第八話
ううん、買い物に来ようとは思いましたが、具体的に買うものは考えてなかったですね。
必要と思うものは結構揃えてしまってますので、特段必要ないと言うのも事実です。
でも、ウィンドショッピングも悪くないですね。
負傷している今、街の外にもう一度出るわけにもいきませんし。
そうそう、負傷は、流石に宿舎で一晩寝ると全快と言うわけではないようです。
もっとも、軽い怪我は治りきりますし、重い怪我でも日数掛ければ治るとか。
神社に行って治療を受ける方が早く治せるようですけどね。
今回の負傷は、そこまで重いものではないですから、一晩寝たら治ると言うレベルになるようですが。
兎でも苦戦することを考えると生命力回復アイテムを購入しましょうか。
・外郎
・牛肉丸
・救命丸
・印籠
いろいろな、回復アイテムが売ってますね。
ういろうって、お菓子じゃなかったんですね。
そう言えば、なんかでお菓子と間違えて薬のういろうを食べて大騒ぎなんて話ありましたっけ。
印籠って薬を入れていたとは聞いたことありますが、これ自体が回復アイテムと言うのはちょっと……気にしたら負けですね。
店の名前が、越中屋の時点で狙ってるのはわかりますし。
魔法はまだ使えませんので、魔法回復薬に用はありませんが、いずれ使うことにはなるんでしょうね。
ただ、マムシとかがあるのはちょっと。
「お買い上げありがとうございます。……もし暇があるようなら、ちょっとこれを肉屋まで届けてくれませんか?」
「?まあ、良いですけど」
普通に買い物しただけですのに、声をかけられて驚きました。
もっとも、何か用がこれからあるわけでもないですので、快く了承して肉屋に持って行きます。
中身が何か分かりませんが、袋を渡されました。
きっと薬でしょうね。
「肉屋さん、越中屋さんに頼まれてお持ちしました」
「おや?この前頼んでいた薬か。でもよく巫女さん引き受けたね?」
「と言いますと?」
「いやさあ、あの店主のことだから、中身が何か言わずに渡したんだろう? そんなもの受け取って、ご禁製品だったらとか考えないのかい?」
全く考えていませんでした。
そういうトラップイベントもあり得ると言うことなんですね。
「ははは、気をつけなよ。天人は親切な人が多いけど、騙されやすいってことでもあるからね。
今回は問題ない薬だけど、中身の確認ぐらいはしてから仕事は受けた方が良い」
システムメッセージ:肉屋さんの忠告を受け取りました。
イベントだったようですね。
引っかけが今後あり得ると言う周知手段と言うことでしょうか。
スキルを見ると、常識スキルがレベルアップしています。
結構ショックだっただけに、経験として加算される部分も大きいということなのでしょうか。
いつでも気を抜かずにいかないといけませんね。
「でも、気軽に頼んだことを受けてくれるのはありがたいと思うよ。
冒険者組合に頼む程じゃない依頼はたくさんあるわけだしね」
今回私のしたことは、役に立ってはいるんですね。
それに良く考えれば、途中で盗んだりしないと言う程度には信用してもらえたということでもあります。
ちょっと嬉しいかもですね。
システムメッセージ:初めてのお使いクエストを達成しました。報酬として、経験値3が支給されます。
おや?これイベントだけあってクエストでもあったのですか。
兎を倒したのと同じ経験値と言うことは、兎が大したことが無いのか、このクエストが結構比重大きいのか。
どちらにせよ、レベルアップして3になることが出来ました。
スキル上限が一つ増えましたが、今の所は保留です。
天分は敏捷を上げるとします。
さっき兎相手に苦戦した大きな理由は、行動が遅かったからというのが大きいでしょうし。
ステータスが面を見ると、
イツミの現在ステータス
体力:2
器用:7
知覚:7
敏捷:2
知力:8
精神力:5
魅力:5
運:5
生命力:35/70
魔法力:65/69
スキル:
・地理3Lv
・歴史3Lv
・常識4Lv
・礼儀作法3Lv
・植物学5Lv
・動物学4Lv
・化け物学3Lv
・言語学3Lv
・商取引3Lv
・戦闘(初心者)4Lv
ユニークスキル:言語習得能力補助
スキル内容:言語スキルを修得する際に、補正がかかる。
所持特殊アイテム:ご城主のお言葉、肉屋の忠告
経験値:6(次のレベルアップまで6)
業:-4
冒険者組合階級:い
信者レベル:なし
賞罰:特になし
こんな表示になってました。
業ってなんでしょうね。
「業は、悪事を行った際などに増加する数字ですね」
口に出ていたようで、壱之条さんが教えてくれました。
「でも私の場合マイナスになっていますけど、何故しょうか?」
「善行を積むと減るんです。イツミさんの場合は、さっき特に報酬等も要求せずに輸送を快諾したこと、自然破壊的な行動を諌めたことが評価されてのことですね」
「諌めたって、成功はしませんでしたけど?」
「ええ、だからその数値しか変化してないんです。成功したら二桁行っていたでしょうね」
そういうものなんですね。
「他にステータスでわからないことはありますか?」
「魔法力が減っているように見えるのは、何故なのでしょう?私、特に使ってないはずなんですが」
「?ああ、逆です。レベルアップで上限が増えたんです。現在値は一晩寝るなどの休憩や、回復アイテムを使わないと増えませんから、結果的に上限値より少なくなるということですね」
成程です。
生命力もここまでの比率で減っていないはずと思ったのですが、上限の方が増えていたのですね。
そろそろいい時間になっていたので、宿舎に帰り明日に備えます。
生命力や魔法力は全快する筈ですが、まだ色々頑張らないとですね。
魔法についても学んでみたいですし。
寺小屋辺りで教えてもらえるのでしょうか?
壱之条さんに聞いておけばよかったですね。
……女子用の宿舎に呼びだすわけにもいきませんし、明日改めて聞きましょう。