力を欲する代償(1)
プロットを作成したんですが、全然使いこなせなかったです……。
「では、とりあえず」
彼女はそう言うと、僕の腕を掴んだ。
「えっ!?ち、ちょっと!」
彼女の手が光る。
ふっ、と周りの景色が変わった。そこは、丸椅子が2つとテーブルが1つの寂しい部屋だった。
「ここは?」
「私の秘密基地とでも言っておきましょう。あっ、申し遅れました。私、ヒメと言います。これからよろしくお願いします。えっと…お名前は?」
「……………ダウト……ダウト・ジャンティウスだ。よろしく」
彼女には悪いが、咄嗟に考えた偽名で名乗る。
死ぬ前の名前は、もう名乗りたくない。
「そうですか。じゃあダウトって呼ばしてもらいますね。まあ、立ち話もアレですから、座ってください」
「おう」
座ってみると、椅子は結構古びていて、少し揺らすだけでギシギシ音を立てた。
「なあ、この椅子大丈夫か?結構ガタがきてるぞ?」
「大丈夫ですよ……多分」
ものすごく心配だ。
「まあ、ダウト。今はそんなことより……君には聞きたいことが山ほどあるでしょう?だから質問タイムをあげます。さあ、何でも聞いてください」
無理矢理話題を変えてきたが、まあ悪いことではないのでおとなしく従う。
「じゃあ、まず第一に…何故僕はここに連れてこられたんだ?」
「神に選ばれたんです」
「神ぃ?」
こっちの神は僕の世界の神よりだいぶアグレッシブらしい。
向こうは、どれだけ助けを求めても何もしてこないのに対して、こっちは違う世界の人間まで助けてくれるようだ。
いや、助けてくれてはないか。
僕にとって、前の人生で一番辛かったことは生きている事だった。
どちらかと言えばこれは刑罰か。
「で、どんな基準でだ。まさか、犯罪者だからなんて言わないだろうな」
「いえいえ、そんな事はないです。一応、神様からはランダムだと聞かされていますよ?それに、そんな優しそうな目をしている人が犯罪なんてするはずないじゃないですか」
自虐的な言い方をあえてしたのだが、まさかそんな風に思ってくれていたなんて……。
「えっ!?ダッ、ダウトなんで涙目なの?」
「いや……別に」
ちょっとヒメの優しさが痛いだけです。
涙を拭いて質問を続ける。
「じゃあ、第2に、どうやって生き返らせたんだ?やっぱり魔法か?」
「魔法ではなく、神技です」
「シンギ?」
「はい、要するに神が持っている力に等しい力を使ったんですよ」
「その言い方から察するに……」
「はい。あなたを生き返らせたのは私です」
「ん~、本当か?なんかやって見せてくれよ」
「はあ、じゃあ、ダウトを生き返らせたのとは別の神技を見せてあげます」
そう言うと、ヒメは両手を前にまっすぐ伸ばした。
口からはなにやら呪文のようなものが聞こえた。
すると、部屋の真ん中のテーブルが光輝き出した。
「うおおおおおお!?なんだ!?」
数秒後光が収まり、テーブルがあったところを見てみると、さっきのとは違うテーブルがあった。
「………はぁ……はぁ…、これが私の神技、指定した物と大体同価値の物とを交換する能力です!」
………想像をはるかに超えたリアクションに困る能力だった。
「…えっ、しょぼくね?」
「しょぼくなんてないですよ!これ使えば、家から出なくても買い物できるんですよ!?…まあ、お釣りはないんですけど」
やっぱり使えねぇじゃねーか!
はあ、とため息をつく。
その時、一つの仮説が生まれた。
「おいヒメ!!」
「はい?なんですか?」
僕はごくっと喉を鳴らし、期待に心臓を高鳴らせながら言った。
「もしかして、僕もその……神技、使えたり…する?」
ヒメは僕に向かってニヤっと笑い、
「もぉ、これだから男はぁ、いつまでたっても子供なのよねぇ…」
「うるせぇ!」
ゴゾゴゾとヒメはローブのポケットの中から何かを探し始めた。数秒後、
「んー、あった。じゃあこれを右手の甲につけてください」
そう言って渡してきたのは、白い小さな楕円形の石だった。
「なんだこれ?」
「これはわかりやすく言うと、人体用のUSBメモリみたいなものです。人体に能力を植え付け、さらにこの世界の基礎的な情報も知れますよ」
そんなのあったのかよ……。
「なんだよ。質問タイム意味ねー…」
石を受け取り、手につけようとしたその時、
「ちょっと待ってください」
ヒメが声を上げ、僕は何事かと手を止めた。
「なんだよ。つけりゃカッコイイ能力とこの世界の情報の2つが手に入るんだろ?やらない意味が見つかんねーじゃん」
「いえ、付けさせはするんですけど…忠告しておこうと思い……」
「忠告?」
「はい、それをつけたらしばらくは意識をしっかり保ってください」
「え?どうゆう意味だ?」
ヒメの頬を一筋の汗が流れた。
「生半可な覚悟だと、精神が壊れる危険性があります」
「………は?」
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