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第三十九話

 豊後から美濃に戻ってきて、一気にゲーム終盤に向けて美濃の依頼群解決に向けて、皆で協力し合う状況がはじまりました。

今までも手伝ってはいたのですが、日常依頼については、再稼働組がやってくれるためにメイン依頼に集中できるんですよね。

もっとも、それじゃあ再稼働組の人にも不公平なので、割の良い依頼にも参加してもらってバランスを取るようにはしていますけど。


「俺達がやってる街道改修依頼に人が増えたのは、嬉しいことだよな。おかげで同時に工事するみたいなこともやりやすくなっているし」


 越前と再稼働組が行き来することで、越前側のプレイヤーにもこの街道の重要性が認識されて、越前側の改良が進んでいるんですよね。

結果、荷車が通れるようになったため、飛躍的に物流量が増えています。

山道を超えるのは大変ですが、荷車が通れることはかなりのメリットで、山道に茶屋が出来るなどして、外部経済的な描写も出てきてます。


 もちろん、この道は荷車レベルだから行き来できるだけで、本来的にはトンネルを掘るなどして整備すべきなんでしょうけど、この世界の技術力ではたとえ魔法で一度作ったとしても、維持管理が無理になるでしょうね。

魔法効果永遠なんて無理だと思いますし。


……儀式魔法で狙えるのかもしれませんが、わざわざトンネル掘るのに儀式魔法と言うのも、どうかと思います。

それに、トンネルと言うと微妙な調整が必要でしょうが、それを呪文に組み込むとなると言い間違いする人が増えかねません。

儀式魔法は簡単なことを強力に行うことには向いていますが、繊細なことをやるのにはどうしても、ハードルが高くなりますよね。


 この街道付近は、冬になれば雪深い地域となりますので、冬季閉鎖は避けられません。

冬季閉鎖する以上、春の復旧作業はかなりの労力が必要になります。

ゲーム世界がゲーム終了後も続くかはわかりませんが、プレイヤー達が次の復旧には関われない以上、余り派手なことをするわけにもいかないと思うんですよね。


 後に続く世界に対する責任が取れる範囲でやって行きたいと言いますか。

まあ、こんなことは私の感傷で、他のプレイヤーがどう考えているかはわかりませんけどね。


「いや、それは必要な感覚だと思うよ。俺達だって、技術チートやってみたいなんて思ったことはあるけど、その後について責任取れないお客さんだと思ってやめたなんてことあるし。ここはリゾートでAIが接待してくれる場ではある。だからと言って、無制限にいろいろやっていいのか? と考えたら怖くなった。イツミさんらしい考え方だと思うし、このままの状態を続けていくことに俺は反対しないぜ」


 ヨークさん達に相談してみたところ、問題なかったようですね。

強いて言うなら、言霊魔法を美濃の人々に広めて、それを維持することがいいかどうかということになるでしょうか。

土木部分だけを教えるわけにはいかない以上、武力にもなる言霊魔法がを教えてパワーバランスが崩れようものなら、それはそれで問題になりますからねえ。

プレイヤーに教える分には、特に問題に感じませんでしたけど、一般人に教えるとなるといろいろ難しい所がでてきます。


 かといって、近代土木技術での技術チートなんてやろうものなら、それはそれで問題ですし、難しいところですね。

コンクリートも作ろうと思えば作れないことはないんです。

古代ローマのカラカラ浴場でセメントが使われていた記録があるぐらいですし、セメントに砂・砂利・水を混ぜればコンクリートになるわけですから。

崖崩れを防ぐためにコンクリート吹きつけなんてこともやろうと思えば不可能ではないはずなんですよね。


 ただ、出来るのとやっていいのは別問題ですし、技術の基本はわかってもそれを実際に強度十分にする研究をしたとしてうまくいくかは未知数なわけですから。

それに一時的に強度を持てたとしても、地中の力は人間に対抗しきれるレベルかも疑問です。

地下水などで内部からの圧力が高まって決壊した場合、下手にコンクリートを吹き付けいていたことで被害が増すなんてこともありえなくもないですからね。


 探せば、越後でアスファルトも入手できるので、道の舗装も出来るんでしょうけど、今からゲーム終了時間までに形に出来るか? と言うと難しいですし、ない物ねだりが多くなってしまいますね。


 ないよりはマシと言うことで、砂利を敷き詰めて舗装することを実施してはいますが、せいぜい気休めレベルです。

変に技術革新するわけにもいきませんので、このぐらいが限度だろうと言うことになったんですけどね。


 それでも、他の山中の街道と比較すれば高規格となったようで、飛騨や信濃などから見物に来ている商人もいるようですが。


 他の人達のお手伝いも行っています。

美濃の治水依頼のお手伝いなんてこともありました。

聖牛なんて、武田信玄が考案したとされる水防をしていますが、こういう戦国時代にもあった技術革新ならば問題なさそうですね。

美濃は治水さえしっかりすれば、日本随一の米どころになりえますし、産業開発としては、街道整備以上い大きな意味を持つかもしれません。


 一年と言う期間でどれほどのことが出来るかは不明ですが、次にこういうゲームをやるとしたらもっといろいろやってみたいですね。


 そんなこんなで過ごしていたところ、次のボス戦招集が、日向よりもたらされました。

日向ってまさか、天孫降臨ネタじゃないですよね?

国の機関も関わっていてそれはないとは、思いたいですけれども。

いくらなんでも、私達の生まれた国の建国神話を敵にはしたくないです。

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