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第五話

「冒険者組合に登録していただきます」


 チュートリアルシナリオが再開しました。

先に領主城に行ったのは、アバター登録をするためだったようですね。

でもあの結果になるのであれば、初めからアバター登録をして、最初の冒険者組合紹介の際に登録でもよかったようにも思えます。

と言うよりも、名前を決める前……もっと言うなら、募集する際に世界観の説明をしてあれば、とも思いますね。

この辺のことは覚えておいて、報告した方がよさそうですね。

冒険者組合は、初日と言うこともあって、大混雑しています。


「冒険者組合へようこそ。この組合では、冒険の仕事を受けられますし、冒険で得た物品を買い取ります。

また、イベントモンスターや、賞金首狩り等の報酬受け取り窓口になります。

天人の皆様が、冒険者に対しての依頼をすることもできます。

その際の報酬は、こちらが相場を提示いたしますので、相応なものをご提示いただければと思います。

何か質問はございますか?」

「組合費などは、かかりますか?」

「組合費ですか?」

「ええ、組合を維持するためには費用がかかかるでしょうから、組合員が負担するのかと考えまして」

「ああ、そういうことですか。冒険者組合は、元々国や市町村の寄付により維持されております。

冒険者の依頼の斡旋料等もいただいてはおりますが、これは依頼を出す方の受益者負担的なものですね。

冒険者の生活をサポートすることで、治安や化け物の困難を解決して行く事業に対して、国や街が費用を負担してくれるのです。

また、冒険者が見つけてきた素材の売買も組合にとっては収入源となります。

その素材によっては、国が独占的に買い取ることもあり、国にとっては素材の供給元維持という側面もありますね。

そう言ったことですので、組合員の方には負担を求めておりませんが、冒険者であり続けることは求めております。

一年に一回更新を行い、その際に冒険者としての活動歴が無い場合には、退会いただくこともあるという形ですね」


 要は、冒険者組合は国や地方自治体が外注する公共事業的なものなのですね。

街の荒れくれ者を管理する機関であり、暴れるパワーを社会に役立つようにもっていくもの。

ただ、働かない人に便宜を図るのも問題があるため、働いたら負けだと思っている的な人には、退会願うと。

もっともらしい設定がしっかり用意されているのですね。

そういう所を作り込む前に、世界観の説明を先にする等やることが他にあると言うのは置いておくとして。


「天人の皆様には、無理は言いませんよ。

冒険以外で社会に貢献していただければ、冒険者として活動しなければいけないというものでもありませんし」


 お客様に対しては、行動を縛らないということですね。

冒険をしたくない人がいてもおかしくはないでしょうし。

特に私みたいに家族や親せきに頼まれて参加した人の場合。


「折角登録するのですから、何か依頼を受けてみたいんですけど、どうすれば良いでしょうか?」

「おお、依頼を受けていただけますか。流石は巫女様です」


 巫女のことは強調しないでほしいです。

アバターは基本変更できないということで、今も巫女の姿なのですから。

流石に着替えや入浴等は行えますけどね。


「依頼は、そこの掲示板を見ていただき、受けたい依頼の勘合札を受付に持ってきていただきます。

その勘合札に合う内容の依頼書を受付にて発行いたしますので、その依頼書が受けたいものかを確認していただいたうえで、

依頼人の元に向かう、素材を取りに行く等していただきます」

「依頼を受ける際に階級などの制限はありますか?」

「受ける方に対して、特に制限はしておりません。

ですが、知識もないのに素材を取りに行っても、まともな結果は見込めないでしょうし、依頼人が階級から判断して任せられないと追い返されることはあるでしょう。

その辺の見極めとして、目安の階級や必要スキルを書いてありますのでご利用ください」


 まずは、最低限の知識を得てから依頼を受けた方がよさそうですね。

物語を読むと、まずは植物系の素材収集が定番のようですが、私はこの世界の植生を全く知りませんし。


「素材の知識を学ぶにはどうすればいいでしょうか?」

「それならば、寺小屋で学ばれると良いですよ。天人の方々は、この世界に慣れていただく為にも、無料で受けられる口座がありますから」


 それを先に言ってください。

冒険者組合での行動は登録だけに済ませ、寺小屋に行き、この世界で必要なことを学ぶことにします。


「ようこそ寺小屋へいらっしゃいました」


 寺小屋に来ましたが、冒険者組合とは打って変わって閑散としています。

まずは世界について学ぶという私みたいな人は、少数派なのでしょうか?

……それもそうですね。

私自身、冒険者組合に行って必要に感じたから来たわけですし。


 まずは講座一覧を眺めます。


・地理入門

・歴史入門

・常識入門

・礼儀作法入門

・植物学入門

・動物学入門

・化け物学入門

・言語学入門

・商取引入門

・初心者の為の戦闘講座


 他にも色々ありますが、少なくともこれらは全部受けてから依頼に参加した方がよさそうですね。

天人と言うことでわからなくても大丈夫と説明はされてましたが、わかって行動した方が良いに決まっています。

入門と言うからには、専門やもっと深く学ぶことも可能なのでしょうが、今の所は入門だけでよさそうでしょうか。

必要になったら、もっと詳しく学ぶことも良さそうですね。


「皆様がおられるはじまりの街は、信濃国にあります。すべての地域は、国に分かれて……」


 この世界は、日本を元に作られているようで、旧国が割り振られているようですね。

でも、会場がN県だから信濃国って結構安易ですね。

てっきり、天空の城と言うことで但馬国から開始かと思ってました。

別に史実そのままにする必要もないわけですから、その辺は雰囲気と言うものですね。


「天帝が建国されたこの地は、天帝の威光が衰え、国ごとに大名が支配する戦国時代となっております。

大名ごとに戦いが繰り広げられており、下剋上や併合・独立といったことが繰り返され、麻のように乱れており……」


 ちょうど戦国時代を想起すればいいのでしょうか。

もっとも知らない苗字の大名のオンパレードですので、史実通りに動くと言うこともないのでしょう。

なかには、天下統一を目指すなんて遊び方をする人もいるのかもしれませんね。


「名前には、幼名・実名・輩行・官職名・号と言ったものがあり、身分の高い方の実名を呼ぶのは、相手を激怒させかねない程の失礼にあたり……」


 そうなのですか。

気をつけないといけませんね。

輩行のような通称で呼ぶことが普通なようですが、これわからないで怒らせてしまうトラブルも多そうです。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 先ほどあげた講座の第一回を受け終わった時には、一日が費やされていました。

正直、受けてなければ怖いという印象を受けます。

今日のことは本当に初歩の初歩の内容でしたが、正直知らないと困ると言う内容でしたから。

明日以降も授業を受けられるようですから、しっかり学んでから行動を開始した方がよさそうですね。


 でもこんな重要な内容を教えを受けずに行動できるようにすること自体、システムとしておかしいんじゃないかとも思います。

初めから知っている扱いでも良いんじゃないでしょうかね。

十日ほどで、講座は終わるとのことですので、これからの九日間も寺小屋に通って世界について学ぶことにします。


 でも、寺小屋に来られるプレイヤーの方をお見かけしませんが、みなさん大丈夫なんでしょうか?

案外、こういうことを知らないのは私がゲームに疎いだけなのかもしれませんね。

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