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第六話

「これで、商取引入門講座を修了します」


 一通りの授業を受け終えて、入門的な知識を身につけ終えました。

相変わらず寺小屋に通うプレイヤーは、私一人のみ。

勿論基礎講座以外の講座には、現地の方が大勢通われているんですけどね。

習うより慣れよで、一気に進めている方が多いのでしょうか。


 帰りに冒険者組合に顔を出して、明日からの依頼をどうするか見に行きます。


「これであなたは、は階級になります。これからもがんばってくださいね」

「オレの実力からしたら、こんなもんだよ」


「今回は成功されましたが、もう少し自分に合ったものを選ばれた方がいいのでは?」

「結果がすべてじゃないの。私はこれからも成功するわ」


「依頼人を怒らせてしまうとは」

「依頼人が怒る方がおかしい。怒りやすい人となんで事前にいっておいてくれなかったんだ。

依頼内容は成功したんだから、報酬はくれよ」

「しかたありませんね」



 授業を受けなくても結構うまくできているようですね。

私は回り道をしたのかもしれません。

でも急がば回れとも言いますし、無駄にはならないと思いますし。


 掲示板を見ると、素材募集の依頼が結構あるようです。

期限は特に定められていないようですので、明日受けようと勘合札を受付に持っていこうとしますと、


「その依頼を受ける割には手ぶらだけど、どうしたの?」

「依頼を受けてから、素材を入手しに行こうと思うのですが、何か問題があるのですか?

「……もしかして、素材だけを入手しにいこうなんてこと考えてる?

こういう依頼は、他のことをしているついでに入手した素材を売る為のものだよ。

だから、素材を手に入れてからじゃないと受けないものなんだ。

窓口で素材は鑑定してもらえるから、見つけた素材の勘合札を回収して受付に持って行きながら達成するのが常識だ」


 親切なプレイヤーの方が教えてくれましたが、ちょっとイメージが違いましたね。

素材について勉強していなくても、素材募集依頼を受けることはできたのですね。

ちょっと残念ですが、どういう素材が募集されているかを確認し、その素材を採取すると言う方向に方針転換します。


「しかし、今頃こんなことやってるなんて、遅れて始まりの街にたどり着きでもしたの?」

「いえ、寺小屋で勉強していたんです」

「勉強?なんでまた。こんなゲームの世界で勉強なんてばからしいとは思わなかったの?

冒険のやり方なら、チュートリアルキャラクターに聞けばいいんだし、簡単な素材なら植物事典を本屋で買って行けば分かるんだし。

無駄なことやる楽しさを否定はしないけど、いきなり最初にそれはないわ」


 ……やらかしてしまっていたようですね。

でもまあ、学んだことでとっさに対応できるようになったとも思っておきましょう。


「それだけ勉強したからには、スキルとかどうなっているの?」

「スキルですか?」


 考えたことがありませんでした。

壱之条さんも近くにいたはずですが、特に何も言われてませんでしたしね。


「もしかして、スキルの見方も知らないのかな?

ああ、どこかで見たと思ったら領主城にいた巫女さんか。

不思議系なのは恰好だけじゃなくて行動もそうだったみたいだね」


 余計なお世話です。

でも、それからスキルの見方を教えてもらいました。

スキルは当初は10個しか覚えられないそうで、レベルが上がると1個ずつスキルの上限が増えていくそうです。

なので、広く浅く学ぶよりは専門的に学ばないと、枠がすぐにいっぱいになってしまうことが、よそのゲームでは多いんだとか。


 で、私のスキルですが、


・地理3Lv

・歴史3Lv

・常識3Lv

・礼儀作法3Lv

・植物学3Lv

・動物学3Lv

・化け物学3Lv

・言語学3Lv

・商取引3Lv

・戦闘(初心者)3Lv


の10個になっていました。

上限いっぱいということで、危なかったですね。


「お、商取引やモンスター知識を学べるのかあ。それなら寺小屋に行くのも悪くないのかも。

店での値引きとか、見慣れないモンスターの攻撃対処法とかわかれば確かに強い。

ごめん、さっきないわと言ったのは撤回する。今度俺も寺小屋行ってみるよ」


 無駄なだけではなかったようです。

ただ聞いている限りは、必要になったらスキルの枠上限と相談しながら授業を受けると言ったことがよさそうです。

やみくもに手を広げても、器用貧乏になるだけなのでしょうね。


 スキルの説明の見方も教えてもらい、明日からの冒険者活動に備えるとします。

壱之条さんになんで教えてくれなかったのかを聞くと、


「聞かれませんでしたからね。それに、自らの力で学ぼうとしている所を邪魔するのは、申し訳ないですからね。

少なくとも私達に聞いても、大した経験になりませんが、授業で習ってスキルにしたからには、私に聞かなくても出来ることになります。

その方がむしろ、喜ばしいのですよ。私達チュートリアルキャラクターは最初のみしか着いていけません。

期間が終わってから放り出されるよりは、自分の技能としていただけた方が望ましいに決まっています」


 チュートリアル期間が終われば、チュートリアルキャラクターもいなくなってしまうわけですね。

その後のことを考えれば確かに、スキル化していた方が有利です。

今日は、授業で疲れたこともありますし、植物採取に必要そうなものを店で購入した上で宿舎に帰るとしましょう。

組合で教えていただいた百科事典も忘れずに購入します。


 スキルで基礎がわかるおかげか、植物事典を読んでいても楽しいですね。

戦闘に必要な道具も購入しましたが、体力が低いせいであまり物が持てません。

最初の体力天分1にしていたらと思うとちょっと怖いですが、魔法を覚えるなり、天分を成長させるなりすればいいのかもしれませんね。

転ばぬ先の杖とは言いますが、人事を尽くして天命を待つことは割と好きですし、問題ありませんね。


 明日が楽しみです。

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