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第八話


「サンキューな」

虹は隣を歩く天音に言った。持っている缶コーヒーを揺すって主張している。

「いえいえ」

天音も笑顔で返す。

「こちらこそ、ありがとうございます」

本当に嬉しそうに、天音は礼を言う。

 虹はそれを見て、つられて笑う。

「どうして、カフェ・オレなんだ?」

数秒躊躇った後、天音はぽつりと言った。

 答えないと思っていた虹は戸惑う。

「笑わないですか?」

「……面白かったら、そりゃあ、笑うけど」

ふふっと笑った天音は、先輩のそういうところ好きです、そう言って続けた。

「私はホットミルクが好きで、先輩はコーヒーが好き」

すっと、それを聞いていて虹は思った。ミルクとコーヒー、どこかで聞いたことがある。

 天音の視線の先、カフェ・オレを、虹も見つめた。そして、思う。

 ――まるで……。


「オレ達……みたいだな」

「えっ?」

虹の呟きに、天音が驚いている。

「あ、いや、その……変な意味じゃなくてだなっ!?」

虹は、自分がなぜこんなに焦っているのかわからなかったが、とにかく何か言い繕おうと必死だった。

 それは、虹自身の少し恥ずかしい想像が原因だ。


 カフェ・オレのように、二つが一つになるくらい……、

 ――天音が自分の傍に居てくれたら良いのに。

 そんなことを思ってしまった。

 虹は自分に心の中で、ロマンチストか!? とツッコミを入れる。

「……」

気まずい。ふと冷静になってみれば、天音がずっと黙っていた。

 虹は冷や汗をかく。

「そう、ですね……」

ふと、天音が呟き、その意外な内容に、今度は虹が首を傾げた。

 天音は、虹のおかげで、少しだけ素直になれた。

「私も、似た事、考えてました……」

「そっか……」

二人はどちらからともなく笑だし、笑顔で歩いた。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] ここも誤字報告が使えないのですみませんが。 第8部分最後の行の”笑だし”は、”笑いだし”のほうが宜しいのでは?
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