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第二十五話

 やって来ました、美濃の国府勿破。

信濃や飛騨と比べると大国なだけに人が多いですね。

急ぎの目的は今のところありませんので、冒険者ライフに勤しむ予定です。

蝮語もそれなりには使えるようになりましたので、いろいろ交流したいですね。

言葉と言えば、ヨークさん達も、言語学スキルの習得を始められました。

私が会話しているのを見て、便利だなと感じられたそうです。


「よく考えれば、いくら観光客向けに日本語を相手が使ってくれるからと言って、相手の言葉を知ろうともしないのは失礼な話だよな。挨拶ぐらいは、ちゃんとしたい」


 派生スキルが出る八レベルまでは時間がかかるようですが、うまくいくよう私も応援します。


 派生スキルの仕様も曲者とわかりました。

派生元のスキルレベルよりは高くできないんですよね。

そのために、私も言語学スキルを高めるために精進しています。

現地語以上に言霊魔法を試行錯誤で研究するのに、スキルレベルの制限が壁になってしまったんですよね。

まあ、派生である以上元のスキルが重要となると言うことなのかもしれませんけど、ちょっと不便ですよね。

今回は知力が上限で変わらないので問題ないですが、違う天分が上限になることもあるようですので、まんべんなく天分を上げないといけなくなるのもどうなんでしょう?

まあ、あまりに強いスキルが特化的に上がると問題だと言うこともあるのでしょうし、素人の私では思いつかないような問題が起きるのかもしれませんけどね。


 勿破は、美濃では割と西の方ですが、近江や越前にはもう行けるようになっていますので、辺境って感じはしません。

そもそも国府ですから栄えていますしね。

越前方面は、結構悪路であるため、街道整備依頼等も出ているようです。

私の言霊魔法は、大きな岩だけを砕くと言った使い方も出来ますので、崖崩れの復旧工事に使えそうですし、一度受けて見ようとは思ってます。



 国府山での失敗に懲りて、産業の神の神社には初めに顔を出します。

ヨークさん達も来られて一緒に話をしてみます。

意外なことにカオリーヌさんは、入信を済ませているとのことでした。


「生産系もやってみようかと思ったからね。実際には、冒険がメインになっていて殆どやってないけど、手芸レベルならアイテム作ること出来るんだよ」


 確かに、職人・商人関係の方も産業の神の信者には多いですからね。

交流する為にも入信者になる意味はありそうです。

ヨークさんは信者でないとはいえ、カオリーヌさんの夫と勘違いされたこともあり、普通に溶け込んでいます。


「カオリーヌさん、ヨークさんとはそういう関係なんですか?」

「どうなんだろうね。まあ、男女二人で旅するぐらいには信頼し合っているし、リアルで会っていたらそういう関係になっていたかもしれないね。

ま、リアルのことは話すことは規約上禁止な上に、話そうとすると強制ストップが来るから、実際はどんな人か全然知らないんだけどね」


 そう言えば、そんな同意書がありましたね。

でもまあ、仮想空間では流石に子供が出来たりはしないでしょうから、恋人や夫婦を疑似的に楽しんでも特に問題はないのかもしれません。

私自身は……ま、恋愛だけがすべてじゃないですよね。


「ところで、イツミちゃんはそういう人いないの?」

「私、それどころじゃありませんでしたから」

「ははは、それもそうだね。でも今のイツミちゃんなら、それこそ玉の輿も狙い放題だよ。神子との婚姻となれば、向こうから求めてくるんじゃない?」

「さすがに、政略結婚みたいなことは、嫌ですよ。それに期間が終わるまでの関係ですよね?そんな仮初はちょっと」

「ちゃんと分かっているんだね。安心したわ」

「といいますと?」

「いやね。こういった仮想空間で恋愛に陥って、そのまま結婚しちゃうとか、ゲームの中のNPCに恋して現実の恋が出来なくなっちゃうような人もいるのよ。

そういう心配は、イツミちゃんにはなさそうだなって」


 期限があるからそこで終わるのは、と思ってましたが、それ以上に確かに仮初でしかない関係でというのもちょっとですね。


「ま、ヨークもそういう所は大人だからね。ちゃんと分かっていると理解できるからこそ一緒に行動しているのよ。

そういう価値観が一緒だからこそ、行動がしやすいってところはあるかもね」


 期限が来たら現実に帰るわけです。

現実は現実、仮想空間は仮想空間としっかり分けられなければいけないわけですよね。


 別に仮想空間で発生した恋だから……とは思いません。

でも、現実を知らずに仮想空間のみでの恋愛を現実と混同させることはできませんよね。

印象に大きくものを言う外見だって、最初に設定していたのです。

この世界で良いと思う相手だからと、現実に失望することも考えればそういう深入りは、しないならしないに越したことはないんでしょう。



「神子様、この国ではどういうことをなされる予定ですか?」

「今の所は特に考えていませんが、街道整備の依頼にちょっと興味があります。

街道が整備されれば商業も発展しやすくなりますし、この神社的にも意味はありますよね」

「おお、街道整備にさんかしていただけますか。それは僥倖。私達も依頼人になっておりますので、嬉しき限りです」


 そう、街道が整備されれば人が移動する以上に物が流通するので商業を中心に産業が発展するんですよね。

そうなれば、産業の神の教義にもかなうわけで、街道整備の依頼人は産業の神の信者の人が多いようです。

カオリーヌさんも信者レベルを上げるのに良い機会と言うことで、依頼受けることを賛成してくれましたし。


 今回の宴は大した騒ぎになることもなく平穏に過ごせました。

やっぱり、顔を出すなら最初に顔を出した方が無難だと良くわかりました。


 さあ、明日は冒険者組合に行って、街道整備の依頼を受けるとしましょう。

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