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第三話

「私、壱乃条と申します。チュートリアルは、私めにお任せ下さい」


 気がつくと、何もない空間にいて前には割とイケメン風のナイスミドルな和服の男性がいます。

チュートリアルを担当されると名乗られていますが……ああ、そう言えばここはゲームの中の世界でしたね。


「よろしくお願いします。色々教えてくださいね」

「私の方からも、よろしくお願いいたします。では、まずはこの世界でのあなたのお名前を教えてください。

先に言っておきますが、リアルの名前そのままは禁止事項となっております。もし登録しようとしてもエラーになりますので、ご注意ください」


 えっと、名前本名そのままはまずいのですか。

おじさんが言っていた通り、プライバシー出すの禁止な以上、想定しておくべきだったかもしれません。

しかし、考えてなかった所に本名禁止と言われると……


「イツミで登録するのは、大丈夫でしょうか?」

「大丈夫ですよ。問題が無ければ登録します」


 とっさでしたので、苗字の漢字(逸見)の読みを変えただけなのですが、その程度の変更でも問題ないのですね。

元々、先生が読み間違えるなどして、友達からもあだ名として使われていたので、呼ばれたらすぐに反応できる自信はありますし。


「名前の次は、性別を決めてください」


 性別によって名前を変える人もいると思うんですが、順番これで良いんですかね?

システムメッセージで、選べる性別が表示されてますが、男・女は良いとして、無・両が薄く表示されているのはなんでしょう?


「あ、これは、医学的判断により、片方の性別とすることに問題がある方のみが選べるオプションです。

イツミさんは、そういった症状はお見受けしませんので、男女のどちらかを選んでいただく形になります」


 ……医学的判断優先はわからなくもないですが、どうせ異世界になるなら、無性別、両性別をやってみたいと言う人はいるかと思うんですが。

敢えて性別で、精神的に問題ある人のみが選べる性別なんて用意すると、差別だなんて騒ぎになりかねないと思うんですけど、大丈夫なんでしょうか?


「女性でお願いします」


 特に意味はありません。

普段と変わらない方が楽でしょう、という程度の話。

もし、男性にした場合、ゲーム内で恋愛と言う話になった際に、性別変えていたらBL展開になりそうで嫌だったんですよね。

そういうのが好みな方は知っていますが、私は好きじゃありません。


「はい、では女性で登録させていただきます。次は、天分を決めていただきます」


 システムメッセージとして、天分についての説明が出てきました。


体力:力や健康等に影響する。体力が高いと生命力も高くなりやすい。


器用:手先の器用さ、交渉事等に影響する。器用が高いと社会的信頼が得られやすい。


知覚:物事に気づきやすくなる。第六感等も含まれる。知覚が高いと、物事を再現するのが上手くなりやすい。


敏捷:素早さや回避に影響する。敏捷が高いと、戦闘時の行動回数が増えることがある。


知力:記憶力やスキルの覚えやすさに影響する。知力が高いと知的な雰囲気から考えが受け入れられやすくなる、。


精神力:根性や魔力に影響する。精神力が高いと、痛みを我慢して戦い続けると言ったことが出来る。


魅力:カリスマや美形といった数値。雰囲気的な美形やかわいらしいと言ったものが含まれる。


運:幸運や不運を左右する。運が低いと、どれだけ他の天分・スキルが高くても行動が失敗しやすい。


 この内容を40ポイント割りふると言うことなのですね。

全部高くしたいとも思いますが、平均的にすると言うのは器用貧乏を意味しますしね。

ゲーム内で天分は成長すると聞きましたし、低い値も作っておいて、後から成長させるということを考えた方が良いかもしれませんね。


体力:1

器用:11

知覚:12

敏捷:1

知力:13

精神力:15

魅力:12

運:18


 こんな感じに割り振ってみました。

……どう考えても、40を超えていますね。

再調整します。


体力:2

器用:7

知覚:7

敏捷:1

知力:8

精神力:5

魅力:5

運:5


 こんな感じにしてみました。

高くするにしても8が限度かなと。

これから成長すると言うことで、そちらに期待もできますしね。


「はい、わかりました。では次は、ユニークスキルを設定してください。

内容によっては、修正をお願いする場合や数値的効果が低くなることがありますのでご注意ください」


 ユニークスキルを自分で内容から作って設定するようです。

一人一つ持つことができ、その内容次第で、さまざまな補正や能動的行動が取れるようになるとか。


 私は、世界説明を聞いた時に思った印象を元に考えてみました。


ユニークスキル名:言語習得能力補助

スキル内容:言語スキルを修得する際に、補正がかかる。


 これを申請したところ、壱乃条さんは意外な顔をした後、


「こういうスキルも申請されるのですね。想定はしていませんでしたが面白い。

特に問題ないかと思いますので、登録しました」


 想定外なのですか。

折角一つしかないスキルを作れるんですから、汎用性を高いものにした方が便利だと思えたのですが。


「他のスキルは、ゲーム内で学習していただく形になります。学習方法は、寺小屋で学ぶ、各種行動を規定回数以上行う等になります。

次は、誕生日及び年齢を選んでいただきます。

誕生日や年齢によって、天分に影響が出ますのでご注意ください。

尚、誕生日は、ご本人と同じ日付ですとプライバシー規則に反してエラーになりますのでご注意ください」


 誕生日ですか。9月1日がリアルの誕生日で、避難訓練の日とか、第二次世界大戦開戦記念日とからかわれましたからねえ。

そういう災害や戦争が起きた日じゃない日にしたいところですね。

10月10日にしましょう。

一回目の東京オリンピック開会の日ですから、変な曰くもないでしょう。

年齢は、私自身と同じ18歳に。

特に深い考えはありませんが、社会的信用を得る場合は、もう少し年齢高い方が良かったのでしょうか。


「決まりましたね。それでは事前の登録事項はすべて終わりになります」

「えっと、種族とかは決めないんですか?」

「種族ですか?種族は皆さん同じ天人になります。事前に説明を受けている筈なのですが」


 ああ、そう言えばそんな話も言われてましたね。

でもエルフとか、シフールとかやってみたかったんですがちょっと残念ですね。

特に問題もないので、次のエリアに移動します。


 そこに飛び込んできた光景は、想定外なものでした。

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