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第一話

「???」

「洋子はおじさんが、宇宙開発に関わっていることは知っているだろう?」

「それは知ってます。ただ、宇宙開発とゲームになんの関係があるんでしょうか?」

「宇宙移動は、速度的にどうしても年単位に時間がかかるのは知っているよな」

「ええ、地球から一番近いとされる可住惑星のアルファケンタウリまでも、十年近くかかるそうですね」

「そうだ。その期間を少しでも減らすために様々な研究が行われている。そのうちの一つとして、一定エリア内の時間の流れを極めて早くする技術が確立された」


 技術は日々進化していると聞いていますが、時間の流れにまで干渉できるとはすごいですね。

でも、一定エリア内と言うと移動を伴う宇宙移動では意味が薄いのでは?

「その様子だと、洋子は、気づいてくれたようだね。そう、宇宙移動の期間を短くするのには使えない技術であると発覚したよ。

もっとも、別の用途があるんじゃないかと言う話になった」

「別の用途ですか?時間が速くなると言うことは、十億年ぐらいかけて、化石燃料を作るんでしょうか?」

「……」


 おじさまが無言になってしまいました。

説明の続きが気になりますが、どうしたんでしょうか?

私は素人なだけに、研究者にはない思い付きとなったのでしょうか。


「洋子、ありがとう。そのアイデアは使わせてもらうよ。

……説明が途中だったね」


 その後も脱線を繰り返しながら説明してくれたことによると、

時間の流れを極めて速くする技術を用いて、年単位のVRMMOのプレイを一日でできるようにすりリゾート施設の体験イベントが行われるんだそうです。


 ただ、この技術を一般人が体験するのは初めてで、安心感を持ってもらうために、開発陣の家族も参加することを求められたのだそうで。

三十路半ばを過ぎても独身なおじには家族と呼べるような存在がおらず、姪の私に頼んできたとのことです。


「お話は、だいたいわかりました。でも、ゲームをやるとは言っても、一日で年単位の歳をとってしまうのは、抵抗感があるのですが」


 私、逸見へみ洋子は、大学合格が決まったばかりの18歳の乙女なんです。

周りよりも一才歳をとってしまうのは、ちょっと複雑なものがあります。


「ああ、肉体的なものは大丈夫。長期睡眠装置に入ってもらうことになるから。数百年経っても老化しない設計だから、一年ぐらいじゃ影響は出ないと、自信を持って保証できる」


 なるほどですね。

それなら大丈夫でしょう。

長期睡眠装置技術は確立されていて、宇宙旅行ではごく当たり前に使用されていますし。


「ただ、長期睡眠装置は、その性質上、自らの意思で目覚めることができない。だから、今回のVRMMOは、自発的にログアウトはできない。

もちろん外からはいつでも簡単にできるから、緊急連絡が来た場合などは、強制ログアウトになるけどね」


 ログアウトを自発的にできないのは、不便ですね。

ゲームだと飽きが来たからログアウトなんて、珍しくないと思うんですが。

「……」


 思いを口にしたら黙ってしまわれました。

この感じでは、遊ぶ側の視点が欠けた話が色々あってもおかしくありませんね。

技術的な危険はほとんどないのかもしれませんが、先が思いやられますね。


「今回出る話をフィードバックして役に立てることにする。

我々技術者だけの発想では、至らぬことが多いと痛感したよ。

洋子も、気づいたことがあったら色々教えてくれないか。

自発的にログアウト可能にするのは期間的に間に合いそうにないが、多少の調整をすることは可能だ」


 おじさまは、他人の意見をちゃんと尊重してくださるのが、美徳ですね。

今回のことで、多少のことがあっても、次以降は大きく改善されそうに思います。


「そうそう、一応言っておくと、ゲーム内では、リアルの個人情報を出すことが禁止されている。

だから、ゲームないから私に連絡などはできない。

だが、スタッフにはすぐに連絡がつくようになっているから、何かあったら彼らを頼りなさい。

意見などは、大歓迎されるはずだ」


 個人情報を守るためには、私達も規制を受けるわけですね。

確かに当然の話かもしれません。

どんなに運営側が気を使っても、本人がベラベラしゃべっては、守れる情報も守れないでしょう。

それでもしゃべる人はいるのでしょうが、話すことを強要してくる人に対して、禁止事項に違反するからと運営コールがすぐにできるのは、気分的に違いますから。


「色々な配慮がされているのですね。それならば、私でも安心して参加できそうです」

「国家プロジェクトの一般公開だからね。念には念を入れた体制をとるのは当たり前だよ。下手な人間ドッグよりも精密な健康検査もするし、カウンセラーや心理学者も、同じ時間の流れで常時待機している。同意書のサインがすごい数こなすことになると思うから、手の指圧士も完備だ」


 すごいとは思いますが、サインを簡略化する方に向かわないのが、お役所仕事の弊害ですね。

バックアップ体制は完備しているなら、なんとかなりそうですね。


 会場もリニアで数駅と、割りと近くとのことですし、その日が待ち遠しいですね。

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