすれば高すぎる。

「ありがとう」ニコッ

 あれ、値段がなんだっけ。まあ良いか。


 まあ、そのあとは「買いたいものがあるからちょっと待っててね」と言われ、通路の縁においてある椅子に腰掛け、少しうとうとしながら待ってたり、買い物を終えた香奈が来たのでカフェに入ったり。そんなことをしてたら時間も過ぎ18時近くになり、そろそろ帰宅しないと半殺しにされる気がしたので夕食の材料を買い、帰宅することにした。


――――帰宅途中――――

「今日から泊まること聞いてる?」

「誰が」

「私が」

「いやいや、ぜんぜん知らないんですけど!?」

「妹さんが電話に出たからかな」

「千夜は知ってるのか」

「一応、知ってると思うけど」

「ふ~ん。どのくらい泊まるか聞いて良いか」

「う~ん、一ヶ月ぐらいかな」

「着替えとか、制服はどうするんだ」

「もう、置いてあると思うけど」

 あー、確か香奈の母さんがいつも家にいるが不定期で香奈のお父さんのところに様子を見に行くとか何とかだったかな。

「まあ、とりあえず部屋はベッドがある俺の部屋でも使ってくれれば良いが、もし嫌なら妹の部屋があるけど。どうする」

「桜君が良いなら桜君の部屋で。・・・・・・あっ、妹さんに迷惑掛けるのも悪いと思って」

 そんなに慌てて付け足すようなことでもないと思うが。

「分かってる。それと俺の部屋居心地悪いと思うがそこは我慢してくれ」

「うん。たぶん大丈夫」


 まあ、そこからはただの雑談だった。

 現総理大臣が新しい取り組みをしようとしてるとか。海外の企業で新しい魔銃が完成したとか。


 やっと(というほど長くはなかったが)自宅に着いた。

 玄関の扉の前にはキャリーバックが置いてあった。まあ、香奈のだろう。

 そんなことより扉の先から漂う負のオーラが凄い。これは一般人でも分かるほどのだ。

 とりあえず香奈には扉から少し離れた所に居てもらい恐る恐るカードキーでロックを解除し扉を開ける。

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