プロローグ
2045年、世界第三次世界大戦が勃発。核兵器が使用されたこの戦争は核戦争と呼ばれ、黒い雨を各地に降らせ、たくさんの涙を流させた。各地は戦争の深い爪あとが残り、経済や科学技術などが死んだと言っても誰もが納得するほどの状態に陥った。
2058年、終結。
2070年、世界は大きく変化した。
科学技術は復活はせず、偶然だったが人類は人が持つ不思議な力を見つけた。これを魔力と言った。
魔力を使うと特定の現象を起こすことができた。これを魔術・魔法と言った。
魔力は小さな傷を治癒するなど人々に新しい可能性を見出した。
しかし、人類が魔力を使用することにより死者も増えた。
魔力は人類に幸せと苦しみを与えた。
そして、魔力というのは平等ではなかった。
攻撃性の魔力を使えるが起動装置を通さないと発動しない。そして発動時間が長過ぎてしまう、
防御性の魔力を使えるが触れていないと発動しない。そして発動時間が短い。
前者は戦闘中では無価値だが、戦闘前なら使える。
後者は戦闘中では使えるが、起動装置がなければ意味がない。
どちらにせよ後者に価値があるのは変わらない。
そう思うのも無理もない。
だが現実はもっと複雑にできている。
当たり前なことが当たり前ではないこともある。
こうなると何が正しく何が間違いなのかは誰にも分からない。
よって人と人の衝突が起こる。
そして人は争い続ける。
そして、2085年、魔力は実用可能状態になり、そのための育成機関、武器の開発が進んだ。
さらに世界は動き、2101年、1人の子が生まれる。
―――――――
誰だって一度は劣等感に苛まれることがあってもおかしいことではない。
ましてや兄、弟、姉、妹、父、母、自分と血が繋がっている人が優秀であればそれはさらに大きくなる。
その現実を知り手が届くはずもないが手を伸ばし続ける者、伸ばすのを諦め逃げる者・・・・・・その二つだ。
「ただいまー」
白を基調とした家の白色の扉を開けながら玄関に足を踏み入れようとしている白のワイシャツと黒のネクタイ、黒のスーツを着てボタンを閉めずにだらしない格好をした少年は襟に高等学校(senior high school)を表す『S』と学年を表す『2』のバッジが付けられている。だらしない格好をしているのにはしっかりとした理由があってのことだ。そして少年の名は『六東桜』。
「おかえり」
出待ちしていたのは桜の妹の『千夜』だ。
白のブラウスと黒のレディーススーツ(スカート)を着ている。女子はスカートとパンツ、どちらでも良い。襟には中学校(junior high school)を表す『J』と『3』のバッジが付いている。
つまり兄の二つ下である。
艶々な黒髪は腰近くまで伸びている。そして前髪ぱっつんだ。
目付きはおっっとりしていて見た目からして優しげだ。
本当はどうなのかはいずれ分かることだ。
「珍しいな、千夜が出待ちするのは」
「バッカだねー、お兄ちゃんは」
「?」
「可愛い妹が理由もなしに兄の出待ちなんてするわけないでしょ」
千代は口角を上げこう言った。
「決闘しよ」
「決闘!!今から!!」
地獄の学校から帰ってきた直後これだ。驚くも無理は無い。
「うん!」
(どうやら、千夜は俺をいじめたいらしい)
「今日、授業で魔銃つくったんだよねー」
魔銃=魔術起動装置銃
魔術の威力と効果を増幅させたりして起動(発動)させる銃である。
この学校の生徒が銃の携帯を許されているのはある免許を持っているかである。
嫌な予感はするが庭に出るしかなかった。