出会い
私の愛する人は消えてしまいました。
「消えた」というと普通は死んでしまったとか蒸発してしまったとかをいうけど、
あの人は「消えた」のです。
私の目の前で融けるようにして消えてしまったのです。
ある夏の日でした。
その日はとても暑くて、真夏日を超えているといっていました。
私はいつものように公園に行って読書をしていました。
その時です。
あの男が現れたのです。
よろよろと歩き、まるで赤ん坊のような振る舞いでした。
周りの人々は「何あれ…」「変なの…」みたいな会話を繰り返し続けていました。
誰一人として助けるものなどいませんでした。
いつもの私はそういうことにはかかわりを持たないと決めていたのですが、その時は暑さで頭がどうにかしていたのでしょう。
ひとりでに読んでいた本をベンチに置き、その男に手を差し伸べると
「大丈夫ですか?」
と口走っていました。
男は立ち上がると
「ありがとう…」
とかすれた声で言いました。そして続けて
「何か…食べるものを…」
と言ってまた倒れました。
「ふうぅぅ~~。ありがとう!おかげで死なないですんだよ~。ほんとにありがとう。」
彼は私の家にあったカレー(レトルト)とラーメン(インスタント)とから揚げ(冷凍)といなりずし
(スーパーの)をそれぞれ2皿ずつきれいにたいあげるとようやく息をついてそういった。
「それにしても…よく食べるのね…」
チラッと横に置いてある空のお皿を見るともう吐き気がするくらいの量だ。
「いや~…お腹すいちゃって…」
頭をポリポリかきながら彼はそういった。
「あ、そういえば君の名前聞いてないな…ご飯も食べさせてもらったからなんかお礼するよ!」
彼はご飯粒をほっぺたにつけたまんまそういって笑った
「…私は 秋月 真央です。ところであなたの名前は?…あと…ご飯粒ほっぺたについてますよ…」
「あっ!ほんとだ―…ご飯粒ついてる…僕は 瀬見 明です!これからよろしくね!」
アキラのその言い方になんだか違和感を感じる。いやな予感…
「…え?…『これからよろしくね』って…どういうこと?…」
「あ、えっと…だから、お礼するって言ったじゃん。だからそのお礼に最適な方法が見つかるまで
ここで寝泊まりします☆」
「えええええええええええええええええぇぇぇぇ!!!」